「会社がなくなったときのために、手に職をつけておいたほうがいいですか?」というご相談をよく受けます。
昨今は、安泰だと思われていた会社が、思いもよらない合併や再編などでリストラ勧告を出したり、早期退職を募ったりするニュースを耳にしますから、自分の身にもそのようなことが降りかかるかもしれないと、心配になる気持ちもわからないではありません。
でも、「手に職があれば手堅い」「資格を持っていれば安心」という考えは、はっきり言って、甘すぎます。
万が一、会社がなくなったり、リストラにあったりしたときに、資格が生き残りのカギを握っていることはほとんどありません。今は、手に職や資格があるだけで食べていける時代ではないのです。
では、どうすれば生き残れるのか?
わたしが今までいろいろな方の相談に乗ってきた経験から言うと、人が困難にぶち当たったとき、最後にものを言うのは、資格でも、技術力でも、知識の豊富さでも、経験の多さでもなく、その人の「人柄」、つまり、考え方なのです。
人から好かれ、愛され、人間関係に恵まれている人が、結局は、誰かから手を差し伸べてもらっているのです。
なんの資格も持たずに、営業の仕事や総務、一般事務をやっていたとしても、気持ちよく人と仕事ができ、今、自分が与えられている業務の能力に長たけてさえいれば、たとえ会社がなくなってしまったり、リストラにあったりしても、必ずどこからか声がかかるものなのです。
ですから、将来が心配であればあるほど、今、身近にいる人を大切にすること。今、自分が与えられた業務に打ち込み、そこで誰よりもその能力が高いと認められるところまで仕事力を高めていくことが、一番の担保なのです。
さらに、もうひとつつけ加えておきたいことがあります。それは、自分がずっと抱え込んでいる思いは、なぜか実現してしまうということです。
つまり、「会社がなくなってしまったらどうしよう」とか、「リストラされてしまうかもしれない……」という思いを抱き続けていると、その不安が現実化してしまうのです。
ですから、不安が頭をよぎったときは、その不安を軽減することに思いを巡らせましょう。いわゆる「備え」ですね。
この場合、将来が心配なら、人柄を磨くこと。つまり、人から好かれる人になるための「かわいげのある考え方」を身につけることが備えになります。
「かわいげのある考え方」とは、いろいろな人やできごとに対して、「ありがたい」とか「嬉しい」「楽しい」と感じるこころをベースに保つことです。
「この人のおかげで今がある」。そんな「恩に着る気持ち」の厚い人が、ビジネスで成功し続けています。
もしも、自分の先行きが不安なら、まず周りの人や、日々のできごとに対して、嬉しいことを拾い集めるこころのクセをつけてください。
わたしは、いつも嬉しいことを拾い集めて、さらに嬉しいことを呼び込めるように、「今日のありがたかったこと」をノートに書き留めるようにしています。
これを続けることで、人間関係は大きく変わり、入ってくる情報も変わります。そして、結果的にいい仕事が手に入るようになってくるのです。
井内 由佳 (いうち ゆか)
1964年福岡県生まれ。福岡市在住。福岡大学卒業後、現リクルートの福岡支社にアルバイト職として勤務。アルバイトながらもトップクラスの成績を維持し、希望した東京での勤務を認められる。90年、結婚と同時に夫と輸入自動車販売会社を起こし、91年より仕事と家事の傍ら人々の相談に応じるようになる(相談に訪れる層は、経営者、ビジネスマン、主婦、学生と幅広く、相談者は延べ2万人以上に及ぶ)。資金借入先の横領による数千万円の借金、家族の原因不明の病、待望の我が子の死産など、さまざまな試練を乗り越え、現在2男2女の母として、妻として幸せな日々を送っている。福岡、東京を中心に全国各地で開催する講演は、毎回満席になるなど人気を博している。 主な著書に、ベストセラーとなった『わたしが神さまから聞いたお金の話をしてもいいですか?』、『わたしが神さまから聞いた人間関係の裏ルールをお話しします。』(ともに総合法令出版)、『わたし、少しだけ神さまとお話できるんです。』(文屋)などがある。
作品紹介
知らないとソン! 不思議と「運が味方する人」になる45の方法。お金、仕事、人間関係、恋愛・結婚、家族、健康…のお悩み解決!
定価:本体1,300円+税/学研パブリッシング
バックナンバー
- なぜかうまくいく人は、 義務でも、子どもに愛情をかける。
- なぜかうまくいく人は、 大切な人と、たくさんの時間を過ごす。
- なぜかうまくいく人は、 進んで「貧乏くじ」を引く。
- なぜかうまくいく人は、 「ありのままの自分」でいない。
- なぜかうまくいく人は、 誰とでも丸くやる。
- なぜかうまくいく人は、 仕事ができない人にも感謝する。
- なぜかうまくいく人は、 大切な人との「思い出」にお金を使う。