安いから買ったモノには、 愛がない。

中谷彰宏『片づけられる人は、うまくいく。』セレクション

更新日 2020.08.06
公開日 2015.01.15
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 家の中で増殖するのは、「安いから買ったモノ」です。
 消耗品なら、まだマシです。
 必要だから、好きだからという理由で買ったモノなら、いいのです。
 消耗しないモノで、安いからとりあえず買ったモノが家の中でかさばっているのです。
 そもそも、安いから買ったモノには、愛がありません。
 好きだから買ったモノには、愛があります。
 愛のあるモノは、範囲が限られます。
 すべてのモノを好きになるわけではありません。
 安いから買ったモノは、範囲が無限です。
 特にいらないモノ、それほど好きではないモノも、つい買ってしまうのです。

 デフレの時代になると、あらゆるモノが安くなっています。
 ひと昔前に高かったモノが安く売られていると、つい「買っておかないと」という気持ちになります。
 デフレを脱却して、いつか値段が上がるだろうと思っているのです。
 今は、980円でドレスを売っています。
 結局、その服は、ちゃんとしたところへは着て行けません。
 見た目は、ブランド品とたいして変わりません。
 買った時は、興奮度が高いです。
 それを、結婚式に着て行くとどうなるかということです。
 自分の中では、「980円」という値札が見えています。
 向こうで友達がこちらを見て笑っていると、「980円がバレたのではないか」と不安になります。
 買った時はお得感がありますが、着る時に自己肯定感が下がるのです。
 ひょっとしたら、仕事先の人に会ったり、恋愛の出会いがある可能性もあります。
 980円の服を着ていると、その人が向こうから来ても横道に入って逃げることになるのです。
 ここで、仕事ができるかできないか、恋愛が生まれるか生まれないかが分かれます。
 結果として、チャンスを失うのです。
 捨てるかどうかの判断基準は、それを着た時に自己肯定感が下がるか上がるかで決めます。
 自己肯定感が下がるモノは、捨てることです。

 ブランド品を着ると、自己肯定感が上がります。
 これが、ブランドの値打ちです。
 判断基準は、使える使えないとか、壊れている壊れていないということではないのです。
 安いモノは大量につくるので、原価を抑えられるのです。
 バーキンが5年待ちなのは、大量につくれないからです。
 安いモノを結婚式に着ていくと、必ず誰かとかぶります。
 相手も、ドキドキしています。
 お互いさまで、「980円同士」と分かち合います。
 この時、自分がそこそこの年齢で、相手が新入社員だったら、つらいです。
 稼ぎのある自分と稼ぎのない新入社員が、安い服でかぶってしまったのです。
 高いモノなら、別にかぶってもいいのです。
 安いモノがかぶるのは、最悪です。
 自己肯定感は、それをやっていて「よかったな」と思えること、「それをやっている自分が好き」ということなのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

片づけられる人は、うまくいく。
人生を変える「捨てる」習慣65

片づけられる人は、仕事でも、恋愛でも、チャンスをつかむ。「捨てる」ことで、人生が変わる65の方法を紹介する。
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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