【地球の歩き方総合研究所】新企画『海外政府観光局トップが語るコロナ後』公開スタート!

地球の歩き方総合研究所 海外政府観光局トップインタビュー

更新日 2021.09.27
公開日 2021.09.17
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~世界の主要観光局(オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ)はアフターコロナの観光をどう捉えているのか~新連載企画、第一弾スタート!

「ご登壇いただいた各政府観光局の方々」画像

 地球の歩き方総合研究所は、アフターコロナの観光の在り方を世界の主要観光局トップが語る新企画コンテンツを開始した。第一弾として、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイの観光局トップの方々が、アフターコロナの観光をどう捉えているのか。今後、どのようなターゲットに対して戦略を練り、自国への誘客プロモーションを考えているのか。これからの旅行市場をどう捉えているのか。これらを探るためにインタビューを本年夏に実施。地球の歩き方総合研究所のサイトにて連載企画を開始。以下、キーポイントをまとめた。

 ご登壇いただいた各政府観光局の方々(左より)
・オーストラリア政府観光局 アジア地区・航空担当 副局長 アンドリュー・ホグ氏
(Andrew Hogg、Executive General Manager Eastern Markets and Aviation – Tourism Australia)
・ニュージーランド政府観光局 ゼネラルマネージャー・インターナショナル グレッグ・ワッフルベイカー氏
(Gregg Wafelbakker - General Manager International Tourism New Zealand)
・ハワイ州観光局 日本支局長 ミツエ・ヴァーレイ氏
(Mitsue Varley ,Country Director-Hawai‘i Tourism Japan)

これからのトレンドは?~観光再開後に向けた観光局の活動方針として、共通する主なポイント5つ~

 今回、3名の取材を通じて、下記の5つのポイントが共通認識として浮かび上がってきた。

 1. 地元・地域の人々と一緒に観光を創り上げていくことが大切
 2. 人々が大切にしている自然や文化を旅行者に事前に伝え、理解・共感して訪れてもらう
 3. 旅行者数を指標設定(KPI)にはしない。新たな評価指標を模索中
 4. 観光マーケティングから観光マネジメントへ
 5. 現地の“今”を感じてもらう、国境再開後の来訪を待ち望んでいるメッセージを伝える

 それぞれの具体例の一部をご紹介する。

1. 地元・地域の人々と一緒に観光を創り上げていくことが大切

 ハワイでは、「アイランド・デスティネーション・マネジメント・プラン」を作る組織を島ごとに設置。現状の問題点の共有、SWOT分析、規制とともにハワイらしいツーリズムマネジメントをどうしていくかを徹底的に話し合っている。地元コミュニティの声を吸い上げていくことが最優先事項。丁々発止の意見交換の中で一つひとつのアクションプランを作っている。

2. 人々が大切にしている自然、文化を旅行者に事前に伝え、理解・共感して訪れてもらう

 ニュージーランドでは、歓迎やもてなしを意味する「manaakitanga」、大地や環境保護を意味する「katiakitanga」、家族を意味する「whanau」という3つのマオリ語の言葉をメッセージとして伝えていく。これは、どんな困難に陥ろうとも、誰しもが家族のように振る舞い、助け合うことが必要で、旅行者には今まで以上に広大な自然とつながり、それを満喫したいと感じてもらえるようにしたいと考えている。

「ニュージーランド政府観光局 グレッグ・ワッフルベイカー氏とティアキ・プロミス」画像

ニュージーランド政府観光局 グレッグ・ワッフルベイカー氏(右)「ニュージーランドの美しさを守るためにできること」を提唱するティアキ・プロミス(Tiaki Promise)©ニュージーランド政府観光局

 オーストラリアでは、先住民の6万年前からの文化は今でも大事に継承されており、7月にはナショナル・リコンシリエーション・ウィーク(国民和解週間)が開催された。先住民と正しい道を歩み続けていくことを改めて確認し、このことを今後より広く伝えていく、としている。

 ハワイは観光戦略の4本柱として、1.自然資源の保護 2.文化の保持 3.コミュニティとの連動 4.ブランディングメッセージを変えていく=ハワイのコミュニティと連動・貢献しハワイの価値に共感していただける方々(High Valued Customer)をいかに誘致していくか、を設定している。

