教科書や机に向かって勉強するだけでは学べないさまざまな内容を、体験しながら学ぶ「体験学習」が注目されています。よくある子どものお仕事体験などもその一つですが、今回おすすめしたいのは「自然体験」による学習です。
自然体験では命の大切さを学んだり、環境保護への意識を高めたりすることができます。春は冬の寒さに耐えた草花たちがいっせいに咲きだし、虫や動物たちも活動的になる、美しい季節です。
ぽかぽかとした陽気は子どもにとっても心地よく、外遊びへの関心が非常に高まります。よく晴れた春の日には、手軽にできる体験学習として親子で春の花を探しに出かけてみましょう。
もくじ
散歩をするだけでもたくさんの生き物に出合える季節
春に見られるタンポポやツクシなどは、大人にとって珍しいものではないかもしれません。しかし幼児期の子どもにとっては、真新しいものが多く、視線を上や下に移動するごとに新しい発見があり、どれも興味を持つ対象になります。
子どもの「これ、なあに?」という気持ちを大切にしながら「よく気づいたね」とほめてあげることで、未知のものに対する興味関心や、知らないものを知ろうとする意欲、考える力などを伸ばすことができます。
冬に比べ、様相の変わった春は子どもの成長を促す発見の詰まった魅力的な変化にあふれています。子どもと周囲の変化を意識しながら散歩をしてみましょう。
子どもの興味を引き出す手助けをしてあげることも大切
ただ見るだけでは草花に興味関心を持てない子どもも多いでしょう。そんなときには、草花を使った遊びで子どもの興味を引き出すことも効果的です。
クローバーがあれば、幸運の四つ葉のクローバーを探してみたり、シロツメクサで花冠を作ってみたりと楽しみ方はいろいろです。四つ葉のクローバーが見つかったら、家に持ち帰って、本などに挟み、押し花を作るのもおすすめです。
目的を持って散歩に出るのも効果的
季節ごとの特徴を強く押し出す取り組みをしている大規模な公園もあります。大規模な公園は、インターネットなどで収集できる情報が豊富なので、あたり一面の芝桜やチューリップ、長い桜並木など、事前に「何を見ることができるのか」を知り、目的を持って出かけることができます。
チューリップに関する絵本を読んでから出かけたり、歌を覚えてから出かけたりと、子どもの関心を高めるきっかけを作っておくことができます。
時には少し遠出になるかもしれませんが、ピクニックなどの楽しい思い出や感動とともに覚えたことは、記憶に残りやすくなります。
お花見に行くのも立派な体験学習
昔からの風習であるお花見。実は、桜を折らない、騒ぎすぎてほかの人に迷惑をかけない、などのルールを守りながら皆で楽しむお花見は、昔からコミュニケーション力を育み自然と人の絆を深める体験の場でもあります。皆でお花見に出かけることも立派な体験学習なのです。
桜は春になるとつぼみ、咲き始め、満開の時期を経て、散り際の葉桜まで、短い期間にさまざまな変化を見せてくれます。自宅の近くや通っている園に桜の木があれば、時期によって異なる桜の様子が見られます。観察をするだけでも桜の変化とともに季節の移り変わりを体感することができます。
また、桜といっても種類は一つではありません。よく知られるソメイヨシノだけでなく、花の色が濃い八重桜、枝が垂れている枝垂れ桜など、品種ごとの違いを観察するのも面白いでしょう。
春の発見を知識に変えよう
散歩の途中で名前を知らない草花や生き物に出合ったら、写真を撮ってみてはいかがでしょうか。家に帰ってから図鑑で調べれば、名前や特徴などを覚えやすくなります。実物に出合い、興味を持っているときに名前などを覚えれば、子どもの生きた知識になります。まだ字が読めない小さな子どもでも、写真と図鑑を照らし合わせることで、自分で探すというワクワク感や見つけたときの達成感も同時に味わえます。
幼児期は、保護者から教えてもらうということが多い時期ですが、自分で調べて知識を得るという喜びも一緒に味わえます。
また、写真を保存しておけば、春の時期に出合った動植物として来年以降の散歩のときに見返すこともできます。「去年はこんなものに出合ったけど、今年はどうかな?」、「今年はまだ寒いから会えないね」など反復していけば、気温や場所といった情報も一緒に覚えることができます。
図鑑を片手に出かけてみよう
スマートフォンなどで簡単に調べることもできますが、操作になれない子どもには保護者が代わりに調べてあげることになってしまい、知る喜びが半減してしまうこともあります。ポケットに入るサイズの図鑑なども多く市販されているので、図鑑を片手に出かけ、「これじゃないかな」「こっちじゃないかな」などとコミュニケーションをとるのもいい体験になります。
本を持って出かけるのが大変、という方は、「学研図書ライブラリー」を利用するのもいいでしょう。学研の図書をいつでもタブレットで閲覧できるので、普段からなじみの深い動植物の図鑑などを自分の学研図書ライブラリーの中の本棚に登録しておけば、外出先でもその場で生き物や植物を調べることができます。
自然体験で大切なのは「子どもの興味」を大切にすること
初めから「花」や「植物」に絞るのではなく、虫や季節のイベントなど、子どもの興味を大切にして、一緒に春を楽しむことから始めましょう。植物の周りには、テントウムシやモンシロチョウが卵を産みにやってきたり、もう少し時期が進むと冬眠していたカエルなども起きだしたりします。ゴールデンウィークなどにはさまざまな季節のイベントが開催されます。身近にあるものへの興味から季節を感じることが、体験学習の第一歩となります。親子で一緒に春を楽しみましょう。
ライター:marie
園児である子どもの子育てとライティング業務をこなすママライター。 未就学児のころから英語教育を始めるなど、児童教育に興味を持ち、親子ともどもさまざまなものにチャレンジしている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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