仕事、人間関係、お金、勉強……。うまくいかないのは、能力の違いでも運が悪いからでもありません。あなたのまわりにある不要な「ガラクタ」が原因です。
　それは、私の経験からもいえることです。

　世界一不幸な女――。かつて鏡に映った自分の姿を見て、そう思いました。
　会社経営者に見初められ、〝優雅に暮らす奥様.になれると喜んでいたのに、結婚生活が始まって間もなく、会社の経営状態は火の車、多額の借金を抱え倒産寸前だということが判明しました。その上、頼りにしていた彼は「骨髄ガンで余命半年」という宣告を受け、私に経営者のバトンが回ってきたのです。
　そんな状況なのに、私は彼の容態や会社の将来を案じるよりも、「約束が違う！　幸せにしてくれるっていったじゃないの！」と、正直いって自分のことばかり考えていました。
　婚約以来、欲しいというものはなんでも買ってくれた彼に、調子に乗って、「ダイヤの指輪が欲しい」「シャネルのスーツがいいな」などと、その愛情を試したくてあれこれねだったりもしていました。高価なものを所有するのが、幸せの象徴だと私は考えていたのです。
　だから、お金の心配をするようになった時に、「私は世界一不幸な女」なんて思ったのです。そんなふうに受け止めていたから、「うまくいかないのは他人のせい。私はぜんぜん悪くない」と開き直り、怒りでいつもイライラしていました。

　ある日、普段は気にならないのに、テーブルに雑然と置いてある新聞や封も切らずそのままになっているダイレクトメール、埃まみれのドライフラワー。それらを見ているうちに、「こんなものがあるからいけないんだ……」という気持ちになって、明らかに不要だと思えるものや、似合わない服やしっくりこない靴、勧められるままに購入したけれど全然好きになれない香水や口紅など、目についたものをどんどん捨てていました。
　すると不思議。ずっと抱いていた、「これを手放したら、二度と手に入らないかもしれない」という不安や「私は悪くない」という被害者意識も消えていったのです。
　一つ捨てるごとに自信を取り戻し、執着が消え、本当に大事なものや大切な人、やるべきことが浮かび上がってきたのです。
　なぜなら、すべてのものにはエネルギーがあり、私たちはそのエネルギーに影響を受けているからです。

　今の自分に不要なものや意味のないものに囲まれていると、エネルギーを取られるばかりか、心の迷いが増えてきます。
　たとえば、新しい家に引っ越した時に抱く、爽快感や期待感。これからどんなステキな人生が始まるのか、輝かしい未来が待っているのか、ワクワクするはずです。
　そんなときめきを取り戻せば、幸せな人生に変えるのは、容易にできるのです。
　何もない空間は、すばらしい出会いを引き寄せます！
　ガラクタを手放すことによって、部屋や心にスペースが生まれれば、新しいものが入ってくるのです。
　執着、見栄、虚栄心、不安、迷い……。それらは心の中のガラクタです。
　心の中がガラクタだらけだったら、人生を切り開こうとする「前向きな気持ち」までなくなってしまいます。

「私は世界一不幸な女」――。あの日、私が自分をそう感じたのは、「不要なガラクタ」に支配されていたからだったのです。
　今、あなたが好ましくない状態にいるのならば、不要なものを買ってしまったことや、意味をなくしても手放せないでいた物事を素直に受け止め、「これまでありがとう」と感謝しながら「ガラクタ」を自然に返すつもりで捨てましょう。
　それは「新たな人生」を選び直すということです。