昨年9月に発売されて以来、根強い人気のある「アスペルガー症候群だっていいじゃない」。
発達障害やアスペルガー症候群という、ともするととっつきにくくなってしまいがちなジャンルを4コマ漫画で、当事者目線で読みやすくわかりやすく語った1冊です。
この本の著者であるしーた さんにインタビューをしました!
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Q.しーたさんの人気ブログ『私はアスペルガー症候群でしーた♪』の書籍化の話があったとき、どう思いましたか?
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「あわわわわ~!」でした(笑)
ブログが本になることがあるというのは、話では聞いたことはありましたが、ブログを始めて5ヶ月目でしたので、あまりの早さにびっくりしました。
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Q.ブログと本では、記事の見せ方などがかなり異なりますが、「書籍化するにあたって、これだけは外せない!」というこだわりはありましたか?
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最初、書籍化のお話をいただいた時は、全てモノクロの予定でしたが、「どうしてもカラーページを入れてほしい」とお願いしました。
これは、私自身の経験から考えたのですが…本屋さんへアスペルガー症候群の本を探しに来る人の状況を考えると、とても切羽詰っていたり、落ち込んでいるんじゃないかと思いました。
そんな人が、手にとった時に、カラーで楽しそうなマンガが見えたら「あれ?なんだか楽しいかも…」って気持ちになってもらえるんじゃないか…そう考えて、カラーページを入れていただくようお願いしました。
もう1つは、文字のフォントです。明朝体ではなく、私が読みやすいと感じていた丸ゴシックでお願いしました。
実際に、本を読んだ複数の方から、「明朝体でなくて、とても読みやすかった」と感想をいただきました。学習障害の方の中には、明朝体の文字を読みにくいと感じる方が多くおられるようです。
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Q.書籍化するにあたり、マンガは全部描き直したそうですね。また、本書には、ブログにはないヒミツがある!と聞きましたが…?
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マンガを書き直したのは、初めの頃の絵と最新のマンガの絵がぜんぜん違ってたからです。今見ると、マジックで描き殴りのマンガで…恥ずかしいです。
また、ブログにはない、新しいエピソードを2つ追加しました。特に「伝言ゲーム」のエピソードは、子どもの頃から発達障害の診断が降りるまでずっと不思議に感じていたことでした。
あと、ちょっとした遊び心なのですが、本のどこかにあすぺさんを忍ばせておきました(笑) 本をお持ちの方は、ぜひ探してみてください。
ヒントは「想定外」です!
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Q.「アスペルガー症候群だっていいじゃない」は、アスペルガー症候群当事者はもちろん、支援する側の読者からかなり好評です。なかなか重い話題ですが、しーたさんがこのように楽しく語っていることによって、発達障害に対するハードルが下がっているのでしょうか。
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一般に、何か障害を持っているというと「大きな十字架を背負っている」的な悲壮感を感じるようですが、私自身は、そのように考えていません。
実は、発達障害の人の困りごとの1つ1つは、些細とも思える小さなものがほとんどです。けれど、その数が多すぎるために問題へと発展してしまいます。
ですから、発達障害の人にとって一番必要なのは、些細とも思える小さな困りごとに対して、1つ1つていねいに工夫をして毎日の日常生活が少しでも心地よくすることなのです。
こういう目線で「発達障害」を考えれば、ごく自然に、ちょっぴり笑える話として楽しく語れるようになると思います。
それが、「発達障害に対するハードルが下がる」ということかもしれません。
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Q.先月起きた東日本大震災で、何人もの発達障害者が被災したと思いますが、このような場合、慣れない環境で周りがしてあげられることは何があるのでしょうか?
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まずは、発達障害のお子さんを持つご家族など、同じような事情を抱えた家族が気を使わず過ごせるスペースがあるといいですね。一緒に過ごすことで心強さも感じられるでしょう。
あと、私のような単身の大人の発達障害の人はかなり困っていると思います。
おそらく、雑然とした避難所で日々の生活のスケジュールも見通しも立たない状況。そんな中で、突然、食事や大切なことのアナウンスがされても、聞き取れなかったり、意味を理解できず、必要なものをもらえなかったり、周囲の人との摩擦が起きたりするかもしれません。
できるだけ、こうした情報伝達のアナウンスは音声だけではなく、例えば、配布する実物を見せながらアナウンスをするなど、視覚的な情報を加えて伝えてもらえるとわかりやすいと思います。
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Q.最近は、以前に比べて発達障害やアスペルガー症候群の知名度が上がってきていますが、当事者から見て、暮らしやすくなったなと思う点はありますか?
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知名度があがることで、メリット・デメリットの両方を感じます。
メリットとしては、周囲がある程度の基礎知識をもっていると、障害についての説明が楽になります。これは、情報伝達が不得意な発達障害の人にとっては非常にありがたいことです。
デメリットは、マスコミで報じられる偏ったイメージが定着することによる弊害です。
本来は、アスペルガー症候群を初めとする発達障害の人の得意・不得意は当事者ごとにバラバラですから対応策も十人十色になるはずです。ところが、マスコミで取り上げられやすいタイプの発達障害のパターンがイメージとして定着してしまうため、そのパターンに当てはまらない発達障害の当事者であっても、同じ対応をされてしまいます。
例えば、一般に、発達障害の人には、「絵を描いて説明するほうが理解しやすい」と言われています。しかし、実は、絵を見るよりも耳で聞く方が理解しやすいタイプの方もおられるなど。
今後は、いろいろな発達障害の情報が社会へ発信されることで「能力の凸凹のあり方によって、当事者ごとに最適な方法は異なる」ということが強調され、偏りのない発達障害のイメージが定着してほしいです。
私の本が、その一助となれればいいなと思います。
編集部:ありがとうございました。確かに本書を開くと、書体もそうですが行間が適度に空いていてとても読みやすいです。これは、しーたさんの考えもあってのことなのですね。
『アスペルガー症候群だっていいじゃない』は、続刊を期待する声も多いようです。
これからも楽しみですね!
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