教育の場でもよく聞かれるようになってきた「ゲーミフィケーション」という言葉をご存じでしょうか。ごく簡単にいうと、ゲームの要素を取り入れ、ゲームをするときのように夢中に取り組めるようにする仕掛けのことです。
「ゲーミフィケーションが取り入れられている」と聞くと、「子どもがゲームに熱中してしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃると思いますが、ゲーミフィケーションはゲームそのものとは違います。
上手に取り入れれば、お子さまの学習意欲や学習効果を高めることもできます。そこでご家庭でゲーミフィケーションを取り入れるときのポイントをまとめました。
ゲーミフィケーションとは
保護者の方の中にも、ゲームに熱中した経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか? ゲーミフィケーションとは、そのようなゲームに熱中する仕組みをゲーム以外の分野に応用して、課題の解決やモチベーションを高める取り組みのことです。
ゲームには、ポイントなどをもらえる「報奨(ごほうび)」、レベルアップなどを実感できる「認知(見える化)」、明確なゴールをクリアする「達成感」、勝敗や順位を決める「競争」などの要素があります。これらの要素を組み合わせ、利用者が楽しく課題の解決やモチベーションを保てるようにしていくのがゲーミフィケーションです。
私たちの身近なゲーミフィケーションの事例に、ポイントプログラムがあります。お店で買い物をすると「ポイント(報奨)」がもらえ、集めたポイントはカードなどで「認知」できるようになっています。ポイントを集めると、割引が受けられたりプレゼントがもらえたりと「達成感」も味わえます。
ポイントを集めることに楽しみを見出すと、そのお店に行く頻度が自然と増えるというように、ゲーミフィケーションを取り入れることによって、利用者の行動を促すことになるのです。
教育にも利用されているゲーミフィケーション
「目的が明確である」「継続する必要がある」「競争の要素がある」ことなどから、ゲーミフィケーションと教育は相性が良いといわれています。教育にゲーミフィケーションを取り入れるメリットには以下のようなものがあります。
・楽しんで取り組める
学習の段階ごとに表彰やポイントなどの報奨を設けることによって、報奨を目指し楽しく取り組むことができます。
・自発的なまなびを促す
ゲームの要素である競争心を上手に利用して、自発的にまなぶ意欲を引き出します。単純な内容でも、勝敗や順位がつくだけで子どもはものすごい集中力を見せてくれます。
・成長を自分で実感できる
ゲームをクリアするように、学習課題をクリアするごとに自分の成長や可能性を認知することができます。
・自分で考える力や応用力を養う
受け身のまなび方ではなく、自分から積極的に課題に取り組むことで、自分で考える力や応用力が身につきます。
ご家庭でも取り入れられるゲーミフィケーションのポイント
ゲーミフィケーションと聞くと特別な取り組みのように感じるかもしれませんが、そんなに難しく考えなくても大丈夫です。なぜなら、子どもが楽しくできて、学習に対するモチベーションを保てるようにサポートする、ちょっとした働きかけそのものがゲーミフィケーションだからです。ご家庭に取り入れる際には以下のようなポイントに注意して取り入れてみてください。
・目標設定は高すぎない
最初から高い目標を掲げてしまうと、なかなか達成感が得られずに途中で投げ出してしまうこともあります。まずは、子どもが頑張れば超えられるぐらいの、少しだけ難しいハードルを設定してあげましょう。
例えば、最終目標が「50音を全部書けるようにする」のであれば、最初は「ア行を書けるようにする」「自分の名前を書けるようにする」など、少し頑張れば達成できそうなことを積み重ねていきましょう。こまめに成功体験を積み重ねることで、意欲が増し、自信がつくことにもつながります。
・頑張りをすぐにフィードバック
子どもは問題を解くときに、答えが分かるまでに時間がかかってしまうと、その間に興味が薄れ、モチベーションも下がってしまいます。クイズ形式など、問題を解くとすぐに正解・不正解が分かるような問題であれば、楽しく学習することができます。また、すぐに丸つけしたり、難しい問題が解けたら花丸をつけてあげたりするのも良いですね。
・頑張りを可視化する
ポイントカードやメダルなどを用意して、頑張りを可視化するのも効果的です。「今日はこれだけできた」「あと少しで目標達成」と自分の達成度を目で確認することで、意欲が生まれます。ゴールに向かう道筋にもなるので、クリアしたときの達成感も強くなります。
・競争させる
単調なドリルなどに取り組むときは、親子や兄弟と競争させてみるのもおすすめです。単調な学習が苦手な子どもでも、「よーい、ドン」の合図がかかると、不思議と意欲的に取り組めるものです。
・ちょっとしたご褒美をあげる
目標をクリアするごとにちょっとしたご褒美を設定してあげれば、モチベーションは保ちやすいものです。ものをあげるだけがご褒美だけではありません。思いっきり褒めることや、ハグすることもご褒美の一つです。小さなことでいいので、お子さまが喜ぶことをしてあげましょう。
・学習アプリを取り入れる
一緒に勉強する時間がないときや、高学年になると恥ずかしさも出てくるため親子で学習する機会が減ってしまうこともあると思います。そのようなときは学習アプリを利用するのも一つの方法です。
問題に正解するとポイントを獲得できる、一定数正解するとレベルが上がるなど、ゲーミフィケーションの要素を取り入れた学習アプリがたくさんあります。また、キャラクターや音楽を使うなど、楽しく学習できる仕掛けが盛り込まれているものもありますよ。
ゲーミフィケーションを上手に取り入れれば、子どものやる気を引き出すことかできます。子どもと一緒に楽しむ気持ちで始めてみてはいかがでしょうか。
ライター marie
園児である子どもの子育てとライティング業務をこなすママライター。未就学児のころから英語教育を始めるなど、児童教育に興味を持ち、親子ともどもさまざまなものにチャレンジしている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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