仕事が速い人はまず、聞きたがる 仕事が遅い人はまず、自分が話したがる
午堂登紀雄『仕事が速いお金持ち 仕事が遅い貧乏人』セレクション
適切な質問が適切な答えを引き出します。
質問の設定がマズければ必要な回答(情報)は得られません。だから仕事が速い人は、質問を重視しています。それはつまり、より具体的で本質に迫るための質問です。
しかし仕事が遅い人は、質問するより自分がしゃべりたがります。自分が話すほうが優先だから、彼らは質問を考えるのが苦手です。だから相手の本音や望む回答を引き出すことができません。
営業でも、立て板に水のごとくしゃべる人より、相手の話をじっくり聞く人のほうが営業成績が良いと言われるのはそこにもあります。
それは、人は自分の話を聞いてくれることで自分が大事にされていると感じて好印象を持つから、という理由だけではなく、商談相手のニーズを的確に捉えた提案につながるからです。
これは医者も同じです。患者に質問する「問診」によって症状や原因を把握し、病名を特定し、治療方針を考えます。
それでも不明な場合に検査などで補うのですが、最も重要なのは問診だと言います。
逆に言うと、患者にあまり質問しない医者というのは、ヤブ医者の可能性があると言うことです。
たとえばテレビの街頭インタビューで、「日本のTPP参加についてどう思いますか?」という質問を見たことがありますが、これでは示し唆さ に富んだ回答は引き出せないでしょう。「どう思うか?」という質問は漠然とし過ぎて、質問された人は何について答えれば良いか混乱するからです。
そこで、そのあとに続いて、たとえば「日本にとって脅威だという意見と、逆にチャンスが増えるという意見がありますが、この両意見についてどう思いますか?」という質問なら、範囲が限定されるため答えやすくなります。
そして、そこから「なぜそう考えるのですか?」と深堀りしていけば、相手の意見を具体的に引き出すことができるでしょう。
これは仕事中の会話、商談や打ち合わせなどでも同じです。たとえば「なぜそれが必要なのですか?」「なぜそう思うのですか?」などと、「なぜ?」という質問を繰り返すことによって、物事の本質に近づくことができます。
あるいは、自分の仮説を確認する質問をぶつけることで、業務の進捗がスムーズになることもあります。
たとえば「ここを変えるとどういう影響がありますか?」「こういうのってアリですか?」という質問をぶつければ、「他部署に影響が出るから確認が必要ですね」「なるほど、それもアリかもしれませんね」などという反応を得ることができます。
そうしておけば、提案したあとで「えっ、そんなの困る」「それコストがかかり過ぎるでしょ」といった事態が起こることも防げるでしょう。
そしてこれは、自分に対する質問にも当てはまります。
「自分にはムリ」という感情を抑え、「どうすればできるのだろう?」という質問を投げかけることによって、打開策を見つけようと脳がフル回転します。そして解決方法が見つかるかもしれません。
老後の不安があるなら、「どうすればこの不安を払拭できるだろうか?」という質問を自分にぶつければ、具体的な方策を考えようとする。方法が見つかれば、不安も軽減されます。
要点を摑んだ適切な質問は、仕事の効率を上げるのみならず、自分の人生を好転させることにもつながるのです。
午堂 登紀雄 (ごどう ときお)
1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。
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