他人と接するのが少し不器用な、でも本当はとても優しいおばあさんの物語。人と接する勇気と、自身を変える気持ちを伝えるファンタジー。

『へんくつさんのお茶会 ~おいしい山のパン屋さんの物語~』

UPDATE 2020.11.06
公開日 2020.10.30

小人や動物が訪れる、小さなパン屋の優しい物語。読書と食欲の秋にいかが?

『へんくつさんのお茶会 ~おいしい山のパン屋さんの物語~』書影

表紙。外国の読み物のような装画です。

お話のあらすじ

 ぽっこり山のふもとに、一軒のおいしいパン屋さんがありました。
パンを焼いているのは、気難しく、へりくつばかり言うおばあさんで、みんなからは、“へんくつさん”と呼ばれています。

 へんくつさんのパン屋は、午後三時になると閉まってしまいます。
 その時間には、ほとんどのパンが売り切れてしまうからです。
 それから、かたづけをする前に、まず一休みです。
 ティーポットとカップを、ガラスまどの下の丸テーブルに運び、その日の気分のお茶を三時にゆっくり飲むのが、へんくつさんの楽しみです。
「ああ、ひとりは気楽でいいねえ。ひとりなら、わずらわしいことは起きない。わたしゃ、しずかに、おだやかにくらしたいのさ」
 とぶつぶつつぶやきます。

 そんなひとりを好むへんくつさんですが、小人の女の子や、どろぼうの青年、年老いた動物など、さまざまな出会い・別れを重ねるうちに、少しずつ変わりはじめ…。

「トビラ」紙面

本トビラ。お店にはふたつ入り口があり、体の小さな動物や小人たちは、ガラス窓から出入りします。

「もくじ」

もくじ。各章が短めなので、さくさく読めます。

 文章は、『ばあばは、だいじょうぶ』(童心社刊。2017年課題図書選定、のちに映画化される)などで人気の児童書作家 楠章子さん。
 絵は、『わたしの塗り絵Book憧れのお店屋さん』『わたしの塗り絵POST CARD BOOK 森の少女の物語』(ともに日本ヴォーグ社)や「ぼくのまつり縫い」シリーズ(偕成社)など、幅広い年代に人気のイラストレーター 井田千秋さん。

 おいしそうな季節のパンや、人の心の機微が、やさしい文体と絵であらわされています。

「かんばんのないパン屋さん」紙面

各章、おいしそうなパンと、季節の植物のすてきなイラストではじまります。

「1文が短めなので、さくさくと読めます」紙面

1文が短めなので、さくさくと読めます。

「どのイラストもやさしい、丁寧なタッチで描かれています」紙面

どのイラストもやさしい、丁寧なタッチで描かれています。

へんくつさんは、あなたの近くにもいるかも…?

 昨今、あらゆるところでコミュニケーション能力を強く求められます。
 けれど、みんながみんな、コミュ力が高いわけではなく、なかには苦手な人もいたりします。

 このお話は、他人と接するのが少し不器用な、でも本当はとても優しいおばあさんの物語です。
 あなたの身近に、少し近寄りがたいと感じる人はいませんか?
 もしかしたら、その人はへんくつさんのように、ちょっと伝え方がうまくないだけで、内面は見かけとちがうかもしれませんよ。

 そして読者のなかには、へんくつさんのように、コミュニケーションがうまくない人もいるかもしれません。少しだけ勇気を出して、自分の気持ちをすなおにあらわしてみては? なにかが変わる、きっかけになるかもしれませんよ。

 これは、人と接する勇気と、自身を変える気持ちを応援する物語。
 子どもはもちろん、おとなにもおすすめの1冊です。

※本書は、進研ゼミ小学講座「チャレンジ3年生」(2011年8月号別冊付録(株)ベネッセコーポレーション発行)にて初出掲載されたものを加筆・修正した作品です。

商品の紹介

『へんくつさんのお茶会 ~おいしい山のパン屋さんの物語~』書影
■書名:『へんくつさんのお茶会 ~おいしい山のパン屋さんの物語~』

■作/楠 章子 絵/井田千秋
■発行:学研プラス
■発売日:2020年10月29日
■定価:本体1,300円+税

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