ことの始まりは、「ピラフ」でした。

 テレビから流れてきた「ピラフは、生の米を具材と一緒に炒めてからスープで炊く」という作り方を耳にしたとき、

 私は「え? 炊いてあるごはんを炒めるんじゃないの?」と思いました。

 ピラフとチャーハンの作り方のちがいを知らず、料理を正しく区別できていなかったのです。

『たべもの くらべっこ えほん』の企画は私自身の知識のなさからスタートしました。

 

 本書の製作にあたっては最初に、小学生の子どもたちやお母さん方にアンケートを実施しました。

 野菜・果物・肉・海産物・料理・菓子・飲料・加工食品・調味料などの中から31項目のまちがえやすい食べ物をピックアップし、認識度やまちがえやすいポイントを調査した結果が紙面構成のヒントになっています。

 

 食べ物の違いを調べ上げて、原稿を書いた高岡昌江さんによれば、野菜・果物・肉・海産物などは生物という観点で違いを明確に解くことができ、料理・菓子・飲料・加工食品・調味料などに関しては文化人類学的な要素も多分に絡み合ってきます。

 

 つまり、間違えやすい食べ物を比べることは食べ物そのものの正体を知るだけにとどまらず、幅広いジャンルの知識、ユニークなうんちくに接することでもあるのです。

 

 こうして完成した『たべもの くらべっこ えほん』

 編集を終えたときに私は確信しました。

 子どもたちにとって、ふだん食べているもののことを何も知らないでいるより、知っているほうが、きっと人生は豊かになるはずです。

 大人だって、まだ間に合うでしょう。

 ぜひ手にとって、いろいろな食べ物と向き合ってみてください。

(編集部員N.H)