お金が消える人はせっせとお金を貯め
お金が増える人はせっせとお金を手放す
子どもの頃、お年玉などをもらった際に、
「とりあえず貯金しなさい」
というしつけを親から受けたことがある人も少なくないと思う。
ムダ遣いをしないようにという親心ではあるが、これを「常識」として大人になっても持ち続けると、お金が消える原因の一つになる。
目的もなく、ただ貯めて使わないでいるお金は、そもそも持っていないのと同じ。もちろん、持っていることで安心は得られるが、ただお金を寝かせている非効率さに気がつく必要がある。
たとえば、我慢してエアコンを使わなければ、確かに電気代は節約できる。
しかし、こうは考えられないだろうか。
「使わないエアコンに、いったいどんな存在意義があるのか?」と。
10万円で買ったエアコンを持っていても、使わなければ、壁にかけた10万円の絵画のようなもの。絵画ならまだ部屋の雰囲気作りに役立つが、エアコンはただのハコにすぎない。
それだけでなく、エアコンを使ったら得られたはずの快適さを自ら捨て、夏は汗だらだら、冬は寒さに震えることに、どれだけの意味があるのだろうか。
同様に、1500円がもったいないからと本を買わなければ、今の自分が持っていない情報や知恵や考え方がもたらされない。
10万円がもったいないからと海外旅行に行かなければ、新たな見聞や発見がもたらされない。
節約・貯金とは、言い方を変えれば「使えるお金を少なくし、わざわざ選択肢を狭める行為」である。
支出が小さければ、経験できる種類と範囲もまた小さくなる。お金を使わなければ得られない、人生の広がりを捨て続けることになる。
それに気がつくかどうか。
お金が増える人は、「お金は活用するもの」という発想で、どんどん使う。
これは、「宵越しの金は持たない」とばかりにパーッとすべてを使いきるといった、無計画さを指すのではない。
お金は単なる道具であること、ただしそれが「人生を豊かにするための道具」であることを、無意識のうちに理解しているのだ。
だからこそ、人と出逢うこと、本を読むこと、旅をすることなどにより、未知の経験にお金を使う。
それが新しい人脈や着想につながり、またあらたな目的が定まり、解決方法も発見できる。意識しなくても稼ぎ力が強化され、お金が増える体質になる。
それでも余ったお金は、普通預金や定期預金として遊ばせたりはせず、金融商品や不動産などで運用する。かくして、ますますお金が増えていく。
そうした意識や生活の違いが、10年、20年と積み重なったところを想像してみよう。
人脈・お金・情報・モノと、あらゆる分野で資産が形成され、ただの貯金好きとは雲泥の差がつく。
お金を使うことによって、そこから何かしらのリターンを得られる(得よう)という目的があれば、浪費ではない。より満足度の高いお金の使い方となり、豊かな人生につながるはずだ。
午堂 登紀雄 (ごどう ときお)
1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。
作品紹介
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