実行より、完了をする人が少ない。

中谷彰宏『シンプルな人は、うまくいく。』セレクション

更新日 2020.07.17
公開日 2015.12.31
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 仕事をするに当たって、「とにかく始めてみよう」というのはいいことです。
 思いきって始めてみても、なかなかうまくいきません。
 それは、実行はしても、完了していないからです。

 僕のところに、「本を書きたい」と言う人が来ます。
「原稿は書けてるの?」と聞くと、「8割書けています」と言います。
 8割で見てもらおうとするのは、ズルいのです。
 そこでアドバイスすると、「それはあとの2割で出てくるんですよ」と言い逃れできるからです。
 それならそれを書けばいいのに、永遠に書かないのです。
 僕はシナリオを書くことで、ものを書く勉強をしました。
 直接会ったことはないのですが、僕の中では黒澤明に習っています。
 脚本では、一番最後に「了」と書きます。
 大切なのは、エンドマークまできっちり書くことです。
 そこまで書いてあって、初めてアドバイスができるのです。
 途中のものには、アドバイスできません。
 どんなに小さい仕事でも、完了させることが大切です。

「本の編集者を紹介してください」と言う人が多いのです。
 僕は、まわさないように踏ん張っています。
 意地悪ではありません。
 原稿がないからです。
 企画書では、判断のしようがありません。
 原稿を書かないのは、「原稿を書いてムダになってはもったいない」と考えているからです。
 シンプルを目指さない人は、効率を考えます。
 効率を考えると、シンプルにならないのです。
 大切なのは、企画書よりも試作品、企画書よりも原稿です。
 完了させれば、前に進みます。
 きわめて、シンプルです。
 書いてしまえばいいのです。
 原稿を最後まで書いて、それに対してコメントをもらうならわかります。
 企画書の書き方を教わって、企画書がどんなにうまくなっても、原稿がなければ通らないのです。
 シンプルな人は、あらゆることを完了させていきます。
 ゴテゴテの人は、やりかけのものがたくさんあるのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

シンプルな人は、うまくいく。
疲れなくなる63の方法

シンプルな人は、仕事も、恋愛も、人間関係もうまくいく。いらないものをそぎ落とすことで、チャンスをつかむ方法を紹介。
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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