こどもの目線に立ったユニークな研究で人気の「こどもの視点ラボ」の新作絵本で、こども時代の忙しくも豊かな時間を取り戻そう。
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「いちにちって あっというま!」
おとなたちは いうけれど
すいちゃんには ちっともわからない
だって すいちゃんのいちにちは
とってもとっても ながいから
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こんな一文で始まる絵本『すいちゃんはいそがしい』は、こどもの当事者視点とはどんなものかを真面目かつ楽しく研究している「こどもの視点ラボ」の研究の中から生まれた絵本だ。

▲『すいちゃんはいそがしい』書影
大人は、「時間」というものに限りがあると認識して日々を過ごしている。
1日は24時間しかなく、その中で、「いつ何をするのがベスト?」「たくさんのタスクを効率よくこなすには…?」ということに、皆が心を砕いている。
「限りある時間を有効に使いたい」という願望を叶えるためのビジネス書が入れ替わり立ち替わりヒットを記録し続け、「タイパ」という言葉が合言葉のように交わされる。
大人たちはそれくらい、いつも「時間」に夢中だ。
視点をこどもに移してみよう。
実はこどもは、起こったできごとの多さで時間をはかる「できごと時間」を生きている。
1日が24時間という概念ではなく、自分が体験したできごとの積み重ねで時間の長さをはかっている。
元気に動き回るこどもにとって「時間」は、大人のそれよりも、長く濃厚で充実したものなのである。

▲大人の時間とこどもの時間はこんなに違う!
この絵本では、主人公「すいちゃん(4歳)」の朝起きてから夜寝るまでの行動を定点観測していく。
例えば公園のシーン。
40分ほどの時間の中でも、すいちゃんはずっと元気に活動をしている。
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てつぼう しゃぼんだま すべりだい
のぼっておりて のぼっておりて
じてんしゃ かけっこ ロープウェイ
あらら? くつのなか すなだらけ~
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いろんな表情を見せながら、遊び続けるすいちゃんの時間はとっても豊かで濃厚だ。
そういえば、こどものころ、時間ってもっと長くて充実していたなぁと思わずにはいられない。

▲『すいちゃんはいそがしい』中面より

▲すいちゃんが1日にしたこと表
この絵本の特徴として、すいちゃんの生き生きとした様子を、定点観測という手法を使って魅力的なビジュアルに作り上げていることが挙げられる。

▲『すいちゃんはいそがしい』中面より
撮影はすいちゃんの父であり、広告写真の世界で活躍している、てんてん氏によるもの。普段の親子の関係性があるからこそ、撮影することができた自然な表情に引き込まれる。
「そうそう、うちの子もそう!」と全親が共感するのではないだろうか?
ちょっとこどもの目線になってみるだけで、世の中は全然違ってみえてくる。
絵本『すいちゃんはいそがしい』で豊かなこどもの時間を取り戻してみては?

▲やっと寝た、と思ったら、寝ているときまでいそがしい。それがこども。
商品概要
■書名:『すいちゃんはいそがしい』
■企画:こどもの視点ラボ 写真:てんてん
■発行:Gakken
■発売日:2025年1月23日
■定価:1,650円(税込)
【電子版】