会話で一番相手のテンションが上がるのは、ほめることです。
これが、なかなか難しいのです。
一流ホテルの外国人の総支配人は、通りすがりで会うスタッフ全員をほめています。
ふだんからやっているので、ボキャブラリーも豊富です。
ひとネタでなくならないように、1回に小さくほめています。
毎日毎日、ほめるネタができるのです。
ほめるのが苦手な人は、ざっくり大きくほめます。
大きくほめると、次にほめるところがなくなります。
ほめるコツは、「チョイほめ」です。
「大ほめ」は、おせじ感があります。
チョイほめは、逆にリアルでウレしいのです。
たとえば、40歳の人は35〜36」と言われたほうがリアルです。
「女子高生に見えるね」と言うと、「バカにしているの」と言われます。
米團治(よねだんじ)師匠の独演会で、森口博子さんが楽屋にお母さんを連れてきました。
「うちの母はもう75歳なんです」「いやあ、74歳にしか見えない」と言うのは、チョイほめです。
チョイほめになると、ほめやすくなります。
実際に、塾の先生にこれを教えました。
毎日チョイほめすると、子どもたちの顔が明るくなって、学力も伸びたのです。
「ほめましょう」と言うと、つい100点をほめようとしがちです。
100点は、なかなか出ません。
前と同じ35点でも、空白のある35点と全部埋めた35点とでは大きく違います。
「埋めた35点は可能性がある」とほめられたら、頑張る気持ちが湧いてきます。
手を挙げて間違っても、手を挙げたところをチョイほめします。
むしろ、正解で手を挙げるよりも偉いのです。
「手の挙げ方が速かった」「ヒジが伸びている」「前までは3列目だったのに、今日は2列目に座っている」とか、日々、いろいろなチョイほめができるのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
好調の「うまくいくシリーズ」第6弾。「会話力のない人」は、モテないし、成功しない。話方を変えると、生き方が変わり、仕事も、恋愛も、人間関係もうまくいく。会話力をつけることでチャンスをつかむ、55の方法を紹介する。
定価:本体1,200円+税/学研プラス
バックナンバー
- 赤ちゃんは、自分の主張をする。 子どもは、自分の説明をする。 大人は、相手の利益を話す。
- 会話は、毒にも薬にもなる。
- 会話は、しりとりだ。
- 質問会話より、想像会話をする。
- 間接表現に、気づく。
- 挨拶は、 すれ違いざまでもする。
- 自分からするのが、挨拶だ。 先にされて返すのは、挨拶ではなく、返事だ。
- 「今日も、きれいだね」より、 「今日は、きれいだね」と言う人がモテる。