お金が消える人は「他人の持ち物」に興味を持ち
お金が増える人は「自分の将来」に興味を持つ
女性誌の編集者から聞いた話だが、高級住宅地で公園デビューした奥様たちが最も気にすることは、よその家族のベビーカーや子ども服のブランドなのだそうだ。
またこれは私の経験なのだが、以前私が新車に買い替えたとき、お隣も新車に買い替えた。後日、そのまたお隣も新車に替えた。これは偶然だろうか。
この二つの話に共通するのは、おそらく自己顕示欲。つまり、人は見栄のためにお金を使う習性がある、ということではないだろうか。
「それは当然だろう」と感じるかもしれないが、それはお金が消えやすい人の発想だ。
他人よりも優位に立った実感を得たい。周りからよく思われたい。このぐらいのものを持っていないと恥ずかしい。こんなショボイものは人に見せられない……。
私たちには、そういう感情がある。その際、外見や所有物でその実感を得ようとすると、必要性が高くないものにお金を使ってしまう。
そもそも、持ち物で見栄を張っても、基本的に収入には関係ない。しかも見栄を張ろうとすれば、よりハイグレードなもの、つまり値段が高いものを選ぶことになる。こうしてお金が出ていく。
これが行きすぎて、見栄が暴走すると、ローグレードの安価なものを買う自分が許せなくなってしまう。その結果、出費がかさみ、あるいは高額品の購入が増え、自分は満足したが、お金は減る一方という状態になる。
企業でも、急激に儲けた企業が最新インテリジェントビルに入居し、エントランスや応接室が豪華になるケースがよくある。しかし不況期に苦しくなって退去する典型例だ。
要するに、「見栄はコストなり」ということ。
反対に、お金が増える人は、見栄にお金を払わない。自分に自信があるため、持ち物で競争する必要がないからだ。
お金持ちがなぜお金持ちであり続けるかというと、見栄のためにお金を使う必要がないという理由もある。他人の目を気にしないということではなく、他人との比較で自己満足を得る必要がないということ。他人の持ち物との比較は、精神状態になんら影響しないのだ。
もちろんそれがすべてではない。商売や売上につながるものに対しては、見栄とも思えるお金の使い方をすることがある。たとえば、普段着はユニクロでも、重要な商談では高級スーツに身を包む。普段の食事は簡素でも、仕事上メリットがある相手には高級レストランでゴージャスに振る舞う。
傍から見ると、極端なお金の使い方だ。しかしそれは自分の自尊心を満たすためではなく、結果を将来につなげる先行投資なのだ。
つまり、見栄ではなく「演出」をしているということ。
たとえば私の会社の取引相手に、ある不動産会社の社長がいる。彼は経営が苦しいにもかかわらず、あえてメルセデスベンツのSクラスに買い替えた。
その後10億円の商業ビルの仲介案件をモノにした。
彼いわく、「億単位の買い物をしようとする人にカローラで案内すれば、大丈夫かなと思われるだろう。こちらも儲かっているんだという演出をすることで、買い手を安心させ、信頼感を獲得することにつながる。それに1500万円かかったとしても、妥当な広告宣伝費だ」。
彼らは見栄ではなく、将来の売上や収入・信用など、結果につながりそうなことにお金を使っているということだ。
午堂 登紀雄 (ごどう ときお)
1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。
作品紹介
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