お金が消える人は「そういうもの」と素直に信じ
お金が増える人はその「意味」を具体的に考える
仕事でもプライベートでも、次のようなことを言われた経験はないだろうか。
「でもそれって、そういうものなんじゃないの?」
そこで「そうかもね」と、何も考えずにうなずいてしまうのは、お金が消える人である。
深く考えることを面倒くさがり、論理的思考が苦手な人は、この「そういうもの」という抽象的な言葉に弱い。ではなぜそれが、お金とのつき合いにつながるのか。
たとえば前述の結婚式。親や親戚から「一生に一度の晴れ舞台だから」と言われて「そんなものかな」と受け入れたら、どんどん豪華になって費用は高くつく。
あなたも友人知人の結婚式に何度か出席したことはあると思うが、その内容をどのくらい覚えているだろうか。
誰が歌を歌ったとか、出し物が面白かったとかいう程度で、具体的に何が豪華だったかは覚えていない人も多いのではないだろうか。
その程度の印象しか残らない、わずか2時間ほどのイベントに高額のお金をかけ、他に振り向けるべきものに思考が及ばない。
たとえば東日本大震災の直後、都内で接待の宴会をやろうとした私の知人の経営者は、「不謹慎だ」と非難されたそうだ。
こんなとき、ロジックに弱い人は、「不謹慎」「倫理上問題がある」などと言われると、深く考えることなくシュンとしてしまう。
だから自分も論理的な思考を持たなければ、相手の抽象論に呑み込まれる。不利な判断を押しつけられる。
具体的に考えようとすれば、こう反論できる。
「なぜそれが不謹慎と言えるのか? 根拠は何か?」
「不謹慎とは誰から見たものか? 誰による判断なのか?」
「その人は、他人を不謹慎だと判断できる器量や資質を持っているのか?」
「仮に不謹慎だとして、それでいったい誰が困るのか? 具体的に何が困るのか?」
そう聞けば、たいていの相手はぐっと言葉に詰まる。結局、自分の勝手なモノサシで言っているだけということがわかる。
そもそも抽象的な言葉で相手を指摘する人は、思考も抽象的だ。抽象論を押しつける人は、論理に弱い。具体的に考えていないから、「たとえばどういうこと?」と振られると答えられない。
つまり、抽象論の意義や必要性を見極めることができれば、周りが反対することでも、臆せずに挑戦できるということ。
先の経営者はこう答えていた。
「誰かがお金を使わなければ、経済の血液であるお金が回らない。飲食店に客が来なくて売上が上がらなければ、その分取れるはずの税金、その分送れたはずの義捐金などもなくなる。それは回りまわって被災者にも影響する。
それに、そんなときこそ重要な商談・接待をしてビジネスを拡大することで、新たな雇用を生み、税金の原資にもなり、経済活性化につながる。それはやはり巡り巡って被災者に良い影響を与えるだろう。
自粛するのは被災者の心によりそうため? それで本当に被災者は喜んでくれるのか? 『わあ、ありがとう』と感謝されるのか?
息をひそめてひっそりしていることが、なぜ被災者のためになるのかというロジックが見えないどころか、むしろ逆ではないか。不謹慎だと言う人は、ただ単に思考が浅いんだよ」
そうして彼は接待した相手と合弁事業を立ち上げ、さらに利益を拡大している。
論理的かつ具体的に考え、雰囲気や感情ではなく合理性による判断が、結局はお金が増える思考につながっていくということだ。
午堂 登紀雄 (ごどう ときお)
1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。
作品紹介
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