「将来はユーチューバーになりたい」こんな夢を持つ子どもが増えていると、テレビや新聞で話題になりました。学研教育総合研究所の「小学生白書」でも同様の結果が発表されています。子どもたちのなりたい職業を詳しく見てみると、将来の夢を考える際のきっかけが見えてきます。
最近では職業体験テーマパークやイベントが多く見られ、子どもたちが将来の仕事について考える機会も増えてきています。小学生のころから仕事について考えておくことは、将来の職業選択においてプラスになるでしょう。ここでは、そのために保護者の方がサポートできることを解説します。
もくじ
イマドキの小学生がなりたいお仕事とは
学研教育総合研究所が行っている小学生の日常生活・学習に関する調査の「将来つきたい職業」に関する回答を見ると、子どもを取り巻く環境の変化が見られます。
1,200名の小学生を対象としたこの調査で、小学生が選ぶ最もなりたい職業はパティシエ(ケーキ屋さん)でした。2位は、プロサッカー選手と医師が同率で続きます。特徴的なのは4位にランクインしている「ユーチューバーなどのネット配信者」です。かつては見られなかった特徴で、子どもにとってインターネットの世界や、それによって生み出される情報が、身近で大きな影響を及ぼすものになってきていることが分かります。
ランキングの主な順位は以下の通りです。
1位.パティシエ(ケーキ屋さん)
2位.プロサッカー選手
2位.医師
4位.ユーチューバーなどのネット配信者
5位.教師・先生
5位.大工さん・建築家
7位.プロ野球選手
7位.看護師
9位.研究者
9位.警察官
※1 出典:学研教育総合研究所「小学生白書」将来つきたい職業(全体ランキング) https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/201708/chapter7/01.html
小学生のなりたい職業はいまも昔も変わらない!?
学研教育総合研究所「小学生白書」には男女別の「将来つきたい職業」の調査報告もあります。詳しく見てみると、順位の入れ替わりはあるものの、上位10位以内にランクインする職業は、昔から人気の職業であることが分かります。
男子は、サッカーや野球などスポーツ選手、教師、研究者などの仕事で、女子はパティシや保育士・幼稚園教諭、美容師、ファッション関係の仕事などです。保護者の方も子どもの頃を思い出してみると、同じような将来の夢を持っていた記憶があるのではないでしょうか?
ランキングの中には歌手・アイドルといった職業もランクインしています。ユーチューバーのような新しい職業も出て来ますが、身近な職業、憧れの対象となる職業が人気であるということは変わりません。子どもたちの生活スタイルも多様化し、さまざまな仕事について学ぶ機会も増えています。これからもいまの人気の職業はそのままに、プログラマーなどの新たな人気の仕事が増えていくと予想されます。
※2 出典:学研教育総合研究所「小学生白書」将来つきたい職業(男子・学年別) https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/201708/chapter7/02.html
※3 出典:学研教育総合研究所「小学生白書」将来つきたい職業(女子・学年別) https://www.gakken.co.jp/kyouikusouken/whitepaper/201708/chapter7/03.html
子どもたちが仕事を考えるきっかけとは?
子どもたちが将来の仕事を考えるきっかけは、テレビや本、インターネットで目にするものや、世間で話題になっているものだということが分かります。
2017年のランキングでは先ほどのユーチューバーのほかに、漫画家、アニメ制作関連、お笑い芸人などといった職業も登場しています。また、水泳選手やフライトドクターなど、それまで登場していなかった職業もランクインしており、オリンピックやテレビドラマなどをみて、影響を受けたと考えられます。このことから子どもたちは、身近にあるテレビやインターネットなどから大きく影響を受けていることが分かります。
その一方で、整形外科医や放射線技師、言語聴覚士など具体的な職業をあげるケースも見られます。しかし、こうした職業は普段の生活では目にすることがないため、こうした職業があることすら知らない小学生も多いことでしょう。保護者の方や身近にいる大人でこうした職業についている方をみて、憧れを抱いたと考えられます。このように、子どもたちは身近にあるものや、身近にいる大人から大きく影響を受けていると考えられます。
子どもが将来の夢を描くときには、世の中にはさまざまな職業があるということを教えてあげたいものです。では、その際に保護者の方がサポートできることはあるのでしょうか。特に「将来何もやりたいことがない…」などという子どもに、何かできることはあるでしょうか。
職業体験の場を活用しよう
子どもが将来の仕事を考えるときに役に立つのが、職業体験です。キッザニアやカンドゥーなど、さまざまな仕事を体験できるテーマパークが人気になっています。こうしたテーマパーク以外でも、行政や民間企業がさまざまな職業体験イベントを開催しています。最近では、英語で職業体験の場を設けている民間企業も現れ、英語を使って仕事をするという体験もできるようになっています。
こうしたテーマパークやイベントへの参加は、楽しみながら手軽に取り組めるのが魅力です。アトラクションを楽しみながら、同時に世の中にはどのような職業があるのか、自分はどんな仕事に興味があるのか、向いているのかなどを知る良い機会になるでしょう。ぜひ活用してみてください。
なりたい職業を見つけるために、いま親子でできること
職業体験に参加することと並行して大切なのは、普段から仕事について親子で話し合うことです。と言っても、面と向かい合って「将来、何になりたいの?」と聞く必要はありません。テレビで警察官や消防士、医師などの番組を目にしたときに「警察官ってすごいよね~」など、簡単な言葉を投げかけてみるだけでも良いでしょう。こうした投げかけをしていく中で、自然と子どもがその職業について考えるようになり、将来の夢が形になっていくかもしれませんよ。
そして、もし可能であれば、保護者の方が仕事をしている姿を見せてあげてください。子どもは保護者の方の仕事にとても興味があります。私自身、ライターを仕事にしているのですが、小学生の息子がたまに隣にやって来て、壊れたキーボードを手に仕事の真似事をしています。「明日はどこの仕事(取材のこと)に行くの?」など、親の仕事に興味津々なのです。分かり易く説明してあげると、嬉しそうに「そっか~」と聞いています。
将来、子どもが保護者の方と同じ職業につくかは別として、日頃から多くの仕事を目にする機会と、仕事について考える機会を与えてあげることは大切です。将来、より良い進路や職業の選択ができるように、サポートしてあげたいですね。
ライター:石井 けん
広告代理店でデザイナーとして勤務後独立。デザインのかたわら、現在は医療系記事、インタビュー記事、育児関連記事なども多数手掛けるライターとして活躍中。小学生の子どもを持つパパライター。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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