◆「# そろ生き」先行試し読み 第7回◆ 「私らって、ほんまはもともと、まん丸なお月様なんよ――」

旺季志ずか

更新日 2020.07.27
公開日 2018.05.16
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先行試し読み 第7回

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「私らって、ほんまはもともと、まん丸なお月様なんよ。
でも、そのことを忘れてる。
私らって……月がお日様の光に照らされて形を変えるみたいに、
人に照らされて自分を見てるんやないかな……。
周りの人たちの言うことで、自分のこと、好きになったり、
嫌いになったりしてる。でもはじめっから、まん丸なお月様」

連続ドラマ愛の詩シリーズ「パパ トールド ミー 大切な君へ」より。

2003年NHKにて放送。
原作:榛野なな恵『Papa told me』(集英社)。
ひとりで自分を育てることで周りから批判される父・信吉(風間トオル)の立場を考えて、必死で「普通の子」になろうと頑張る個性的で破天荒な主人公・知世(豊田眞唯)が、ありのままの自分でよかったと気づくシーン。

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私たちは、常に誰かの評価を受けて、一喜一憂しています。

親や上司、そして世間が、自分をどう思っているのかが気になる――。

そのことを月に託して表現したのが、このセリフです。

「人の目が気になって、やりたいことがやれません」という相談を受けますが、他人の思惑や批判が怖くて、のびのびと自分を表現できない気持ちは、十分わかります。

私も、はじめての小説『臆病な僕でも勇者になれた七つの教え』(サンマーク出版)を書いたとき、とても怖かったです。

脚本家として実績を積んでいる分、ジャンルが違っても同じ書くことで失敗したらと思うと、身が縮むようでした(おかげ様で、『臆病な僕でも――(通称オクボク)』は、ベストセラーになりましたが)。

はじめて「有吉反省会」(日本テレビ)や「情報ライブミヤネ屋」(読売テレビ)へテレビ出演したときもそうです。

私のような人間が、公共の電波でゲストやコメンテーターとして意見を言う。批判がいっぱい飛んできたらどうしようと、起こってもいないことを想像して胃が痛くなりました。

自分の新たな一面を世界に対して開いていくこと、これほど怖いことはありません。なぜなら、そこに人からの「評価」が生まれるからです。

人並み以上に臆病なのに、怖い気持ちに圧倒されそうになりながら、それでも私が新しいことに挑戦するのは、そのことに「心」が惹かれ、ワクワクしてしまうから。

そうやってチャレンジを重ねてきて、わかったことがあります。

それは、人の評価と自分の価値はまったく関係がないということ――。

“人の評価や思惑”が気になってしまうのは、それが自分の価値を決めると信じているからです。

褒められると自分には価値があると思い、けなされると自分はダメだと落ち込む。

ちょっとした誘いひとつでも、受け入れてもらうと自分は認められているとうれしくなり、断られると大切にされていないと傷つく。

こんなふうに、他人の評価や態度で自分の価値を測るから、自分がしたいことを自由にできなくなるのです。

評価とは、その人が感じるもの。

同じものを見て、「いい」と思う人もいれば、「嫌い」と思う人もいる。ただそれだけのことです。それがどれほど権威ある人の意見であったとしても同じです。

このドラマの主人公・知世が言うように、私たちは、なんら欠けたところのないまん丸なお月様――完全な存在です。

なのに“人の評価”というものに照らされて半月や三日月に見えるのを、「何かが足りない」「欠けた存在だ」と勘違いしているだけ。まん丸のお月様であることに、変わりはありません。

他人の目や批判、評価を気にしない。それはとてつもない自由を与えてくれるものです。

そこから自由になって、大胆に自分を表現してみませんか?

 

(次回は、5月17日・10:00頃配信予定です)

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2018年5月18日発売予定

『「誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?」』

著者:旺季志ずか(おうきしずか)/定価:1300円+税

【アマゾン、書店で予約受付中】

http://amzn.asia/aoJ55Km

「読んだら 感想聞かせてね〜。#そろ生き  つけてくれたら読みにいくよ」 

 (著者・旺季志ずかより)

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旺季 志ずか (おうき しずか)

脚本家。徳島県生まれ。立教大学卒業後、女優を志すも挫折。高層ビルガラス清掃から銀座ホステスまで、50種類の職を経験した豊富な人生経験を生かし、数々のヒットドラマを生み出す。代表作に「屋根裏の恋人」「ストロベリーナイト」「佐賀のがばいばあちゃん」「女帝」など。不幸だった自らの人生を変えるべく心理学や哲学を学んだ、自称「心」オタク。その知見を盛り込んだ著書『臆病な僕でも勇者になれた七つの教え』『虹の翼のミライ』(ともにサンマーク出版)では、「エンタメ自己啓発小説」という独自の分野を確立した。本書は著者初のエッセイとなる。

 

作品紹介

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