【越後製菓の社長が絵本作家と対談!】『おもちのおふろ新装版』刊行記念

『おもちのおふろ新装版』

公開日 2025.01.07
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~絵本『おもちのおふろ新装版』刊行記念 特別対談~ 越後製菓社長×絵本作家・苅田澄子さん、植垣歩子さんが語る「おもち愛」とは

 2024年末、10周年を迎えた絵本『おもちのおふろ』が新装版となって刊行されました。刊行にあたり、「おもちの魅力がたっぷりつまった絵本です!」と推薦コメントを寄せてくださったのは、なんと、おもち業界でも上位の越後製菓株式会社の吉原社長。そこで今回、おもちが大好きな吉原社長と、本書の著者で絵本作家の苅田澄子さん、植垣歩子さんの対談が実現。三人に「おもち愛」を、思う存分語っていただきました。どんな食べ方が好きか、おもちの工場見学など、おもちエピソードも必見です!

▲絵本も色紙も、社長室に飾ります!とおっしゃる越後製菓の社長(中央)、にこやかに笑う植垣歩子さん(左)と、苅田澄子さん(右)

 

▲越後製菓社長が寄せてくださった推薦コメント 法被姿がキマッてます!

「おもち」のことをよく理解して描かれた、『おもちのおふろ新装版』

越後製菓・吉原社長(以下、吉原社長):『おもちのおふろ新装版』を読ませていただいて、ありがとうございました。読んでいて、とても温かい気もちになりました。醤油の足湯とか、きなこの砂風呂なんかも絶妙で。おもちにいろいろな食べ方があることがわかるし、特にお話の最後におもちが「おなべのゆ」に入るところなんかも、おもちの食べ方、魅力をよく理解して描かれているなと思いました。

苅田澄子さん:細かいところまで読んでくださって嬉しいです! わたしもおもちが大好きなので、おもちを醤油に浸したりきなこをまぶしたりしたら、何だかおもちがおふろに入っているみたいだなあと思ったところから、このお話が生まれたんです。

植垣歩子さん:おもちは、昔から私たちに馴染みがある食べ物で、派手さはないけれど、飾り気のない素朴でのんびりしたイメージ。この絵本の主人公のもーちゃんとちーちゃんは、切りもちということもあり、そこに実直さや真面目さといったイメージも浮かんで、もーちゃんは、真面目なしっかり屋さん、ちーちゃんは、素朴なのんびり屋さん、というふうに描きました。

気になったところは、入浴料や、壁に貼られたポスター

吉原社長:入浴料のところもおもしろいですよね。野菜が50円で、豆腐が20円とか。どうやって値段を決めたんですか?

苅田澄子さん:主人公のもーちゃんたちは、子どもかなと思ったので、安くしたんです。おだんごたちも、小さいので5円とか。重量というか体の大きさで決まるかなと。

植垣歩子さん:わたしもこの絵本を読み聞かせに行くと、そこをよく聞かれます(笑)。おすしは、おふろに入るとばらけちゃうから高いんだよね、なんて答えてますね。みんな、気になるみたい。

吉原社長:壁面のポスターもおもしろいですね。特に「もちの学習塾」! 粘り強く教えます、というのがまたいい。受験シーズンにおもちが売れないかな~と思ったり(笑)。

苅田澄子さん:壁のポスターなんかは、全部、植垣さんのアイディアなんですよ。

吉原社長:オーブントースターでおもちが膨れたり、くっついて取れないというところも、本当におもちの特徴をよく捉えていると思いました。

­­­苅田澄子さん:最後のシーンの「おなべのゆ」は、担当編集・Nさんからのアドバイスで変えたんです。最初は小豆の「あんこのゆ」だったんですけれど、絵が地味になりそうということと、最近は鍋にもおもちを入れて食べるよね、と話しまして。

植垣歩子さん:物語の最後にふさわしい、華やかな場面になりましたよね。いろんな子が出てくるし、わたしも描いていて楽しかったです。

おもちが日常的に食べられるようになった

吉原社長:むかしは、おもちは年末年始とかお正月とか、神事に食べられていたんです。スーパーにも年末くらいしか並んでいませんでしたし。それが、だんだんおもちの保存方法も技術革新して、日常的に食べられるようになったんですね。それは昭和50年頃のことでしょうか。

植垣歩子さん:先ほど工場見学もさせていただいたんですけれど、カビを生えさせない苦労というか工夫がすごいですね!

