千田琢哉『成功者を奮い立たせた本気の言葉』セレクション
コンサルティングを依頼してくる会社は、斜陽業界にある企業も少なくなかった。
私の所属する会社にも、
その業界では誰もが名前を知るような名門企業から依頼が来た。
会長や社長自身が「何とか知恵を貸してもらいたい」と懇願してきたものだ。
彼らの口癖は「もうこの業界は駄目だ」「時代が変わった」と悲観的なものばかりで、
過去の栄光の話に花を咲かせることで束の間の現実逃避をしていた。
「斜陽業界は、逆にチャンスですよ」
私はそんな彼らから目を逸らさず、真剣に伝え続けた。
もちろん、私は決してその場限りの間に合わせで、そんな発言をしたわけではない。
現に私の所属していた経営コンサルティング会社では、
斜陽業界での成功事例は珍しくもなかったし、
むしろ、勝ちやすいという事実を統計的に知っていたからだ。
斜陽業界では当人たちも周囲も、皆が〝諦めモード〟に入っており、
飛び抜けて優秀な人材もほとんど残っていない。
だから、最先端の業界でしのぎを削っている人材や企業と同程度の努力をすれば、
もう、それだけで突出できる可能性がある、と伝えたかったのだ。
経営コンサルティング会社出身で起業して成功した人たちを見ると、
意外なことに、農業・アパレル・飲食・タクシーなど、
斜陽業界と呼ばれる領域で戦っているケースが多いことに気づかされるはずだ。
何を隠そう私自身、
私が生業(なりわい)を得ている出版業界の厳しい現状を理解して戦っている。
もちろん、過去と同じことを繰り返しているだけでは到底やっていけないし、
それなりの変化や成長は求められる。
だが、それは他ジャンルの最先端の業界に比べればかなり競争が緩く、
創意工夫の余地はまだまだあると考えている。
実際、私がコンサルタント時代に関わってきた斜陽業界のクライアントの多くは、
規模を縮小しながらも健全に存続している。
中には、新しい付加価値や、
斬新なマーケティング戦略を駆使して飛躍した会社もある。
(※この連載は、毎週月曜日・全8回掲載予定です。次回は4月9日掲載予定です。)
千田 琢哉 (せんだ たくや)
文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。
■E-mail
info@senda-takuya.com
■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/
作品紹介
著者・千田琢哉が経営コンサルタント時代に経営者たちと正面から向き合い、本気で投げかけた、真剣勝負の言葉の数々を紹介する。
定価:本体1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 本物の幸運の持ち主は、必ずどん底から這い上がります。
- 最終的な勝者は、最初は失敗するものですよ。
- 勝率の高さは問題ではなく、勝つべき時に勝てばいいのです。
- 部下が軽蔑するのは、間違えるリーダーではなく、決断しないリーダーです。
- ストップの合図は私がします。それまで存分に突き進んでください。
- 最後の泥沼までお付き合いします。
- 経営者の心を揺さぶる“本気の言葉”
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