それでは、本書のメインテーマである「ダイヤの法則」についてお伝えしましょう。
私はある時、神様から一つの象徴的なビジョンを見せられました。
それはダイヤモンドの形、つまり菱形で、神様によると「この世の中はすべてこの形にあてはまる」とのことでした。
このダイヤの形◇は、一つの集団におけるバランスを表しています。
つまり、一つの集団の中にそれぞれ異なる性質や役割を持つ人たちが一定の割合ずついることによって、菱形全体のバランスがとれているということです。
これが、宇宙法則から見たこの世のシステム(仕組み)で、どんな集団においても各層の人たちがダイヤの形を成すように一定の割合・比率で存在しています。
わかりやすい例として、「会社」という集団をあげてみましょう。
会社全体を10割とすると、
「働き具合」を基準に、①良く働く人、②普通の人、③働きが悪い人の3つのカテゴリーに分けた場合、
それぞれの比率は、①=2割、②=6割、③=2割。
といった具合に常に一定になっている、ということです。
実際に、だいたいどこの会社でも優秀とされる人は全体の約2割、普通の人は6割、普通よりも劣る人は2割くらいの比率になっているようです。
そこで、もし会社の経営者であれば、業績を上げるためにこう言うかもしれません。
「優秀な人をもっと増やして、働きが悪い人を全員クビにすればいい」と。
しかし、たとえ働きが悪い人たちを排除したとしても、今度は普通の人の2割が働きが悪くなって、結果的に2:6:2という比率は変わりません。
ようするに、カテゴリーが変われば、構成メンバーの配置は変わる。けれど、各層の割合は同じで、全体としてのダイヤの形は変わらない。
これは神様から教えてもらった法則ですが、神光塾の塾生の方から、同じような法則が生物の社会にもあるらしいという話を聞きました。
調べてみると、蟻の生態を研究している専門家が同じようなことを述べていました。
「働く蟻」と「働かない蟻」の比率は常に一定で、この比率は実験によっても確認されているそうです。
つまり、「働かない蟻」をいくら排除しようとしてもムダで、「働く蟻」の中から一定の割合で働かない蟻が出てきて、その比率は変わらないんですね。
これでなんとなくおわかりでしょうか?
ようするに、ダイヤの法則とは、
一、一つの集団の中では、それぞれのメンバーの性質や役割によっていくつかの層(ランク)に分かれ、各層の割合・比率は常に一定で、それによって全体のバランスが取れている。
一、同じ集団であっても、カテゴリー分けする基準が変われば、各メンバーの位置や順序も変わる。
一、また、集団が変わると、その集団の中における新たなランクづけがなされる。
ということを示しているわけです。
カテゴリーによってポジションが変わる
ダイヤの法則は、この世のすべての人間関係に当てはまります。
なので、会社に限らず、家族という集団でも同じです。
仮に、ある5人家族の中で「頭の良さ(学力)」を基準にカテゴリー分けするとします。すると、例えば、
一番が父親、その次が母親、続いて次男、三男、一番下が長男。
という順番になったとします。
しかし、これはあくまで学力別に分けた場合の順序に過ぎません。
ところが、よくありがちなのは、「長男は学力が一番低い」ということだけに親の目が向けられてしまうことです。
そこでややもすると、父親が長男に対して、「なぜお前だけできが悪いんだ!」と言ってしまうことがあるかもしれません。
ですが、「できが悪い」というのは、あくまでその家族という集団の中だけの話です。
仮にそのお父さんが東大出だったなら、その家族のダイヤ自体がすでにトップクラスなので、長男はその家族のダイヤの中では一番下に位置していたとしても、たとえば町内でダイヤを作れば長男が一番上になるかもしれないのです。
このように、一つのダイヤの中の序列だけで判断すると、その人(この場合は長男)の性質や実力を見誤ってしまうことになります。
そこで、カテゴリー分けの基準を変えると、当然、長男のポジションも変わってきます。
仮に「運動能力」という基準で分けると、
一番上が長男で、一番下が父親。
