保護者のみなさまの多くは中学校で英語を学んだかと思いますが、今や英語の学習を始めるのが小学校からになり、すでに2011年度より「外国語活動」という形で英語学習が行われています。
そして、来る2020年度には「英語」の授業が正式に始まることが決まり、2018年度~2019年度の2年間は正式スタートまでの移行期間となりました。このため、一部の小学校では本年度からすでに「英語」の授業が始まっています。
今回は、「外国語活動」と「英語」の違いなど、知っておくべき3つのポイントと、ご家庭でできる、英語力アップの取り組みをご紹介します。
もくじ
ポイント1.小学3~4年生から始まる「外国語活動」の授業
小学校では2011年度から「外国語活動」という授業が小学5年~6年生の授業で必修化されました。この活動では英語での挨拶をはじめ、簡単な英単語を使っての日常会話や、英語のゲームをしたり英語の歌を歌ったりなど、遊びの要素を取り入れた授業が行われてきました。
これらを通して早い段階から英語に慣れ親しみ、グローバル社会を生きていく上で、英語という言語でのコミュニケーション力を育むことが、「外国語活動」のねらいとされています。
2018年度からは、この「外国語活動」を小学3年~4年生の授業で行うことになりました。
ポイント2.小学5年、6年生は「英語」の授業が始まる
一方、小学5年~6年生では「外国語活動」に変わって、「英語」を1つの科目として学習していくようになります。
科目になるということは、国語や算数と同様に「通知表で評価がつけられる」ということです。どのような形で評価がつけられるかは各学校・各先生によりますが、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(他者とのやり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」の五つの軸で評価され、通知表につけられることになります。
ポイント3.中学1~2年生で学んできた英語を、小学校5~6年で学ぶようになる
「外国語活動」では、耳(音声)から英語に慣れ親しむことが目的です。例えば、リンゴの絵を描いたカードを見て「アップル」と答えたり、「What do you like?(何が好き?)」、「When is your birthday?(誕生日はいつ?)」など、簡単な日常会話を通して英語でのコミュニケーションに慣れていく、といったものです。
一方、科目としての「英語」では、他の教科と同様に教科書を用いた授業が行われます。その内容は、これまで中学1年の2学期以降に学習してきたような、本格的な英語です。
昔の英語学習と大きく異なるのは、例文をもとにして、自分で文章を組み立てて会話をしたり、発表をしたりする点です。また、ネイティブ(英語を母国語とする人)の発音に慣れるためのリスニングや、イントネーション・発音の強弱なども学びます。
さらに、「外国語活動」を通して音声から英語に慣れ親しんだことをベースにして、「英語」では、音で覚えた言葉や表現を英単語のつづり(スペル)に置き換えられるように、書く学習も増えていきます。
このように、単に英単語を覚えるだけではないのが、これから始まる小学校での「英語」の授業なのです。
ご家庭でできる!英語力アップの取り組み
小学5年~6年生から新しく始まる「英語」では、先に挙げた5つの軸のうち、「聞くこと」、「話すこと(他者とのやり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」の比重が高くなってきます。
そこでぜひ、ご家庭で行っていただきたいのは、英語を「耳を使って学習する」ということです。大好きな映画やアニメを吹き替え版で見た後に、今度は字幕付きで見て、英語の音に慣れていきましょう。
そして英語の音に耳が慣れてきたら、今度はネイティブの発音をまねて、実際に発音(発声)してみてはいかがでしょうか。文章を声に出して読むことは、英語の学習においてとても重要です。ネイティブの発音をまねることや、繰り返し発声することは、大人よりも子どもの方が恥ずかしがらず、積極的に行うという傾向が見られます。これは国語でも同じことが言えますが、音読を繰り返し行うことで、文章そのものを覚えることはもちろん、英語のリズムや抑揚なども、身体で覚えられるようになっていきます。
学校の教科書以外にも、日本の昔話などよく知られている物語の英語版であれば、親しみのある内容として、親子で楽しんで音読することができるでしょう。
さらに、英語を口にすることに慣れてきたら、覚えた単語や表現を文字に書いてみましょう。例えば、最初は「Monday」と単語で、次に「Today is Monday(今日は月曜日)」、「Do you like Monday?(月曜日は好き?)」というように、最初は単語から始め、少しずつ文章にして、音と意味、スペルが合致するように、保護者のみなさまから促していただけるとよいですね。
小学校で本格的な英語の授業が始まるにあたり、楽しんで英語に触れる機会をご家庭の中で意識的に作ってみてはいかがでしょうか。
【執筆者紹介】:特定非営利活動法人日本ITイノベーション協会
平成16年1月に内閣府からの認証を得て以来、「Instructional Technology(教育的技術)」を旨とし、国際的人材育成指標である「経済協力開発機構(OECD)」が提唱する各種コンピテンシーをベースに人材育成の基軸を設定。国や各自治体・各大学・各企業が制定している個別指標と紐付けてカスタマイズし、実用可能な教育プログラムの開発を手掛ける。国の教育指針である「生きる力」とは、自分で問題発見を行い、周囲を巻き込み問題解決していく力であると捉え、「社会に出て、社会を築く人材」を輩出するための教育プログラムの開発を行い、小学生~高校生の教育にも力を入れている。
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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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