お金が「増える人」の行動ルール⑤

午堂登紀雄『お金がどんどん増える人 お金がたちまち消える人』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2015.07.29
  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest

お金が消える人は「他人の持ち物」に興味を持ち
お金が増える人は「自分の将来」に興味を持つ

 女性誌の編集者から聞いた話だが、高級住宅地で公園デビューした奥様たちが最も気にすることは、よその家族のベビーカーや子ども服のブランドなのだそうだ。
 またこれは私の経験なのだが、以前私が新車に買い替えたとき、お隣も新車に買い替えた。後日、そのまたお隣も新車に替えた。これは偶然だろうか。
 この二つの話に共通するのは、おそらく自己顕示欲。つまり、人は見栄のためにお金を使う習性があるということではないだろうか。

 「それは当然だろう」と感じるかもしれないが、それはお金が消えやすい人の発想だ。
 他人よりも優位に立った実感を得たい。周りからよく思われたい。このぐらいのものを持っていないと恥ずかしい。こんなショボイものは人に見せられない……。
 私たちには、そういう感情がある。その際、外見や所有物でその実感を得ようとすると、必要性が高くないものにお金を使ってしまう。
 そもそも、持ち物で見栄を張っても、基本的に収入には関係ない。しかも見栄を張ろうとすれば、よりハイグレードなもの、つまり値段が高いものを選ぶことになる。こうしてお金が出ていく。

 これが行きすぎて、見栄が暴走すると、ローグレードの安価なものを買う自分が許せなくなってしまう。その結果、出費がかさみ、あるいは高額品の購入が増え、自分は満足したが、お金は減る一方という状態になる。
 企業でも、急激に儲けた企業が最新インテリジェントビルに入居し、エントランスや応接室が豪華になるケースがよくある。しかし不況期に苦しくなって退去する典型例だ。
 要するに、「見栄はコストなり」ということ。
 反対に、お金が増える人は、見栄にお金を払わない。自分に自信があるため、持ち物で競争する必要がないからだ。
 お金持ちがなぜお金持ちであり続けるかというと、見栄のためにお金を使う必要がないという理由もある他人の目を気にしないということではなく、他人との比較で自己満足を得る必要がないということ。他人の持ち物との比較は、精神状態になんら影響しないのだ。

 もちろんそれがすべてではない。商売や売上につながるものに対しては、見栄とも思えるお金の使い方をすることがある。たとえば、普段着はユニクロでも、重要な商談では高級スーツに身を包む。普段の食事は簡素でも、仕事上メリットがある相手には高級レストランでゴージャスに振る舞う。
 傍から見ると、極端なお金の使い方だ。しかしそれは自分の自尊心を満たすためではなく、結果を将来につなげる先行投資なのだ。
 つまり、見栄ではなく「演出」をしているということ。

 たとえば私の会社の取引相手に、ある不動産会社の社長がいる。彼は経営が苦しいにもかかわらず、あえてメルセデスベンツのSクラスに買い替えた。
 その後10億円の商業ビルの仲介案件をモノにした。
 彼いわく、「億単位の買い物をしようとする人にカローラで案内すれば、大丈夫かなと思われるだろう。こちらも儲かっているんだという演出をすることで、買い手を安心させ、信頼感を獲得することにつながる。それに1500万円かかったとしても、妥当な広告宣伝費だ」。
 彼らは見栄ではなく、将来の売上や収入・信用など、結果につながりそうなことにお金を使っているということだ

 

午堂 登紀雄 (ごどう ときお)

1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。

 

作品紹介

お金がどんどん増える人 お金がたちまち消える人

貯めるより、増やすために頭を回転させる、それがお金持ちの鉄則です。一生お金に困らない「お金の才能」を身につけましょう!
定価:1,300円+税/学研プラス

バックナンバー

関連コンテンツ

  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest

あわせて読みたい