2020年度の小学校でのプログラミング教育必修化に先立ち、お子さまにプログラミングを学ばせているというご家庭も徐々に増えてきています。
多くの教育機関でも導入されている「Scratch(スクラッチ)」というアプリケーションについて、耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Scratchはマサチューセッツ工科大学(MIT)が開発する、8〜16才のお子さまをメインターゲットにすえた無料の教育プログラミング言語です。難しいプログラミング言語を知らないお子さまでも簡単に操作でき、プログラミングの基礎が自然に学べるのが特徴です。
「近所のプログラミング教室はScratchを使用しているらしいけど、どのようなものなの?」「自宅ではどう学習に取り入れればいいの?」など、特に今、保護者の方が抱くことの多い疑問について、詳しくご説明します。
Scratchっていったいどんなアプリ?
我々大人世代が「プログラミング」と聞いて思い浮かべるのは、コンピューターの画面に何やら難しげな英数字をひたすら入力していく、というような光景ではないでしょうか?
Scratchはそんな「難しそう」「わかりにくい」といったこれまでのプログラミングのイメージを覆す、「あらかじめ用意されている命令のブロックを組み合わせる」という方法で、視覚的・直感的なプログラミングを可能にした学習アプリです。
凹凸のあるブロックにはそれぞれ「何を」「どうする」といった命令文が記載されており、これをパズルのように繋げることでプログラムを作成していきます。小さなお子さまでも簡単にゲームやアニメーションを作ることができます。教育機関に導入される事例も増え、近年急速に知名度が上がってきました。
インターネットブラウザ上で動かすことができるため、インストールは必要ありません。パソコンさえあれば、誰でも無料で利用が可能です。また、スマートフォンやタブレットで利用できるバージョンも公開予定なので、今後ますます利用者が増えていくことが予想されています。
どうしてプログラミング学習にはScratchがいいの?
パソコンで学習をはじめるにあたって、特に小さなお子さまなどは、アルファベットやローマ字がわからずに、キーボードをうまく使えないことがありますよね。
しかし、Scratchはほとんどの操作をマウスだけで行うので、あまりパソコンに触れたことのないお子さまでも直感的に動かせて、使用する際のハードルが低いアプリケーションです。
また、Scratchは視覚的にわかりやすいアプリのため、お子さまに「プログラミング=難しいもの」という印象を抱かせないというメリットがあります。
作成したプログラムを、同じ画面上ですぐに動かせるシステムも、学習に適しているポイントのひとつです。組み立てたプログラムがうまく動かなかったとき、「何が悪かったのだろう?」と、お子さまが自発的に「組み立て」、「試行」、「修正」を繰り返すことで、自然と論理的思考力が育つことが期待できるでしょう。
さらに、キャラクターや背景のイラストなど、ゲーム作りに必要な素材はアプリ内に元々用意されているため、すぐにゲームの作成に取り掛かれる点も好ましいポイントです。簡単なゲームを作り、「自分にもゲームが作れた!」という達成感を味わうことができます。その経験の積み重ねは、学習の継続意欲にも繋がる貴重な成功体験になります。この手軽さも、Scratchが多くの学習環境で選ばれている理由のひとつです。
家庭で学習するときの使い方は?
作りたいゲームやアニメーションを、自分の方法で好きに作っていけるScratch。自由度が高い反面、アプリケーションの中に、次に何をするべきかといった具体的な指示や、ブロックの組み合わせについての詳しい解説は用意されていません。実際に、Scratchだけを子どもに与えても、「どうしていいかわからない」と戸惑ってしまう場面が多くあります。
プログラミングがどんなものなのかわからないまま、つまらないと諦めてしまうのはとてももったいないことですよね。それを防ぐためにも、家庭の学習でScratchを取り入れる際には、アプリやプログラミングについての説明が載っている子ども向けの教材を併用するのがおすすめです。
特に、「学研まんが入門シリーズ はじめてのプログラミング」では、Scratchとはどういうものなのか、どうすればゲームやアニメーションが作れるのかなど詳しい情報が、1からわかりやすく解説されています。お子さまにとって親しみやすい内容であることはもちろん、大人が読んでも十分な知識が得られる教材なので、ぜひ学習の際に活用してみてください。
プログラミング学習は、何よりもまず、その楽しさを知るのが大切です。無理に知識を詰め込んだり、必修科目になるからと身構えたりする必要はありません。はじめは気軽に、ほかの遊びと同じ感覚でプログラミングを日常に取り入れてみましょう。親子のコミュニケーションの一環として、試行錯誤しながら一緒にゲームを完成させてみるのも楽しいですよ。
ライター みや はじめ
小学生を対象としたあるプログラミング教室の講師を務める現役ライター。保護者との対話の中で日々プログラミングの重要性を説く。パソコン関連の情報を中心としたライティングの他、ゴルフ関連の記事作成など幅広いジャンルのライティングを手掛けている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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