「部下がついてこない」
「やる気を出してくれない」
「入社してすぐに辞められてしまった」
そんなとき、管理職ならば少なからず自分を責めてしまうものだ。
これによりやる気を失ったり、心身を病んでしまう人もいる。
まじめで思いやりがあり、自分に厳しい人ほど、人知れず落ち込み、ついてこなかった部下のことが頭から離れない。部下が離れた原因となった自分の欠点を恨み、やるべきことへの集中力が散漫になってしまう。
この手の自己反省は、くれぐれも、ほどほどにしておいたほうがよい。
もっと「無責任」になって、離れていった人のことを忘れる。
それも管理職が持つべき図太さの一つである。
あなたの人生はこの先もつづく。仕事もつづく。結局は「縁のある人」とともに、手を取り合って協力しながら前に進まないといけない。
あなたは「去った部下」ではなく「今、あなたを支えてくれている複数の部下や協力者」と未来を築くしかないのだ。
去った人に未練の思いを馳せる暇があったら、もっと周囲の人々の顔を一人ひとり丁寧に思い出してみよう。リーダーシップで起死回生を成し遂げたいなら、この切り替えがとても重要である。
どうだろう? あなたの周囲には何年も前からあなたに共感し、ひたむきについてきてくれている人がいないだろうか?
そんな彼らにしっかりと愛を注ぐべきなのである。
彼らの存在を忘れ、失った部下にばかり気を取られる。あるいは自分の至らなさを嘆く行為に固執する……。
これは、まったくもって失礼なことだ。
今、残っている周囲の人に、もっと愛を注ごう。感謝の言葉をかけよう。
そもそも人間同士には相性がある。2割は相性抜群、6割は可もなく不可もなく、2割はどうしても合わない人。だから、あなたとどうしても合わない部下もいる。彼らが去るのは、自然現象にすぎない。
しかも「あなた」のせいではなく「仕事内容」や「条件」が合わなかったのかもしれない。だから去る人のことは気にしなくていい。
その分、素敵な出会いを、数多く重ねることに注力しよう。
さあ、今ここであなたを慕う部下、パートナーの名前を書き出してみよう。
全員書き出し終わるころには、心強い気持ちになっている。そしてあなたの不安は、ほとんど消えてなくなっているはずだ。あなたのリーダーシップの獲得は、そんな小さな作業が第一歩となる。
潮凪 洋介 (しおなぎ ようすけ)
エッセイスト・講演家・イベントプロデューサー。株式会社ハートランド代表取締役。早稲田大学卒。「好きなことに挑戦して輝く学校」自由人生塾を主宰。自分らしい生き方の発見と自己実現をサポート。
個人個人に合った「人生づくり」の具体的なアドバイスを日々実施している。
シリーズ累計20万部突破のベストセラー『もう「いい人」になるのはやめなさい!』(KADOKAWA)、『「バカになれる男」の魅力』(三笠書房)、『仕事に殺されないアナザーパラダイスの見つけ方』(フォレスト出版)、『お金に殺されない人が大切にしている40のこと』(総合法令出版)ほか、著書多数。
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