山口百恵さんの音楽について、
「プレイバック制作ディレクター回想記 音楽「山口百恵」全軌跡」
の著者川瀬泰雄さんに、いろいろとお聞きしました。
【川瀬泰雄プロフィール】
東京音楽出版(現ホリプロ)入社後、山口百恵の引退までプロデュース。そのほか井上陽水、浜田省吾等のプロデュースも担当、現在まで約1600曲をプロデュース。
Q:山口百恵さんと初めてお会いしたのはデビューした頃ですか?
A:『スター誕生!』でホリプロの所属が決まった後、百恵を連れた担当マネージャーがホリプロの社内にいたスタッフに挨拶をしたときです。多分、百恵は沢山のスタッフの中にいた僕のことは覚えていないと思います。担当ディレクターになったときに正式に紹介されました。
Q:担当し始めたのは、どの曲からですか? どんな感じの印象を受けましたか?
A:シングル「禁じられた遊び」から担当ディレクターになりました。百恵はまだ14才だったのですが、何事にも真剣に立ち向かっていく真面目そうな子という印象は、その時から受けていました。
Q:正直なところ、あれほどの国民的スターになると思っていましたか?
A:想像もしていませんでした。デビューしたての井上陽水氏を自分が担当していた時も、彼のアパートの一室で、この後どうなっていくんだろうね? と本人と話し合ったくらいです。デビュー直後のタレントに国民的スターなんていう言葉は、仮に連想ゲームでも出てこないと思います(笑)。
Q:すごい歌手になりそうだ、とか、レコーディングのときに感じたエピソードはありますか?
A:シングル「ささやかな欲望」でひょっとしたら上手い歌手になるという予感が生まれ、アルバム「17才のテーマ」で阿木燿子さんと宇崎竜童氏の曲を歌ったときに、歌手・百恵という人格が出来上がったと思います。
Q:「歌手・山口百恵という人格」って、どういうことですか? ファンにとっても気になるところだと思います。
A:他のアイドル歌手やタレントと違う、後々、皆さんの印象にある山口百恵さんという個性が作られはじめたということです。
Q:引退から30年たって、やっと本書が出ましたが、ファンの方に、歌手・山口百恵の魅力や、ほかの歌手にはないところなどを教えてもらえますか?
A:本を読んで貰えれば、良くわかっていただけると思いますが、前述の「ささやかな欲望」の頃からは、テレビや映画での演技、読書や海外のアーティストの音楽などから色々なことを吸収し、レコードを1枚出すごとに上手くなっていきました。それは、テクニックだけが上手くなっていったということではなく、自然な形で百恵自身の存在感がどんどん大きくなっていき、僕らスタッフでも気圧(けお)される-気分的に圧倒される-ようなところが、他の歌手にはあまり感じなかったところだと思います。
編集部:川瀬さん、ありがとうございます。「花の中三トリオ」の中ではそれほど目立たないような印象だった山口百恵さんが、徐々に徐々に歌手として成長していく姿を本の中で描かれています。時代の象徴でもあり、今もなお輝き続ける山口百恵さんの音楽は実に奥深いものがあります。もっといろいろなお話をお聞きしたいので、
続きは後日またアップしていきます。ファンの皆さん、楽しみに待っていてください!