ベルギーで生まれ、世界中の親子に愛されている絵本シリーズ。最新作は日本が絵コンテを起こし、原作者へ提案して実現!!
ベルギー発、世界25言語以上に翻訳出版。日本でも累計発行部数65万部を超える大人気の絵本シリーズ「おさかなちゃん」。今年2024年で原作誕生20周年、Gakken版誕生10周年をむかえました。

▲ 祝Gakken版10周年! 0歳~3歳のこどもを中心にママパパにも長く愛されている
記念すべきお祝いの年に登場した新作は、主人公の白いおさかなちゃんが誕生したときの物語『ちっちゃなおさかなちゃん、うまれたよ!』。
シリーズのノウハウを結集した集大成ともいうべきこの巻は、なんと第0巻として発売しました。

▲第0巻のカバーは、お祝いの気持ちがこめられた、キラキラホログラム加工のスペシャル仕様!
《ストーリー概要》
物語の舞台は読む人の心の中にある、広~い広~い海の中。おさかなちゃんが生まれた場面から始まります。「ママですよ~」とテレながらはじめての声をかけるママ。うれしくなってわが子の誕生を海じゅうに知らせてまわるパパ。知らせを聞いて、海の仲間たちが次々におさかなちゃんに会いにやってきて…。みんなの祝福の気持ちがいっぱいつまった、しあわせな1冊。
もくじ
【日本から提案!】 おさかなちゃん第0巻=エピソードゼロが実現するまで.。o○
「おさかなちゃん」シリーズは、ベルギーを代表する絵本作家、ヒド・ファン・へネヒテン氏の作品。
その日本語版で翻案を担当しているのが、古藤 ゆず氏。オノマトペ(擬音語・擬態語)やこども目線で短くまとめた文など、独自のアイディアをたくさん盛りこみ、日本語版を長く愛されるシリーズへと導きました。

▲ヒド・ファン・へネヒテン氏。日本でも『おむつのなか、みせてみせて!(パイ インターナショナル)』などヒット作品が多数

▲古藤 ゆず氏。出版社での編集の経験や、3人の子育ての経験を活かし、数多くの絵本作品の企画や構成、文を担当している
『ちっちゃなおさかなちゃん、うまれたよ!』は、古藤 ゆず氏のアイディアがもとになっています。原作者のヒド・ファン・へネヒテン氏が、他者の絵コンテを受けいれ、みごと出版が実現した、という点では、世界25以上ものほかの翻訳出版国でもまだ果たせていない、はじめての事例です。
古藤氏は、原作シリーズに描かれている「心の中の想像の海」の世界観を大事にしながら、絵コンテを起こしました。そして数か月をかけて、骨組みをととのえていきました。

▲完成した古藤氏の絵コンテ。こだわりや伝えたい思いがこめられている
ようやくまとまった絵コンテに、注目してほしいポイントの説明をていねいに加えた後、ベルギーの原作出版社Clavisを通じて、原作者のヒド・ファン・へネヒテン氏へ打診。
数週間ののち、ヒド・ファン・へネヒテン氏に企画が受けいれられ、絵を描いてくれることになったとの知らせが届きました。
さらに日本語版だけでなく、原作国のベルギーでの出版も決定。世界じゅうの翻訳出版社にも紹介していく方向で、話のスケールが広がっていきます。
やがて、古藤氏の絵コンテを参考に描いた、ヒド・ファン・へネヒテン氏のラフスケッチが完成しました。

▲ヒド・ファン・へネヒテン氏から届いた鉛筆ラフスケッチ。楽しみながら描いた様子が伝わってくる
鉛筆ラフスケッチの確認・修正依頼、その後のカラーラフの確認・修正依頼を何度か重ねて…数か月後、ついに絵が完成! その絵に合わせて文や言葉を推敲し直し…、ついにデザインも完成しました。
《絵コンテから完成までの流れ》
1.古藤 ゆず氏の絵コンテ
2.ヒド・ファン・へネヒテン氏の鉛筆ラフスケッチ
3.ヒド・ファン・へネヒテン氏のカラーラフ
4.絵の完成。文や言葉の推敲
5.ページデザイン
6.カバー・表紙デザイン
7.印刷所へ
▲絵本ができるまでの制作工程をさらっと解説した動画。実際には各段階でそれぞれ数週間~数か月をかけ、たくさんの議論や模索、修正調整を重ねた

▲(左)日本語版の表紙:説明要素の多いカバーをはずすと、絵本らしいキュートな表紙が現れる。/(右)ベルギー(オランダ語版)の表紙:日本語版とちがってカバーはなくシンプル。サイズも大きめ

