池上彰さんが中学校で特別授業。「焦らずに、やりたいことを見つけてほしい」とエールを贈る

『なぜ僕らは働くのか ─君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』

更新日 2021.12.06
公開日 2021.12.02
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©Gakken(撮影/斉藤秀明)

 『なぜ僕らは働くのか』(学研プラス)を監修した池上彰さんが、2021年12月2日、船橋市立習志野台中学校の全校生徒を対象に特別授業を行いました。池上さんは、「働くこと」「成長すること」などについて、生徒の不安に寄り添った言葉をかけました。

 オンライン授業と聞かされていた生徒たちの前に、サプライズで池上彰さん本人が登場すると、生徒たちは驚いた様子で声を上げ、歓迎しました。

 池上さんは、自分の中学生時代の夢について「気象庁予報官になりたかったが、数学と物理が苦手で夢を挫折した。しかし、NHKに入局後、人に気象を伝える仕事ができ、違う形で好きなことに携わることができた」とエピソードを披露し、職業に対する選択の広さを伝えました。

 生徒からの質問コーナーでは、「大人はなぜえらそうにしているのか、すぐ怒るのか?」という質問に対して「大人は自分が人生の大先輩と考えて、上からの目線で話をしてしまう。自分もいっぱい失敗をしてきたから、自分のように失敗してほしくないという親心から、ついつい怒ってしまう。そんな親たちも怒った後で、後悔をしていることもある」と答えました。また、別の生徒から「大人はなぜSNSで批判したがるのか?」という質問に、「SNSは匿名。人は陰口や悪口をいうことは昔からあったが、人伝いなので伝わるとしても時間がかかった。SNSはすぐに直接伝わってしまう。人間はきれいなところも汚いところもある。そういう卑怯で弱い心があることを自覚して、そうならないように考えることが大事」と答えました。

 最後に池上さんは中学生にこんなエールを贈りました。

 「私たちはみんな、去年から今年にかけてつらい思いをしてきました。10年後、20年後には一緒にした経験を、あの時は大変だったと語り合える。人間は1人では生きられない社会的な動物です。働いて給料をもらって、姿が見えなくても巡り巡ってどこかで喜んでくれる人がいる、それが生きがいになる。やりたい仕事が見つからなくても焦る必要はない。お金をもらうことで自分が働いたり存在する意味が見つかる。社会の中で、社会を支えていく人間になってほしい」

©Gakken(撮影/斉藤秀明)

 特別授業のあと、松山悠翔(まつやま・はると)くん(3年生)は「やりたいことなどをあきらめていたり、今後どうしようか不安だったが、池上さんの話を聞いて少しずつ努力をすればいいんだと安心した」と感想を述べました。

 今回の特別授業の発起人の一人である同校PTA会長橋本知枝(はしもと・ちえ)さんは、「コロナ禍だからと何かを失ったり、あきらめるなんてもったいない。今しかできない出会いと体験を届けたい。そんな思いで、池上彰さん監修の「なぜ僕らは働くのか」を全校生徒に贈り、今回の特別授業を企画しました。生徒みんなの未来への不安も期待も、全力で応援するPTA発キャリア教育です。今回の池上さんのお話は、私たちが言いたいことを優しく、わかりやすく説明してくれました」と笑顔で語りました。

本の紹介

なぜ僕らは働くのか ─君が幸せになるために考えてほしい大切なこと

『なぜ僕らは働くのか』書影

▲爆発的なヒットを起こしている『なぜ僕らは働くのか』

監修:池上 彰
発行元:学研プラス
発売日:2020/3/19

誰でもわかる語り口で、働くこと、勉強すること、AI時代の生き方、やりたいことの見つけ方などを解説した、大人でも手元に置いておきたい一冊。発売5日で増刷がかかるなど話題となり、現在は累計発行部数46万部となっています。日販の児童書部門ベストセラー第1位(2020年4~21年11月累計、日販オープンネットワークWIN調べ)、紀伊國屋書店全店ランキング児童書部門1位(2020年4~9月紀伊國屋パブライン調べ)など、各種のランキングで1位を記録しています。

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