▲工場見学中の苅田さんと植垣さん。髪の毛1本も外に出ないように重装備

▲工場長自ら、おもちの製造方法や種類について解説

吉原社長:おもちはどうしてもかびてしまうものなんですが、酸素がなければカビが生えないということで、いろいろ試行錯誤を重ねて、人の手が触れないように工場を設計したり、包装袋のなかの酸素をできるだけ速く抜くようにしたりして、今では2年も、おもちが持つようになったんですよ。

植垣歩子さん:工場の敷地に入ると、蒸したもち米の甘い香りがしてきて、胸が高鳴りました。おもちがもちつき機にぺったんぺったんされているところでは、ツヤツヤのおもちがとてもかわいらしく見えて。おもちがあんなに大事に作られているんだと、とっても感激しました。検品のとき、はねられたおもちだと思うんですが、従業員の方が大事にだっこして運んでいらしたのが印象的でした。

吉原社長:越後製菓のもちつき機も独特なんです。ふつうは、上からもちをつく機械が多いんですが、越後製菓のもちつき機は臼と杵の形を模していて、ほんとうに人が杵でもちをつくような動きで作っているんです。

苅田澄子さん:確かに! もちつき機がぺったんぺったんしていて、よく働いていてえらいな~、健気だな~と思いました。おもちも白くてまあるくて、かわいくて。

植垣歩子さん:切りもちになり、個別包装されて大袋に入っていく様子は、「私たち、これから各ご家庭に行ってきます!」という意志すら感じました。あと、特別に試食させていただいたおもちも、とってもおいしかったです! 主に北海道で販売されているという、越後製菓のきなこをかけていただいて。甘すぎない絶妙なお味でした。

苅田澄子さん:甘くてふんわりしていて、よくのびて、つきたてのおもちみたいでした!

吉原社長:「つきたてのおもちのおいしさを届けたい」という思いがあるので、そうおっしゃっていただいて嬉しいです。

※越後製菓株式会社では、ふだんは工場見学は受け付けていないそうです。今回特別に、おもち工場を見学させていただきました。

おもち好きな三人の、おすすめの食べ方は

吉原社長:わたしは、あんこときなこ派ですね。でも、どちらかと言うと、きなこかな。毎朝、きなこもちを2つ食べているんですよ。おもちはたんぱく質が多く、またゆっくり消化するから、腹持ちがよくて。ビタミンBも多いし、ダイエットにもおすすめです。マラソン選手なども、大会前はよくおもちを食べると聞きます。

苅田澄子さん:そうなんですね! わたしが好きなのは、砂糖醤油につけて、のりを巻くという、超オーソドックスな食べ方ですね。あと、子どもの頃、固くなってしまったおもちを、母がよく油で揚げてかきもちにしてくれたのも忘れられないです。

植垣歩子さん:わたしも子どもの頃、小学校のおもちつき大会で食べたおもちが忘れられません。つきたてのほやほやの、ほわ~っと湯気がたつおもちに、大根おろし、納豆、砂糖醤油、あんこ、きなこなどで味付けしてくれて、本当においしかったですねえ。そうそう、実家では毎年、年末にもちつきマシーンでおもちをつくんですよ。子どもたちも一緒に、鏡もちを作ったり、あんこもちを作ったり。

吉原社長:皆さんそれぞれ、おもちの思い出があって嬉しいですね。おもちは、本当にいろいろな食べ方に合いますし、おいしく召し上がってほしいです。越後製菓では、おもちとエビのアヒージョなど、おすすめのレシピも公開しているので、ぜひ見てみてください。

越後製菓おすすめのレシピはこちら

おいしいおもちを届けたい、地元に貢献したいという越後製菓

吉原社長:越後製菓は、もともとは、そばの製造から始まったんですが、やがて、やはり米どころということもあって、もち米をつかったお菓子を作り始めました。米菓を作るには、おもちをつかなければいけないので、それならおもちも製造して売ろうということで始まったんです。

苅田澄子さん:戦後まもなく創業されているので、食糧難の時代ですし、おいしいものを届けたいという思いもあったんでしょうか。

吉原社長:それはもちろんありました。おもちは日持ちしなかったので、つきたてのおもち、おいしいおもちを届けたいという思いが強かったんです。あと地元に貢献したいという面もあったんですね。もともと長岡は雪国で、冬になると、県外に出稼ぎに出る人が多かった。それで地元の人が冬でも働ける場所を作りたいということで、工場を作ったそうです。それが昭和40年代のことです。

苅田澄子さん:吉原社長が、越後製菓に入社されたきっかけは何ですか?

