がんばっている人が、なぜがんばっているかといえば、成長したいからですよね。
成長して「すごい」と言われる人になり、「すごい」と言われる成果を残したいからですよね。
成長するためには、まだまだがんばりが必要……、そう思うから、もっともっとがんばろうとします。
ここに潜んでいる落とし穴。
それは、今の自分はダメだから、がんばって成長しなければ幸せになれない、という、例の自己否定成長の考え方です。
それだけではありません。
「がんばりが足りない」というのは、じつはものすごい「逃げの言葉」なのです。
たとえば、同じくらいの成績のAさんとBさんがいたとしましょう。
成績はお互いに引けを取らないのに、あるとき人事異動があり、Aさんだけがいいポジションにつきました。
成績は同じくらいなのに、片方だけが持ち上げられる理由は、一つです。
BさんよりAさんのほうが、人として魅力的だからです。人柄は、結果を超えるのです。とくに人事は、大きな声では言えませんが、結果よりも人柄です。
Bさんも、そのことを心のどこかではわかっています。
でも、「自分はAさんよりも魅力が劣るんだ」なんて、おそろしくてなかなか受け入れられません。
だから、こう思って納得しようとするのです。
「私はAさんよりも、がんばりが足りなかった。運もなかった。上司の見る目もおかしい」と。
そして、「もっともっとがんばろう、そうすれば私もいずれ……」と自分を勇気づけます。
要するに、自分の人間的な魅力をあと回しにして、全部を「がんばりの量」のせいにして、自分と他人を否定して納得しようとするのです。
こうして考えてみると、自己否定とは、そのまま格好の逃げ道にもなっているということがわかります。
自分を丸ごと受け入れることができていないと、いつの間にか、こんな屈折した心のあり方になってしまうんですね。
Bさんだって、本当は、いつでも持ち上げられていいはずなんです。
ただ、すべては自分を丸ごと受け入れることができていれば、の話。
逆境をバネにする自己否定では、成長できない。できたとしても限界がある。
それどころか、心を屈折させ、ますます自分を幸せから遠ざけてしまう。
だから、自己否定から生まれる「がんばりが足りない」という言葉自体が、おかしいと僕は思うのです。
心屋仁之助 (こころや じんのすけ)
心理カウンセラー。個性を生かして性格を変え、自分らしく生きるための手助けをする「性格リフォームの匠」として、テレビ出演でも話題になる。
大手企業の管理職として働いていたが、自分や家族の問題がきっかけとなり、心理療法を学び始める。現在は京都を拠点として、全国各地でセミナー、講演活動やカウンセリングスクールを運営。
その独自の「言ってみる」カウンセリングスタイルは、たったの数分で心が楽になり、現実まで変わると評判。現在は個人カウンセリングは行っていないが、スクール卒業生により全国各地で心屋流心理学のセミナーやボランティアでのグループカウンセリングが広く展開されている。
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■公式ブログ「心が 風に、なる」
http://ameblo.jp/kokoro-ya/
作品紹介
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