という順になって、立場が逆転することもあるわけです。
つまり、長男はその家族の中で一番学力が低くても、別のカテゴリーで見ると家族の中で一番スポーツが優秀。
これは、見方によってダイヤの中の順位が入れ変わるということです。
ということは、親が「できが悪い!」と子供を怒ってばかりいるより、「お前はここがすごい!」とできるカテゴリーを伸ばしてあげることがよほど本人のためになるわけです。
また仮に、「思いやり」を基準にカテゴリーを分けすると、お母さんが一番になるかもしれません。
このように、ダイヤの法則は、それぞれのカテゴリーによってその人の立ち位置が変わる、ということを示しています。
ですから、大事なことは、あくまで本人にとって、どのカテゴリー、どのポジションにいるとイキイキと輝けるかです。
どんな人でもその人が輝ける場所が必ずあります。
しかも、後述するように、自分の立ち位置は自分で決めることができるんですね。
そうすると、人生がとっても楽に、生きやすくなります。
ダイヤの法則を知ると人生が楽になる
ダイヤの法則を知ると、「自分とは違うポジションの人がどこにでも必ずいるんだ」と思えるようになります。
そう思えれば、少なくとも苦手な人や嫌な人に対して、いちいち苛立ったり、排除しようとはしなくなるでしょう。
「これが法則なら仕方ない」と諦められるからです。
実は、これが人間関係において心が楽になるコツなんですね。
悩みのほとんどは人間関係ですが、なぜ悩んでいるのかというと、自分にとって嫌な人がいる。
その人に対して常に苛立っていて、できれば目の前から排除したいのに排除できない……。
というケースが多いのではないでしょうか?
また、ほとんどの人が、「この人感じがいい」「この人使えそう」などと思える相手とだけつきあいたいと望み、それとは反対の人を避けようとしがちです。
でも、感じが悪い人や使えそうもない人は、どこに行っても必ず1人や2人はいるものです。
ダイヤの法則が示しているように、どんな集団でも2割程度は下層に位置する人がいるわけですが、ほとんどの人は自分は上の方か真ん中辺りにいて、自分より下の人のことを「使えない人」「ダメな人」と見がちです。
でもそれは、あくまで自分の基準で相手を見ているからなんですね。
前述したように、カテゴリーが変わればその人のポジションや役割も変わるので、一つのカテゴリーで下位であっても、別のカテゴリーで見たら上位になることはいくらでもあります。
ということは、自分が「この人使えないな」と思っていても、他の基準や他の人の目から見たら、その人は自分よりも上に位置しているかもしれないし、「できる人」「使える人」かもしれないわけです。
ダイヤの法則を知ることによって、まずこのことが理解できるようになります。
カテゴリーが変われば、その人の立ち位置が変わるので、どんなところでも常に一番下に位置するような人はいません。
どんな人でも得意なことや、その人なりの働きや役割が必ずあります。
それがわかると、たとえ自分から見て下に位置する人であっても、苛立つことなく「あぁ、あの人はそうなんだ」と認められるし、その人がいることで全体のバランスがはかられていることを思うと、感謝すらできるようになります。
すぐに感謝するまでにはいたらなくても、存在そのものに苛立つことはなくなって、自分の心が楽になるのは確かでしょう。
神光 幸子 (かみみつ さちこ)
書や学問の神さまとして「菅原道真」がまつられている京都の北野天満宮の社家の娘として生まれる。
神光という名は、現在日本に一軒しかない姓で、神光家は、十二代景行天皇の子孫であり、菅原七家として北野天満宮の初代(1000年以上前)から宮司を勤める。
幼少の頃から霊的であったり、不思議な体験を数々経験しており、30歳からこの道で生きることを決意する。
千年の歴史を持つ神光家に伝わる、心の持ち方や技法を教える「神光塾」を全国で展開している。
作品紹介
「神様の伝え手」として千年の歴史をもつ神光家に伝わる「よりよく生きるための技法」を日常生活の中で実践できる方法として紹介。
定価:本体1,300円+税/学研プラス