300万の人にとって、目標とは「到達点」 1億の人にとって、目標とは「通過点」

午堂登紀雄『年収1億の勉強法 年収300万の勉強法』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2017.07.04
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 これまで勉強の習慣があまりない人が、たとえば「関連書を月に○冊読もう」などと目標を決めて取り組むのは、モチベーションを維持し習慣化するうえで一定の効果はある。
 しかしそこで、「勉強の本来の目的は何か」を取り違えたら、得た知識が活かされることなく、300万の人で終わってしまうリスクが高い。

 勉強の本来の目的は、「自分のアウトプット(行動とそれに伴う結果)を進化させること」のはず。そのために、今までの自分が持っていなかった知識やものの見方、考え方を取り入れ、行動を変えていくことにほかならない。表に出てこない知識や情報などは、そもそも最初から持っていないのと同じだからだ。
 つまり「関連書籍を読む」という行為は、手段であって目的ではない。しかし「読む本の冊数」という目標設定をすると、本来の目的を見失いかねない。

 以下は私がこうした主張の際によく取り上げる例だが、「10種類の野菜が入ったスープ」といった商品を「野菜が摂れる健康的な食品だ」と感じ、それがほかのスープよりも割高であっても喜んで買うという行為が、まさにそれである。
 そもそもの目的は野菜を摂ることではなく、野菜に含まれている栄養素を摂ることのはず。
 しかし、もしそのスープが農薬まみれの促成栽培で育てられ、乾燥・加熱・粉砕された野菜で、なおかつ添加物盛り盛りのスープだったとしたら、いったいどれほどの栄養があるだろうか。

 また、栄養素の消化吸収には各種ホルモンや酵素、あるいは運動など様々な要因がからみ、単一の栄養素だけを摂っても効果は得にくいことが指摘されている。
 にもかかわらず、本来の目的を忘れ、手段であるはずの野菜摂取を優先してしまうという人は少なくない。
 そしてこれは、勉強や読書にも同じことが起こりやすい。

 たとえば読書という手段が目的化してしまうと、内容を自分自身で消化することなしに「次は何を読もうかな」という渡り鳥になったり、「今月は○○冊読破した!」と満足して終わり、ということになりかねない。
 1億の人は、読む本の冊数に目標は立てない。月に50冊読む人もいれば、1冊の本を何か月もかけて読む人もいて、そこにこだわりはない。
「自分の目的を達成するには、どんな本をどのような方法で読むのが最も効果的か」を考えたとき、「冊数は本質的な問題ではない」からだ。

 たとえば、「成功哲学を学びたい」という目的なら、気に入った自己啓発書を1冊、折に触れて何度も繰り返し読む。そして本で得た情報によって自分の思考パターンや行動パターンが変化しているかを適宜チェックする。
 成功本でいっていることはどれもそう大差がないから、あえてたくさん読む必要はなく、それよりも思考と行動が変化しているかどうかのほうが重要なのだ。

 あるいは「特定の分野で専門家と議論できるレベルになりたい」という目的なら、自分なりの主義主張を持つことが必要となる。そして、その主張を裏付ける根拠を持つには、様々な論点を理解すべく、その分野の本を大量に読むことになるだろう。すると、月に50冊読んでも「まだまだ」となるかもしれない。

「どう活かすか」を意識しよう

 つまり「どういうリターンを得たいか」という目的適合性から取り組む必要があるということだ。

 もちろん、楽しむ読書もあれば、暇つぶしの読書もある。それを否定はしない。本書のようなビジネス自己啓発書も「おもしろかった」「つまらなかった」という感想で済ませるのも本人の自由だ。

 しかし多忙なビジネスパーソンが読書をするなら、やはり「自分の仕事や人生にどう活かすか」という視点を持ちたい。

 でなければ、冊数こそ多く読んだものの、生活は一向に変わらず、読書に費やしたお金と時間がダブルで全損になってしまう、ということになりかねない。

 

午堂 登紀雄 (ごどう ときお)

1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。

 

作品紹介

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