仕事が速い人は「目的」を重視する 仕事が遅い人は「手段」を重視する
午堂登紀雄『仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人』セレクション
仕事が速い人は非常に強い目的達成意欲を持っています。そのため彼らは、「目的を達成するために、それは本当に効果があるのか?」を考え、それに必要な手段を選びます。
しかし仕事が遅い人は、目的よりも手段を重視します。
たとえば「自己投資」という言葉を聞いたとき、彼らがパッと思いつくのはビジネス書を読む、ビジネススクールへ通う、資格取得の勉強などといったものです。
しかし、自己投資の本当の目的は何でしょうか。
今の会社の中で認められて昇進することであれば、営業成績を上げるために提案書をブラッシュアップしようなどといった方法が出てきます。
転職してキャリアアップを図ることであれば、転職エージェントにコンタクトを取って相談し、自分に不足しているスキルを指摘してもらおうなどといった方法が考えられます。
あるいは起業してお金持ちになることであれば、まずはサイドビジネスを始めてみよう、などと「目的を達成するための手段」が見えてくるはずです。
つまり、そうやって本来の目的を掘り下げていったとき、本を読むこともビジネススクールに行くことも資格を取得することも、どれも直接的に効果がある方法とは言えない、と感じないでしょうか。
私が主催している不動産投資セミナーでも、
「皆さんの目的は、不動産を買うことではなく、不動産を取得することを通じて何かの目的達成をすることです。
だから人によっては不動産じゃなく、他の方法のほうが良いかもしれない。だからまずは、自分がどう生きたいかという目的を明確にし、不動産投資でその目的が達成できるのか、立ち返ってみることも大切です」
と申し上げています。
たとえば借金することが怖いとか、地震が起こったらどうしようと考えている人には不動産投資は適しておらず、他の運用手段を考えたほうが良いとわかります。
にもかかわらず「なんだか不動産投資が良さそうだ」などと投資することが目的となると、逆にうまくいかない結果になりかねないということです。
●手段にこだわるほど、目的からは遠ざかる
それに、手段を重視すると、効果のない安易な方法を選んでしまいがちです。
たとえば「毎日聞くだけ! 90日で英語がペラペラになる!」という英語教材。この場合、購入者の判断基準は「ラク」ということであり、「効果」ではありません。
そもそも語学の習得にはインプットとアウトプットの両方が必要ですし、幼児とは違いすでに日本語という言語軸を持っている大人にとって、「聞くだけ」では効果が低いことがわかっています。
教育についても同じで、たとえば親が子に高等教育を受けさせようとするのは、子どもの能力を高めて将来の職業や選択肢を広げたり、自分の力で人生を切り開く能力を身につけさせることではないでしょうか。
そのためには、創造力や発想力、コミュニケーション能力やリーダーシップといった他の能力、思いやりや進取の心といった精神性が必要ですが、受験における主要な評価指標である偏差値では、これらを計測することはできません。
にもかかわらず現実には、受験や有名校への進学が目的となってしまい、ペーパー試験の結果に一喜一憂する人も少なくないようです。
こうした発想をしている限り、どんなにがんばっても期待した成果はほとんど得られない、ということになりかねません。ビジネス自己啓発の世界でよく言われる「努力の方向性が間違っている」ということです。
そうならないよう、つねに本来の目的に立ち返り、「そもそもの目的って何だっけ?」「それって目的達成に本当に効果があるの?」を自分に問い続ける姿勢を忘れないようにしたいものです。
午堂 登紀雄 (ごどう ときお)
1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。
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