▲ベルギー版のトビラページには、古藤氏への謝辞が。「With thanks to Yuzu Koto and Gakken in Japan」の意
翻訳出版国からの物語企画、しかも第0巻という斬新な提案に賛同し、繊細であたたかみのある絵を完成させたヒド・ファン・へネヒテン氏。そんな彼から、発売に際してメッセージが届きました。一部を抜粋して紹介します。
【ヒド・ファン・へネヒテン氏より】
日本と連絡しながら絵本を作りあげていく過程は、エキサイティングですごく楽しかった!.。o○
「『エピソードゼロ』を作るというのは実にワクワクする試みでした。出版を決定した後、わたしは、すぐにあれこれを考え始めました。『生まれたばかりのおさかなちゃんは、どんな感じかな?』とかね(笑)」

▲生まれたばかりの“新生児”おさかなちゃんを見られるのはこの巻だけ。シリーズのほかの巻にくらべると目が大きく、尾ビレも小さめ
「おさかなちゃんのママとパパは、すべてのママとパパを代表する存在です。個性についても、いろいろな国の読者にとって共感できるものであるようにと考えて描いています。ママもパパも親になったばかり。パパはまだまだやんちゃですが責任感があり、おさかなちゃんのことが大好き。ママは思いやりがあり、おさかなちゃんをやさしく見守っています」

▲喜び大爆発のパパ。「びゅびゅーん」とおよいで「おさかなちゃんが うまれたよ!」と仲間に伝えてまわり…
「この作品を通じて、赤ちゃんをむかえるときのウキウキした気持ちや喜びを、表現したいと思いました。新しい命をいつくしむというのは、人生においてとても大切なことです。赤ちゃんの世界が広がっていくのを見守るのは、素敵な体験です。そんなことが伝わるとうれしいです」

▲ひっかいたり絵の具を飛び散らせたり、ユニークな手法を駆使したテクスチャーも魅力のひとつ。海草の触感が伝わってくるようで想像力をくすぐられる
一方、企画・構成・文を担当した古藤 ゆず氏からも、メッセージが届きました。一部を抜粋してご紹介します。
【古藤ゆず氏より】
「生まれたとき、みんながこんなに喜んだんだよ」と、こどもたちに伝えたい!.。o○
「ラストのせいぞろいのシーンはいちばん気に入っているページ。海の仲間がおさかなちゃんを愛おしく思う気持ちがページからあふれています。ここの文については、絵が完成したあと推敲をくり返して、最後まで悩みました。自分のこどもが生まれたときの気持ちを時間をかけて思い出し、そうして出てきた『ママ パパ みんなに かこまれて おおきくなあれ! おさかなちゃん』の文は、とても好きです」

▲ラストシーン。おさかなちゃんの誕生を祝いにきた海の仲間たちがせいぞろい
「実生活で、はじめてわが子と対面したとき、あまりに小さくて驚いたこと、周りのみんなが顔をほころばせてお祝いしてくれたことを、今でも思いだします。誕生した生命の愛しさ、親子になったうれしさを、おさかなちゃんの物語で伝えられたら…と思いました」
「読者をとりまく環境も、(Gakken版シリーズがスタートした)10年前よりずっとパパが育児に関わるようになり、こどもとのコミュニケーションも増えている様子。なので、ママパパどちらも登場するはじめての巻にしたいなと思いました。ママパパがいっしょにおさかなちゃんを見守るストーリーはきっとみなさんに共感してもらえるのでは、と。たくさんの絵本を前に、どんな物語から読み始めればいいのか、とまどわれているママパパの入り口にもぴったりな1冊です」

▲本にはさんである四つ折りの解説リーフレット。提案時や制作時の気持ちなど、ふたりの興味深い制作ウラ話も読める
シリーズ「誕生」の記念の年に実現した「おさかなちゃん誕生」の物語。
著者ふたりの熱いメッセージやウラ話は、下記サイトでもくわしく読むことができます。
この機会に、絵本の舞台ウラをのぞいてみるのはいかがでしょう?
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ヒド・ファン・へネヒテン×古藤 ゆず WEB対談風メッセージ 《Gakken公式ブログ》
商品の紹介
■書名:『ちっちゃなおさかなちゃん、うまれたよ!』
■絵:ヒド・ファン・へネヒテン 企画・構成・文:古藤 ゆず
■発行:Gakken
■発売日:2024年4月4日
■定価:1,100円 (税込)