「会社を辞めて独立して成功したい」、あるいは「新しいビジネスで起業して成功したい」場合、お金ありきで目標を考えないほうが、成功の確率は高くなります。
もちろん、お金が理由のひとつであったとしてもいいでしょう。
ビジネスでは、数字を求めることが絶対に必要です。
目標設定でも「数字」がわかりやすい。大学受験でも、偏差値という数字が目安になります。世の中、数字を意識しなければ、上を目指せません。
ただ、お金はただの紙に過ぎませんから、成功のイメージが作りにくい。
1億円の紙を思い浮かべるより、1億円で手に入るもの、たとえば、家とか暮らしを想像したほうが、イメージしやすい。具体的にイメージしたほうが、目標も達成しやすくなるのです。
そういう意味では、お金を目標にするのではなく、お金持ちになって「どうなりたいか」「どう生きていきたいか」「どんな生活を送りたいのか」をはっきりさせると、成功しやすいのです。
要は、「お金の使い道をどうしたいか」を明確にして、目標を達成しやすくするということです。
もし、お金を得た先にほしいものがないのであれば、わざわざひとりになったり、起業する必要はなく、会社員として普通に働いていればいいと思います。
僕の場合、公認会計士試験に合格して4大監査法人に就職すると年収600万円になって、普通以上の暮らしができることがわかっていました。
お金はもちろん魅力です。ただ、年収がいちばんの目的かというと、違いました。
強かったのは、大学在学中に公認会計士試験に合格して、親から尊敬されたいという気持ちです。
会計監査は、公認会計士にしかできない独占業務なので、公認会計士の資格を取っていると、就職には困らないし、一生食べていけます。
2年の浪人生活で200万〜300万円かかり、大学は私立で、なおかつ親元を離れてひとり暮らしをさせてもらっていたので、4年間では下手したら1000万円くらいはかかったでしょう。
僕には兄がいますが、国立大学を出ていますから、学費は僕ほどかかっていませんし、大学の教員になって抜群の安定感がある。僕も社会で生きていくのに強い資格を取って、親を安心させたいという気持ちが強かったのです。
そういう気持ちがなかったら、大学4年間、もくもくとひとり勉強して、大学在学中に公認会計士試験に合格することはできなかったでしょう。
起業する時も、第一の目的として、お金がほしかったわけではありません。
会計監査の仕事が激務だったこともあり、より自由になる時間や、より自由なライフスタイルを何よりも手に入れたかったのです。
だから、独立起業を目指しました。トーマツは給料がよかったですから、お金がほしいだけだったら、辞めなかったでしょう。
お金の先の目標設定をしっかりすることで、「ひとり戦略」は成功するのです。
(※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。次回は5月17日掲載予定です。)
金川 顕教 (かながわ あきのり)
起業コンサルタント・事業家・作家。
◆1986年、三重県生まれ。東京都港区在住。偏差値35から大学受験を志し、2浪の末、立命館大学産業社会学部に入学。大学合格発表直後から受験勉強を資格試験勉強に切り替え、在学中に難関の公認会計士試験に合格。その後、世界一の規模を誇る会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループである有限責任監査法人トーマツに就職。
◆新入社員で年収600万円が保証される生活に「これで一生安泰の人生が送れる」と思ったのも束の間、自分自身の時間が削られていく不自由さに耐えきれず、毎日の激務をこなしながら起業のための勉強を開始する。勉強期間中の副業で給料の10倍の収入を得て、軌道に乗ってきた2013年に独立。以来、事務所なし従業員なしの会社は年々売り上げを伸ばし、2018年現在の5期目は1期目の20倍の年商を見込む。
◆著書に『すごい効率化』(KADOKAWA)、『20代の生き方で人生は9割決まる!』(かんき出版)、『これで金持ちになれなければ、一生貧乏でいるしかない。』(ポプラ社)、『時給思考 1時間で10倍の成果を生み出す最強最速スキル』(すばる舎)、『シナジー人脈術 最小限の力で最大限の成果を生み出すたった1つの方法』(あさ出版)ほかがある。
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