小学校の国語科では、これまで主流だった読解力から、「聞く・話す・読む・書く」のそれぞれを行き来してなされるコミュニケーション、つまり「伝え合う力」が大きく取り上げられるようになっています。
今回は小学校1年生・2年生のお子さまを持つ保護者さまへ、ご家庭でできる「伝え合う力」アップの習慣などをご紹介します。
国語科で求められる「伝え合う力」とは?
近年(平成10年版以降)、国語科の学習指導要領では「伝え合う力」の育成が重視され、各教科の授業でもコミュニケーション能力を高めるための「話す」「聞く」の実践がはじまっています。
「伝え合う力」とは、言葉を通じたコミュニケーション能力のこと。「コミュニケーション能力が高い人」と聞くと、「話すのが上手な人」をイメージする方が多いかもしれません。しかし、コミュニケーションの場面を思い浮かべて見ると、「相手の話を聞いて→意見する」「情報を集めて→説明する」といったように、コミュニケーションはインプットとアウトプットの積み重ねだということがわかります。
小学校1年生・2年生での「伝え合う力」の目標
小学校1年生・2年生で育みたい「伝え合う力」は、どのくらいのレベルを求められているのでしょうか。
この「伝え合う力」は、「聞く・話す・読む・書く」の力がお互いを支え合って鍛えられていきます。具体的にみていきましょう。
「聞く・話す」で伝え合う
小学校1年生・2年生では、「最後まで聞く、相手の顔を見て(集中して)聞く」こと、「身近に起きたことを思い出して話す、はっきりと話す」ことが目標です。積極的に話すだけでなく、積極的に聞く姿勢が求められているところがポイントといえそうですね。
「読む・書く」で伝え合う
読む場面では「読む楽しさに気づく」ことや「大切な言葉を選び出す」といった、伝え合う力の土台づくりをはじめます。読むことは文章の作られ方や、語彙を増やして説明する力を養う上でもとても大切です。書く場面では「経験したことや想像したことを書く、伝えたいことを書く」こと、そして「書いたものを読み返す習慣」をつけることが目標です。
これらを踏まえて、「伝え合う力」を鍛えるために、ご家庭でどんなことができるかを考えてみましょう。
実践! 国語力をアップする親子の習慣
「聞く・話す・読む・書く」の4つの力は密接に関わり合っています。小学校1年生・2年生は、言葉を覚えたり、使ったりすることを“楽しむ”ところからスタートです。勉強“させられている”と感じさせないよう、お子さまとのやりとりを工夫して「伝え合う力」を支えてあげましょう。
「今日どうだった?」で「聞く・話す」をトレーニング
学校から帰ったお子さまに「今日どうだった?」と聞くことは、「話す」を育む最初の一歩。さらにもう一歩踏み出して、お子さまのお話を受けて保護者さまが感じたことを伝えたり、「今日、お母さんはね……」と保護者さまからも発信したりすることで、「最後まで聞く力」を養うことにつながります。
また、学校で起きた出来事を「どう感じたの?」「どうしたら良くなったかな?」など、会話を膨らませていくのも、良いトレーニングになりますね。
同じ本を読んで感想を伝え合おう
小学校1年生・2年生の読書では、「本に親しむ」ことが大事。書籍から何かを学ぶというよりは、習慣となる楽しい読書経験を積み重ねる段階です。まずは1冊、親子で同じ本を読んでみてはいかがでしょうか。読書の時間は同時でなくともよく、お互いの時間がずれていても構いません。いつもの「今日どうだった?」に加えて、「あの本どうだった?」を会話に取り込んでみてください。本は共通の話題を増やして想像力を育む、素晴らしいアイテムとなります。
ちょっとしたお手紙のやりとりも◎
忙しいときには、お子さまとじっくり話せないこともありますよね。そうしたときにはメモ帳などを活用して、ちょっとしたお手紙のやりとりを楽しんでみるのがおすすめ。今日あったことや、やっておいてほしいこと、返事を楽しみにしていることなどを紙の上でやりとりしてみましょう。交換日記も貴重な思い出として残ります。親子のコミュニケーションを楽しむことは、国語力のアップにしっかりとつながっています。お子さまとのやりとりを通じて、一緒に国語力の成長を楽しんでいきたいですね。
<参考>
第2章 各教科 第1節 国語:文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/koku.htm
小学校国語科教育法(2017年告示の学習指導要領に沿う)
http://www.kenpakusha.co.jp/np/isbn/9784767921112/
ライター 大内 春香
小学生2人を育児中のママライター。整理整頓やグルメなど生活全般の記事を手がけているが、子育てしていくうちに育児や教育関連の記事を多数執筆するように。親子で一緒にできる家事やイベントを探してはチャレンジの毎日。
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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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