子どもが成長するにつれて子どもに持たせる「お金」について気になり始めると思います。特に小学生にあがってからは、「おこづかいは、いつからあげたらいいの?」「よその家ではどうしてるの?」という疑問が次々に湧いてくることでしょう。子どもに健全な金銭感覚を身につけてもらうためには、保護者さまとお子さまの間できちんとルールを決め、お金の使い方について意識を向けることが大切です。そこで、気になる子どものおこづかい事情や、金銭感覚の養い方についてまとめました。
いつから渡す? 子どものおこづかい事情
金融広報中央委員会は、2015~2016年に小学生から高校生を対象に「子どものくらしとお金に関する調査」を実施しました。ここではその調査の中から小学校低学年(1・2年生)に絞っていくつかのデータを見ていきましょう。
1.おこづかいを渡す時期は?
この調査によると「おこづかいをもらっている」と答えた小学校低学年の子どもは、全体の72.9%でした。性別で見てみると男子が72.9%、女子が72.8%となっており、性別は関係ないようです。小学校低学年の子どもの7割以上がおこづかいをもらっているということがわかります。
また、おこづかいをもらっている相手は「保護者」が67%で、「祖父母」は45.9%に留まりました。7割近い子どもが保護者からおこづかいをもらっていることがわかりますね。
2.おこづかいを渡す頻度は?
子どもたちはどれくらいの頻度でおこづかいをもらっているのでしょうか。もっとも多かったのが「ときどき」で、57.3%でした。「月1回」や「週1回」おこづかいをもらう子どもの割合が22.7%なので、決まった金額を渡しているご家庭は少数派のようですね。むしろ、必要に応じてときどき渡すようにしているご家庭が多いようです。
3.おこづかいの金額は?
それでは金額はいくらくらい渡しているのでしょうか。ここでは、もっとも回答の多かった「ときどき」おこづかいをもらう子どもたちについて見ていきましょう。
ときどきもらっている子どもの中で一番多かったのが「100~200円未満」で、全体の29.9%でした。半数以上の子どもたちが1回につき500円以下しかもらっていないことからも、やはり低学年のうちは、あまり多くない金額を必要な分だけ渡すというケースが多いのでしょう。
一方、「1,000~1,500円未満」が12.7%、「3,000円以上」が5.8%と、比較的大きな金額を渡しているご家庭もあるようです。全体の平均は1,004円ですが、中央値は163円でした。ただし、最頻値は100円でしたので、1回につき100円と決めているご家庭が多いようですね。
4.おこづかいの使い道は?
「おこづかいで買ったり、支払ったりするもの」の回答は、男女によって差が見られました。まず全体では、「お菓子やジュース」が36.2%で1位、「おもちゃなど」が32.1%で2位、「ゲームをする」が31.6%で3位という結果でした。
性別で見てみると、男子は「おもちゃなど」が1位、「ゲームをする」が2位、「お菓子やジュース」が3位で、女子は「お菓子やジュース」が1位、「ノートや鉛筆など」が2位、「家の人へのプレゼント」が3位にランクインしています。
男子の場合、「家の人へのプレゼント」は5位と女子より低い順位でしたが、「おこづかいを貯めて家の人にプレゼントをしよう」と考えている子どもが男女ともに多くいることがわかります。家の人へのプレゼントのために子どもがおこづかいを貯める姿を想像すると、ほほえましいですね。
おこづかいを渡す際のポイント、決まり事など
子どもにきちんとお金の使い方を覚えてもらうためには、ご家庭でのルール作りも大切です。実際に筆者自身が実践しているルールをご紹介します。
1.使い道は子どもに任せる
「手元にあるお金をどう分配して使うか」考える力をつけさせるのも教育のひとつです。せっかくのおこづかいをどうやって使おうかワクワクしている子どもに「あれはダメ、これはダメ」と言ってしまうと好奇心の芽を摘み取ってしまうことにもなりかねません。
小学校低学年でも使い切れる少額のお金を渡し、ある程度好きなように使わせてあげることでお子さまの自主性を育むようにしましょう。
2.前借りはNG
小学校低学年でもっとも多いのが「ときどき」渡すおこづかいですが、子どもが欲しいときに欲しいだけあげてしまわないように注意したいものですね。もし、欲しいときに欲しいだけあげてしまうと、子どもは「お金をちょうだいと言えば、いくらでももらえる」と勘違いしてしまいます。
同じ理由で前借りもNGです。「使えるお金はこれだけ。これ以上はダメだよ」ということをしっかり教えるのも大切なことです。
「お手伝いをしたらおこづかい」はアリ?
定期的に決まった金額を渡すのではなく、「食器拭きをしたら50円」「お風呂掃除をしたら100円」といった、成果報酬型のおこづかい制度を取り入れるのもよいですね。「前借りはNG」ですが、子どもが本当に困ったときは一時的に取り入れてみるのもよいでしょう。「お金を稼ぐのは大変なんだ」という意識を持ってもらうのに役立ちます。
親子で一緒に金銭感覚を養おう
「きちんとした金銭感覚を身につけてもらいたい」というのは、多くの保護者さまが願うところだと思います。そのためにも、保護者さまとお子さまが一緒になってお金について学ぶイベントに出かけたり、本を読んだりしてみてはいかがでしょうか。
学研プラスが発売している、「学研の頭脳開発 7さいまでに身につけたい お金の使い方と計算がわかる おかねのれんしゅうちょう」では、ご家庭で楽しく金銭感覚が養えますよ。
「お金の話はタブー」とせず、子どもと一緒に学べる機会を作るようにしましょう。
ライター 七尾 なお
生活コラムから経済誌まで、ウェブや雑誌を問わずさまざまな媒体で執筆をするフリーライター。男の子と女の子の二児の母。父親向けのコラム執筆や、育児に奮闘する母親や父親向けの情報サイトの運営など、教育関連の執筆にも力を入れている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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