『歴史群像 2019年8月号』

2019.07.11

付録とは思えない高いクオリティー

 今号は別冊付録として、ゲームマップ、打ち抜きコマシート、ルールブック(32頁)から成る本格的なボードゲーム一式がついている。ゲームの内容は、表面が「第二段作戦 日米空母決戦1942(2人用)」、裏面が「マレー沖海戦1941(1人用)」で、ともに太平洋戦争の焦点となった作戦だ。

「第二段作戦」とは?

 太平洋戦争の序盤における諸作戦(日本海軍では「第一段作戦」と呼称)を終えたあと、日本軍は、真珠湾で叩けなかったアメリカ海軍空母の撃滅や、米豪連絡線(アメリカとオーストラリアを結ぶ輸送ルート)の遮断など、いくつかの課題に直面した。これらを解決する方法として検討されたのが「第二段作戦」だった。

 史実では、日本海軍は東部ニューギニアの要衝、ポート・モレスビーの占領を目指すMO作戦の一環として珊瑚海に空母を投入、出現した米軍空母との間で史上初の空母対空母の戦いである珊瑚海海戦が起こった。その一方で、ミッドウェー作戦が実施され、虎の子の空母4隻を喪失するという大敗を喫してしまう。さらに、ガダルカナル島への進出を契機として泥沼の消耗戦にはまり込み、ついに日本軍は敗勢へと転じることとなった。

史実では選択されなかった、作戦を実施していたら?

 今回の「歴史群像」の付録ゲームは、戦争や軍事作戦を盤上に再現して戦う、「ボード・ウォーゲーム」あるいは「シミュレーション・ゲーム」と呼ばれるジャンルのものだ。名前の通り、史実で採られたのとは異なる作戦を選択することもできる。ボード・ウォーゲームとは、こうした「歴史のif」をあえて試みることで、史実だけでは見えてこない、その戦いが持っていた異なる姿を浮かび上がらせ、それによって、その戦いをより深く学べるツールとも言えるのだ。

 通常この種のゲームは3000~4000円程度はするが、それだと少しハードルが高いと考える方もいるだろう。「歴史群像」8月号であれば、特別定価税込1185円で、雑誌と本格的な特製ボードゲームが手に入る。しかも、表と裏で2つのゲームが楽しめる。入門者にも解りやすいルールブック(32頁)も付いており、何度かプレイすれば、すぐに楽しめるようになるはずだ。

「戦い」という視点から歴史を読み解く雑誌

「歴史群像」は1992年に創刊した隔月刊の歴史雑誌だ。中心としているテーマは「戦い」。日本史なら戦国、幕末から日露戦争、太平洋戦争など、世界史ならローマ帝国、ナポレオン戦争から第一次、第二次世界大戦、朝鮮戦争、中東戦争等に至るまで、古今東西のさまざまな戦いからテーマ、切り口を厳選し、多彩な記事を掲載している。

 この8月号では特集は以下の3本。
 1)ラバウル航空戦1942、2)児玉源太郎の生涯、3)ドニエプル攻防戦1943
 (歴史群像では毎号読み応えのある16前後の特集を3本掲載)。

 その他、島津豊久、ソ連のICBM開発史~技術者たちの戦い、若狭国吉城、日本海軍艦上機発達史ほか、興味深い記事が満載だ。歴史の好きな方はぜひ書店で手に取ってみていただきたい。

 今年の夏は、「歴史群像」のゲームのマップを机に広げて、太平洋戦争の焦点となった「第二段作戦」を、司令官になったつもりで追体験されてみてはいかが。

※「歴史群像」8月号は電子版も出ていますが、電子版にはボードゲームは付いていません。

「歴史群像」8月号付録・特製ボードゲーム一式。左上より時計回りでルールブック、表紙(自分で切って組み立てるサイコロ付)、コマシート、ゲームマップ。

付録ゲームのマップ表面「第二段作戦」を開いた状態。

付録ゲーム「第二段作戦」プレイ中の一場面。日本海軍の空母『翔鶴』と『瑞鶴』がガダルカナル島近海に進出、米軍の空母1隻と遭遇(画面中央の「CV1」と記されたコマがそれを示す)し、これから海戦が始まるという状況。

「第二段作戦」の主役の一人、山本五十六連合艦隊司令長官(中央)とその参謀たち。彼ら連合艦隊司令部は、ミッドウェー作戦の実施を主張した。

ミッドウェー海戦で米軍機の攻撃を受ける空母『飛龍』。

商品の紹介

■書名:『歴史群像 8月号』
■発行:学研プラス
■特別定価:本体1,097円+税
■発売日:2019年7月5日

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