こんにちは。宇野信行と申します。
　もう３０年以上前のことになりますが、幼なじみの舛岡はなゑさんが、念願叶って東京の下町・新小岩に「十夢想家（トムソーヤ）」という喫茶店を開店しました。
　
　そんな２５歳のある日のことです。
　はなちゃんから、「信ちゃん、会わせたい人がいるから、いますぐ店に来て。話してみたら、とにかくすごい人だった!」と、電話がかかってきました。
「すごいって、いったいどうすごいのさ？」
「えっとね、とにかく、すごい!　としか言えない！」
「え～？　なにそれ（笑）」
　苦笑いしつつも、好奇心を抑えられずにスクーターで駆けつけた私は、不思議な紳士を紹介されました。銀座まるかんの創業者で、後に何十冊ものベストセラーを出し、講演家としても大人気になる実業家の斎藤一人さん、その人でした。
　
　それまでの私は、仕事の合間に「十夢想家」で仲間とおもしろおかしく笑い転げていられたら、それでいいやと、ずいぶん茫洋とした青年期を過ごしていました。
「幸せ」や「自分が好きなもの」や「仕事」や「人生」についてじっくり考えたこともなく、親に請われるまま家業の豆腐屋を継いで、大きな流れにユラユラと身を任せるように生きていました。
　そんな２５歳の私の価値観は、一人さんの出現によって激変することになります。
　一人さんは、まるで階段を１段ずつ上らせるように丁寧に、思いもよらない「ものの見方」を、次々と教えてくれていったんです。
　
　一人さんをひと言で表すなら、「とにかく不思議な人」でしょうか。
　経済や歴史や科学的な話をしたかと思ったら、成功法則や、人がこの世に生まれてきた理由、宇宙の話やちょっと不可思議なことまで、くめども尽きない湧き水のように、おもしろい話が次から次にあふれ出してくるのです。
　そして、どんな分野について質問しても、必ず明快に答えてくれました。
「もっと、この人の話を聞いていたい!　この人のそばにいたい!」
　２５年間生きてきて、あれほど夢中になったことはありません。
　
　その後、一人さんとのご縁をいただいた私は、いま、まるかんの社長の１人として仕事をしています。
　あれからずっと一人さんの近くにおりますけれど、やっぱり、一人さんは、あのころの「不思議な紳士」のまま。本当につかみどころがないんです。
　だけど、一人さんが３０年以上にわたって教えてくれたことは、どれもしっかりと私の肥料になっていて、「幸せだな。きょうも自分の花を咲かせられたなあ」って、実感できるまでになりました。
　
　人って、「成功の花」を咲かせるために生まれてきたんです。
　あなたも、あなたのままで成功できる花の種を、ちゃんと手のひらに握って生まれてきたんですよね。
「信ちゃん。信ちゃんは、信ちゃんのままでいいんだよ。
　そのままで成功できる花なんだからね」
　幸せや自信とはどんなものかさえわからなかった私に、一人さんが言ってくれた言葉です。
　
　一人さんから教えてもらったことを、私の言葉で、あなたにお伝えできたらどんなに楽しいだろうと思って、この本を書き始めました。
　不思議な紳士・一人さんが教えてくれた「成功の花を咲かせる法則」が、あなたにもたくさんの喜びと幸せをもたらしてくれますように。

宇野信行

（※この連載は、毎週火曜日・全8回掲載予定です。次回は11月14日掲載予定です。）

斎藤 一人 (さいとう ひとり)