「がんばりが足りないこと」を、自分と向き合うことから逃げるための隠れ蓑にしているBさんの例を挙げました。
「私には関係のない話だな」と思っているあなたも……、ちょっとご自分の現実と結びつけてみるとおもしろいですよ。
似たようなことは、けっこう多くあるものです。
たとえば、ダイエット本を買っても実際にはやせない、英語学習本を読んでも実際には英語を話せるようにならない、なんてことはザラです。
これらもじつは、先ほどのBさんと同じ心理構造です。
つまり、ダイエットのがんばりが足りないから彼氏ができない。
英語の勉強のがんばりが足りないからいいポジションにつけない。
こうして、やはり「がんばりが足りない」ことを隠れ蓑にしているんですね。
もし本当にやせてもモテない、本当に英語が話せるようになってもいいポジションにつけない、となったら、自分そのものに魅力がないことになってしまいます。
そう認めざるを得ない状況になることがおそろしいから、「がんばりが足りないせい」と自分を納得させているのです。
ひどいときには「わざとがんばらない」をやったりします。自分の魅力や能力のなさを認めるのが怖いから。
もし、本当にダイエットなどで美を追求することが「好き」ならば、どんどん実践して美しくなっていくでしょう。
本当に英語を勉強することが「好き」ならば、本を読むほど、英語能力は上達していくはずです。
要するに、それが「好き」ならば、どんどん成長していけるということ。
でも、それを彼氏ができるため、いいポジションにつくための「武器」にしようとしている限り、つねに、先ほど述べたような心理メカニズムが働きます。
「できるようになりたい」と望んでいるようでいて、じつは心のどこかでそれを拒んでいる。
そして、いつまでも「がんばりが足りない」が、つきまとってしまうのです。
「好き」か、「武器」か。
「好き」は自分が主軸ですが、「武器」は他人が主軸になっています。
自分が勝手に、好きでやっていることは、楽しいので、「がんばっている」という自覚すらないうちに、みるみる上達します。
でも、他人の価値観に受け入れられようとがんばっていることは違います。成長したとしても、結局は周囲の評価がよくないと、それにつられてまたがんばるしかないのです。
心屋仁之助 (こころや じんのすけ)
心理カウンセラー。個性を生かして性格を変え、自分らしく生きるための手助けをする「性格リフォームの匠」として、テレビ出演でも話題になる。
大手企業の管理職として働いていたが、自分や家族の問題がきっかけとなり、心理療法を学び始める。現在は京都を拠点として、全国各地でセミナー、講演活動やカウンセリングスクールを運営。
その独自の「言ってみる」カウンセリングスタイルは、たったの数分で心が楽になり、現実まで変わると評判。現在は個人カウンセリングは行っていないが、スクール卒業生により全国各地で心屋流心理学のセミナーやボランティアでのグループカウンセリングが広く展開されている。
■公式ホームページ「心屋」で検索
http://www.kokoro-ya.jp/
■公式ブログ「心が 風に、なる」
http://ameblo.jp/kokoro-ya/
作品紹介
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