ジャーナルコミック『14歳の兵士ザザ』は10月1日以降全国の書店で発売になります。この書籍は「マンガ×ひとのチカラ」という人道キャンペーンの一環として発売されます。「マンガ×ヒトのチカラ」キャンペーンについては、この連載の中でしっかり触れる機会があると思いますが、ごく簡単に言うと「マンガは物事を理解するのに非常に良いコンテンツである。だからその力を借りて、今世界の中で解決しなければならない問題をわかりやすくアピールしていこう!」というものです……簡単になっていませんね。だから“マンガのチカラ”が必要なのです。
(参考にサイト http://mangaxhitonochikara.jp/ もご覧ください)
舞台はコンゴ民主共和国のある村。主人公ザザは、14歳のごく普通の少年。決して豊かとはいえないが、両親、姉、妹と穏やかな日々を過ごしていました。原作者大石賢一は、この何の罪もない少年に、圧倒的な苦難を体験させます。彼が住む村は武装集団の襲撃にあい、家族は殺害、あるいは行方不明となってしまうのです。(のちに生存者がいることが判明します)
しかしこれは、原作者が実際に現地に赴き取材を行った上での発想なのです。現地ではこれに近いこと(事件というべきか紛争というべきか?)がかなりの頻度で起きているというのです。物語でも多くのページを割いて、殺害、凌辱が描かれます。(注:シーンの描き方には十分配慮しています)
ザザはすべてを失った…と思ったのでした。アフリカでは、いわゆる土葬、死んだ人を土に埋めることが多いようです。ザザも、父モパ、妹チャチャの墓穴を掘って埋めていました。その時のザザの表情を見つめながら、私は巻頭の「イヴの叫びが聞こえる」と見出しの付いたページを思い出していました。その言葉が私の胸を鋭く突き刺すのでした。巻頭のこの見開きは「14歳の兵士ザザ」において決定的な役割を担います。マンガを読み終えたら、もう一度そこに戻ってみるのもよいと思います。
(編集担当者)
作品紹介
ジュネーブ条約上ではいてはならない14歳以下の「子ども兵士」。しかし現実に世界の紛争地域に存在する。そこで1人のマンガ脚本家が赤十字国際委員会から許可されたジャーナリストとして、アフリカの紛争地域を取材。解決の糸口を探った渾身のジャーナルコミック。
作・大石賢一
漫画・石川森彦
監修・赤十字国際委員会
¥1,200+税/学研プラス
(旧学研パブリッシング)