なんでかな? どうすればいいのかな? 子どもの論理的思考力を伸ばす親子の会話

子育て・小学生の学び・中学生の学び

公開日 2018.06.25
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 子どもの論理的思考力を伸ばすには、子どもに「なんでなのかな?」「どうすればいいかな?」などの言葉をかけ、親子のコミュニケーション通じて、子どもが順序立てて話ができるように導くことが大切です。

 家庭での親子の会話は、論理的思考力を鍛えるための絶好のトレーニングの場となります。今回は、子どもの論理的思考力を養うために役立つ、会話のヒントをご紹介します。

論理的思考力とは?

 論理的思考力とは、簡単にいえば「ものごとを順序立てて考える力」のことです。2020年より小学校でも英語やプログラミング教育が行われることになりましたが、そのプログラミング教育導入の目的の一つが論理的思考力の育成です。

 プログラミング教育は、今ある算数や理科、総合学習の時間などの中で実施されることになっています。その主眼は、プログラミング言語などの技術習得ではなく、ものごとを順序立てて考え、問題を解決し新しいものを生み出す力を養うことにあります。

論理的思考力を伸ばすには?

 論理的思考力と話す力は密接な関係にあります。

 算数や理科、総合学習の授業のほかに、国語の授業でも論理的思考力や話す力を育てることが目標に挙げられています。

 子どもには自分の考えを整理して順序立てて話し、相手の考えも理解したうえで相手を説得するプレゼン力やディベート力を伸ばしてあげたいですよね。そして、最終的には自分のやりたいことを主張し、それを実現していく力を身につけてほしいものです。

 では、論理的思考力はどのようにすれば伸ばせるのでしょうか。実は、親子の日常会話の中でも論理的思考力は鍛えられるのです。

 例えば、「ゲーム機買って〜!」などと子どもにおねだりされたとします。そんなときは、「子どもにやりたいことができたということだ、プレゼン力やディベート力を伸ばすチャンスだ」ととらえましょう。

「なぜ欲しいのかな? それを買うと、どんな良いことがあるのかな? お勉強しなくならないかな?」「ママが買いたい気持ちになるように、ママを説得してみてよー」などと子どもに言葉をかけてみましょう。最初のうちは子どもから「〇〇くんも同じゲーム機をもっているから、一緒にやりたいんだ」という一文だけでも返ってくればOKです。問いかけの繰り返しから、最終的に保護者を納得させるような論理が組み立てられたら大成功です。保護者の方もしっかり説得された場合は、きちんと買ってあげてくださいね。

子どもの論理的思考力を伸ばす言葉がけ

 では、具体的には親子でどんな会話をすればいいのでしょうか。ご家庭での会話というと、子どもがせっかく話そうとしているのに忙しくて聞き流してしまったり、家族だから伝わるだろうと思い、省略した単語だけの言葉のかけあいですましてしまったりしがちです。そうならないように、子どもの言葉にじっくりと耳を傾けつつ、子どもが自分の考えを整理し順序立てて話すことができるように、保護者は言葉がけをしましょう。そのヒントをご紹介します。

・「だれが?」「なにが?」:5W1Hを省略しないで話すようにさせる。
 例:「今日、がっかりしちゃった」→「だれががっかりしたの?」「いつのことなの?」

・「なぜそうなったの?」:理由や背景などの根拠をじっくりと考えさせる。
 例:「今日、がっかりしちゃった」→「どうしてがっかりしたの?」「いつもとどんなとこが違ったからがっかりしたの?」

・「ひとことでいうと、どんなこと?」:要点をまとめさせる。
 例:子どもの思考は柔らかく発想が豊かだが、大人には伝わりにくい。思いついたまま、とりとめなく話をしがちな子どもに対して→「簡単にいうとなにがあったの?」「短くいうとどんなお話?」

・「例えばどういうこと?」:具体例を出させる。具体的な言葉で表現させるなどして語彙を増やす。
 例:「今日の授業だるかった」→「体の具合が悪いんじゃないよね、例えばどんな気持ち?」「なにか不満なことでもあったの?」→「わかっているのに先生が長々と説明するから、その必要はないって不満に思ったんだよ」

・「他の人はどう思ってた?」「悪いところはないの?」:違う視点や、プラスマイナス両面から考えさせる。
 例:「今日の授業だるかった」→「ほかのお友達はどう思っていたの?」「自分たちに悪いところはなかったの?」

・「どうすればいい?」:自分で対策や解決策を考えさせる。
 例:「今日の授業だるかった」→「どうすればだるくなくなるかな?」「授業が楽しくなるいい方法はないかな?」

「別に〜」「微妙〜」への対処法

 子どもと会話しようと「学校どうだった?」などと聞いても、「別に〜」とかわされてしまうことがよくあります。そのようなときは、「学校で初めてやったことは?」「どんなことがどれくらい楽しかった?」など、より具体的な言葉がけをしたほうが、子どもも答えやすくなります。

 また、子どもとの会話を深めようと、根掘り葉掘り聞いてしまい、嫌がられることもよくあります。疲れていないかなど体調を気遣い、うまくコミュニケーションをとりながら、はじめてみましょう。最初のうちは、主語や目的語を省略しないように導くなど、簡単なところから、あせらず少しずつ進めてみましょう。

「論理的思考力を伸ばす」と聞くと難しそうと思いがちですが、日常の親子の会話でも鍛えることができます。ご家庭が子どもの論理的思考力を伸ばすための場となるように、親子の会話を見直してみてはいかがでしょうか。

ライター 岸本 由紀
 中学校の国語教師を務めた後、子育てに専念。幼少のころから、二人の息子の習い事や、部活動などを積極的にサポート。子どもたちは生き生きと学生生活を送り、勉強だけではなくバスケットボールの県大会や野球の甲子園に出場するなど、しっかりとした成績を残した。子育てが落ち着いた今も、教育関連に高い関心をもつママライター。

※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。

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