3. 旅行者数を指標設定(KPI)にはしない。 新たな評価指標を模索中

 今後アフターコロナで海外旅行が再開されれば、各国の訪問者数が増加するのは明らか。そこで、今後何を評価指標とするかを尋ねた。

 ニュージーランドでは、「Enrich Aotearoa」(エンリッチ・アオテアロア[=マオリ語でニュージーランド]を豊かに)というコンセプト。観光客の力を借りて、ニュージーランドをより良い国にしようというもの。観光客の方々に経済、環境、社会、文化に貢献していただきたい、旅行業を通じて国をより豊かにすることが目標、と考えている。

 ハワイでは、ツーリズムマネジメントという観点から、観光局としてのKPIの見直しをしている。旅行者数ではなく、消費額や滞在日数を軸に考えるなど、さまざまな討議がされているが、大切なのは、自然、文化、人々の生活や職人たちを守っていくことにより、観光資源を持続していく方法を見出していくこと。

4. 観光マーケティングから観光マネジメントへ

 ハワイでは、ハナウマ湾を1日1000人、事前にオンラインで教育プログラムのビデオを視聴し予約した人のみの入場とした(入場料25ドル)。
 入場制限や事前教育プログラムの受講を必須化するなどの管理が重要になってきており、今後は「ツーリズムマーケティング」や「ブランディング」よりも「ツーリズムマネジメント」が必要になっていくと考えている。

「ハワイ州観光局 ミツエ・ヴァーレイ氏とハナウマ湾」画像

ハワイ州観光局 ミツエ・ヴァーレイ氏(右)ハナウマ湾への入場は事前学習・予約が必要に© Hawaii Tourism Authority (HTA)

5.現地の“今”を感じてもらう、国境再開後の来訪を待ち望んでいるメッセージを伝える

 オーストラリアでは、「With Love from Australia」というキャンペーンで世界中に向け発信している。「私たちは皆さんを愛しています。今は困難だとしてもいずれオーストラリアを訪れていただいた際には歓迎し、お目にかかれる日を楽しみにしています」という意味と共に「希望とまた再びお会いできるまでどうか安全にお過ごしください」というメッセージも含めている。さらに、バーチャル音空間を作る「8D」という仕組みを使い、オーストラリアの動画をヘッドフォンに広がる音から感じてもらったり、チャーターフライトを使い、一日オーストラリアを体験するイベントなども実施。

「オーストラリア政府観光局 アンドリュー・ホグ氏」と「With Love from Australia」画像

オーストラリア政府観光局 アンドリュー・ホグ氏(右)With Love from Australia©オーストラリア政府観光局

 ハワイでは、政府も住民もハワイ文化を取り戻そうとする「ハワイアンルネッサンス」(ハワイ文化復興)運動と次世代教育に力を入れてきており、ハワイの自然や文化を守っていこうという動きが大変強くなっている。
 そこで、「マラマハワイ(ハワイを思いやる心)」=ハワイに住む人たちが“こういうこと守っています、大切にしています”というメッセージを旅行者に伝え、そのために地域住民が取り組んでいることを知ってもらいたいと考えている。

 ニュージーランドでは、継続して発信している「100% Pure New Zealand」キャンペーンに加えて、ニュージーランドが日本からのお客様の来訪を待ち望んでいることを伝える「Pure Welcome」というフレーズも掲げ、デジタルメディア、SNSなどを活用して伝えていく。
 また、ニュージーランド観光業界の公式認証クォールマークに「新型コロナウイルス・クリーン認証」のロゴを導入。このロゴがある宿泊・観光施設はクォールマークの認定を受けているだけでなく、新型コロナウイルス防疫対策を実施していることを証明するもので、安心して利用・滞在してほしいということを伝えていく。

 連載企画はこちらからご覧いただけます。
▼地球の歩き方総合研究所
「海外政府観光局トップインタビュー
~世界の主要観光局はアフターコロナの観光をどう捉えているのか~」
 http://www.arukikata.co.jp/research/report01.html

 今回のインタビュー記事から各政府観光局の確かな戦略を読み取り、また観光・旅行産業に関わる皆さまにとって、これからの観光戦略を考えるうえで少しでもヒントとなる事項があれば幸いです。
 ご協力をいただいた政府観光局の方々には改めて御礼を申し上げますとともに、一日でも早く、観光・旅行市場が再開し、国際交流が活発化することを願っています。

 ご登壇いただいた各政府観光局の最新情報はこちらから。
 オーストラリア政府観光局:https://www.australia.com/ja-jp
 ニュージーランド政府観光局:https://www.newzealand.com/jp/
 ハワイ州観光局:https://www.allhawaii.jp/

 渡航の可否や条件等については、下記などを参考に、必ずご自身でも最新情報をご確認ください。
◎外務省海外安全ホームページ
・URL: https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
◎厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
・URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

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