2018年度からの小学校の社会科は、加速するグローバル化に向けて、より深い地域学習や表現力を育む学びが始まります。今回は、小学校の社会科で変わるポイントと、社会科を好きになるための学年別のきっかけ作りをご紹介します。
新しい社会科の授業はこのように変わる! 3つのポイント
2018年度から始まる小学校の社会科では、次の3つのポイントが重要となってきます。
1.日本の歴史や伝統・文化を知るとともに、それらについて詳しく調べ、わかりやすくまとめる力を身につける。
2.世の中で起きている問題や出来事などに関心を持ち、それらと自分との関係性を考え、解決方法を考えたり、表現する力をつけたりする。
3.自分が住む地域社会に愛情を持ち、また、日本の将来を担う国民であることを自覚し、世界の人々とともに生きていくことの大切さを学ぶ
このように、自分の住む地域の文化を学ぶこと、また、自分で調べたり学んだりしたことをもとに、みんなで話し合う、発表するといった表現力をつけるための授業が増えるといわれています。
今後ますます、海外の人々とともに暮らしたり、一緒に仕事をしたりすることが当たり前になるなかで、子どもの頃から日本と世界についての知識を身につけることが大きな柱となっています。
海外の人々との交流のために必要なこととしては、「語学」や「外国の文化を学ぶこと」を思い浮かべますよね。しかし、自分が生まれ育った地域や国を理解するからこそ、世界の国々との違いを見つけることができ、さまざまな文化や考えも受け入れられるようになります。そのため、自分が住む地域や国の歴史、しくみを知ることから始める必要があるのです。
学年別! 学習内容と社会が得意になるきっかけ作り
このように、小学校の社会科では、歴史や文化に加え、自分が住む地域社会から世界まで幅広く興味・関心を持って取り組む姿勢が大切です。社会科の授業は小学校1・2年生のときはありませんが、学校で学習する学年になる前から、お子さまが社会科へ興味を持てるような機会をご家庭で意識されていくと、社会科が得意なお子さまになるかもしれませんね。
ここでは、小学校の各学年で学習する社会科の内容と、子どもが興味を持つためにご家庭でできるきっかけポイントをまとめてみました。
小学3年生
・自分が住んでいる地域の環境や人々、産業や歴史などについて調べ、理解するとともに、学習したことを生かそうとする心を育む
【きっかけポイント】
「なぜここに神社や寺があるのか」「ここは何を作る工場なのか」など、これまで当たり前に通り過ぎていた建物などについて、お子さまと一緒に調べてみましょう。
小学4年生
・自分が住んでいる都道府県の地理的特徴などを知るとともに、人々の生活を支えるしくみ(電気、水道、ゴミ処理など)や文化(祭りなど)を調べ、理解する。また、自然災害から地域の人々を守るための活動を知り、自分でできることなどについて考え、まとめる。
【きっかけポイント】
災害時の避難場所に行き、なぜそこが避難場所に選ばれているのかの理由を考えたり、防災訓練などに参加したりして、災害に備えるための取り組みや、自分たちでできる準備や心構えについて、ご家族で話し合ってみましょう。
小学5年生
・日本と世界という視点を持ち、地図帳や地球儀、統計データなどから情報を集め、まとめる力をつける。また、様々な社会問題を意識し、自分との関わりを考えたり、みんなで議論したりする。
【きっかけポイント】
新聞やテレビなどに載っている表やグラフからどんなことが読み取れるのか、どう思うかなどを話し合ってみましょう。例えば、日本の貿易に関するデータやグラフに載っている品目と、身近にある商品とを結びつけると、貿易について興味を持つきっかけになります。
小学6年生
世界における日本の役割について調べ、みんなで議論したり伝えたりする力を育む。また、日本の歴史や伝統を大切にして、世界の人々とともに生きることの大切さについての自覚を養う。
【きっかけポイント】
小学6年生では「公民」という政治・経済に関することを学びます。選挙の時期にはテレビの特別番組や新聞、また、政党や候補者のチラシ・ホームページなどに載っている公約などをお子さまと一緒に見て、「保育園・幼稚園に入れない人がたくさんいるのはなぜ?(待機児童問題・幼児教育無償化などから)」「消費税はどんなことに使われているのかな?(消費税増税から)」など、疑問に思うことから自分なりの意見を持って、家族で話し合ってみましょう。
また、日本という国がどのようにして今の形になったのか、これまで学習した歴史をふまえ逆引きして考えてみるのもよいでしょう。例えば、2016年に施行された「18歳選挙権」ですが、選挙権の歴史を「20歳以上」→「男性のみ」→「高額納税者のみ」とさかのぼっていくと、選挙制度のどこに問題があり、どう改善していったのかという国家の成り立ちが見えてきます。
ほかにも、「東京オリンピックを開催するにはどんな仕事が必要なのか」、「自分ができることはあるのか」といったことを考えてみるのもよいでしょう。政治や経済、国が開催する世界規模のイベントなどに興味・関心を持つことは、日本だけでなく、世界を意識することにつながっていきます。
こうした日常の中にある物事に興味を持ち、調べる・考える・自分の意見を持つということを通して、社会科という科目が「ただ暗記するもの」ではなく、「身の回りのものに着目して考えるもの」と変わっていき、新しい社会科の授業に楽しんで取り組めるようになっていくことでしょう。
次回のコラムでは、ここでご紹介したきっかけ作りのヒントになる「ご家庭でできる! 小学校の社会科の力がアップする取り組み」をご紹介します。
【執筆者紹介】:特定非営利活動法人日本ITイノベーション協会
平成16年1月に内閣府からの認証を得て以来、「Instructional Technology(教育的技術)」を旨とし、国際的人材育成指標である「経済協力開発機構(OECD)」が提唱する各種コンピテンシーをベースに人材育成の基軸を設定。国や各自治体・各大学・各企業が制定している個別指標と紐付けてカスタマイズし、実用可能な教育プログラムの開発を手掛ける。国の教育指針である「生きる力」とは、自分で問題発見を行い、周囲を巻き込み問題解決していく力であると捉え、「社会に出て、社会を築く人材」を輩出するための教育プログラムの開発を行い、小学生~高校生の教育にも力を入れている。
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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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