片づけをするとなると、たいていの人はまず、捨てるモノを選びはじめます。
片づけが滞るのは「捨てるべきか、残すべきか」で悩むからですし、「片づけられない人」は「捨てられない人」であることが多いものです。
したがって、いわゆる片づけ本の多くは読者の関心を得るために「いかに捨てるか」を見せ場としています。こうして片づけ本は、いかに捨てるモノを選ぶか、というノウハウについて語る本が多くなるわけです。
けれどもここで、考えてみてください。
新聞を読むとき、あなたはパッと見て気になった記事、おもしろそうな記事、読みたいと思った記事を選んで読んでいくはずです。
そうではなく、読む価値のない記事、読みたくない記事を選んではバツをつけていって、読まない記事をすべて削除し終わってから、生き残った記事を読む、という人はいないでしょう。
あるいは、おいしいイタリア料理が食べたいと思ったとき、あなたは評判のいいレストランをネットで探すと思います。
「まず、絶対に行ってはいけないイタリア料理店のブラックリストを作ろう。だから評判の悪い店から検索する」という人はいません。
新聞にバツをつけていったり、評判の最悪なレストランから検索したりする方法は、まさに見当違いの合理的ではないやり方です。目的にたどりつくまでに余計な時間がかかるばかりでなく、気力が尽きてしまうからです。
ところが、片づけをしようとするとき、ここで挙げた例にそっくりなことをはじめてしまう人は少なくありません。
片づけ本を懸命に読んで、自分にとって大切なモノ、自分がよく使うもの、必要なモノ、いつも手元に置いておきたいモノ……を選ぶのではなく、いらないモノ、もう使わないモノ、捨てていいモノを選ぼうとするのです。
これは目的を誤った、見当違いのやり方だ、と気がつかなくてはいけません。
本来の片づけとは、大事なモノ、持ち続けるモノを選ぶことです。
必要なモノをまず選んでしまえば、それ以外は自動的に捨ててもいいモノということになります。つまり、捨てるべきモノを選ぶ技術などいらないのです。
そして、これから持ち続けるモノを選ぶということは、未来を選ぶことでもあり、人生を選ぶことでもあります。
最初から、いらないモノに目を向けるのはやめましょう。むしろ、片づけを必要なモノに目を向ける練習の機会にするべきです。片づけによって、理想の人生、よりよい未来を選ぶことができるのです。
(※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。次回は12月21日掲載予定です。)
メンタリストDaiGo (めんたりすと・だいご)
慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとして数百のTV番組に出演。その後、活動をビジネスやアカデミックな方向へ転換し、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動中。
趣味は1日10~20冊程度の読書、猫と遊ぶこと、ニコニコ動画、ジム通い。ビジネスや話術、さらには恋愛や子育てまで、幅広いジャンルにおいて人間心理をテーマに執筆した著作は累計200万部を突破。『一瞬でYESを引き出す心理戦略。』(ダイヤモンド社)、『自分を操る超集中力』(かんき出版)、『ポジティブ・チェンジ』(日本文芸社)などヒット作多数。
■メンタリストDaiGo オフィシャルウェブサイト
http://daigo.me/
■ニコニコチャンネル/メンタリストDaiGo の「心理分析してみた!」
http://ch.nicovideo.jp/mentalist
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