吉原社長:じつは実家が、この片貝工場からすぐ近くなんです。学生時代にアルバイトもしていて、そんな思い出があって入社しました。それに、この工場にはかつてゲートボール場があって、地元の人に開放していたんですね。うちの祖母もそこでゲートボールをしていたこともあり、越後製菓をとても身近に感じていました。

植垣歩子さん:今日初めておじゃましましたが、越後製菓の工場にはきれいなお庭や池があってびっくりしました。まるで公園みたいですね。

吉原社長:環境がいいのも、いいところですね。工場の庭の池では、小千谷市特産の錦鯉を飼っているんですよ。

『おもちのおふろ』10周年×越後製菓のおもち「生一番」40周年

吉原社長:『おもちのおふろ』は今年で10周年ということですが、越後製菓のおもち「生一番」も、今年で40周年なんですよ。

苅田澄子さん:おめでとうございます! 互いに周年が重なるおめでたい年なんですね!

吉原社長:おもちの魅力がつまった『おもちのおふろ新装版』をたくさんの人に読んでいただきたいとともに、皆さんに、おもちもおいしく召し上がっていただきたいですね。

―越後製菓株式会社の吉原社長、『おもちのおふろ新装版』の著者・苅田澄子さん、植垣歩子さん、すてきなお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

 

●担当編集・Nの対談後記

「わあ、空気が澄んでおいしい!」長岡駅に降り立った苅田澄子さん、植垣歩子さんの第一声でした。きれいな紅葉とひんやりとする秋の空気のなか、緊張するお二人(わたしもですが……)をお連れして、越後製菓株式会社の工場へ。駅まで出迎えてくれたのは、笑顔が素敵な営業部のOさん。工場では、なんと吉原社長が玄関口まで出迎えてくださり、気さくに記念撮影も。高橋英樹さんを起用した有名なCMの等身大パネルと一緒にパチリ。対談も終始なごやかに進みました。帰る際には、これまた吉原社長が玄関口までお送りくださって、おもち「生一番」をはじめ、「ふんわり名人きなこ餅」などの米菓までお土産にいただきました。おもちを愛し、ユーモアを解し、絵本を応援してくださる越後製菓さん、ありがとうございました!!

 

内容紹介

▲(書影)のんびりとお湯につかる、もーちゃんとちーちゃん。

おもちのもーちゃんとちーちゃんがおふろ屋さんへ。ところが醤油の足湯はおすしたちがいっぱいで、きなこの砂風呂もおだんごたちが転がりまわってゆっくり入れません。のんびりできるおふろはないのかな?

『おもちのおふろ新装版』の詳しい内容はこちら

 

越後製菓株式会社

おもち業界で上位のシェアを誇る、米を原料とした菓子やもちなどを製造販売する食品会社。本社は新潟県長岡市。主な商品に米菓「ふんわり名人きなこ餅」、国内産もち米を100%使用したおもち「生一番」などがある。高橋英樹氏を起用したCMでも知られる。

越後製菓株式会社 公式サイト

 

苅田澄子さんプロフィール】

 出版社勤務の後、フリーで編集をしながら童話作家の小沢正氏に師事。主な絵本に『いかりのギョーザ』(絵・大島妙子 佼成出版社)、『じごくのラーメンや』(絵・西村繁男 教育画劇)、「だいぶつさま」シリーズ(絵・中川学 アリス館)、『ことりのデパート』(絵・まるやまあやこ 世界文化社)などがある。東京都在住。

 

植垣歩子さんプロフィール】

 絵本作家。主な絵本に『にんじんだいこんごぼう』(福音館書店)、『とうもろこしつぶこさんのへんしんサロン』『ごぼうせんせいのいそがしいいちにち』(ともに佼成出版社)、『おばけとかくれんぼ』『ようかいおふろ』(ともにほるぷ出版)、『かめのカメリさんおうちをなおす』(理論社)、『おふとんさんがまってるよ』(Gakken)などがある。神奈川県在住。

商品の紹介

■書名:『おもちのおふろ新装版』
■作:苅田澄子 絵:植垣歩子
■発行:Gakken
■発売日:2024年11月29日
■定価:1,650円(税込)

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