「自分のやりたいこと」をやるな

矢都木二郎『麺屋武蔵 ビジネス五輪書』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2017.04.13
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 麺屋武蔵から独立する人に、必ず伝えていることがあります。
 それは、「自分のやりたいことをやるな」ということです。
 ラーメン店は、今は競争が激しい業界になってしまいました。
 昔なら、自分がやりたいようにやっても、成功する確率は高かったはずです。
 ところが、今は地方に行っても、まわりはラーメン店ばかりで、甘いやり方では生き残ることができなくなっています。 

 たとえば、「こってり系のラーメンを究めたい」と思っているのに、高齢者の方ばかりで、若い人が少ない場所に出店したら、それはダメでしょう。
 そこに出店するなら、こってり系のラーメンはやめておいたほうがいい。
 たとえば、出店の資金がなくて、繁華街に店が出せないけれど、探していたら自宅の近所に居抜き(それまでもラーメン店などが営業していて、設備がそのまま使える状況のこと)の物件が格安であったので、とりあえず自宅のそばで出店する。
 これもダメでしょう。居抜きの物件ということは、すでに飲食店で失敗をしている人がいたということです。自宅の近くで安い物件だったから出店する。この人は自分の都合しか見えていません。

 宮本武蔵は、「打つといふ事、あたるといふ事、二つ也(なり)」と言っています。
「打つ」のは意識的、「当たる」のは偶然だから、区別しなくてはいけないと説いているのです。
 たまたまうまくいったとしても、そのいい結果を自分の実力と勘違いして浮かれていては、すぐにダメになってしまいます。
 本当の成功をつかむためには、常に時代の流れを読み、何がお客様に求められているのかを察知していくことが必要です。

 結果オーライの仕事では、生き残れません。
 お客様の目線になって、「自分のやりたいこと」が本当に求められていることなのかを見極めなくては、道を間違えます。

(※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。7回目の次回は4月20日掲載予定です。)

 

矢都木 二郎 (やとぎ じろう)

株式会社麺屋武蔵 代表取締役社長。
1976 年 埼玉県生まれ。
創業者・山田雄のイズムを継承し 常に「革新的で上質」なラーメン店作りを目指す。
ラーメン界の新しい取り組みとして コラボレーション商品を多数提案。ロッテ カルビー 旭酒造といった企業から 自治体や生産者まで 幅広くコラボレートして 多くの革新的なラーメンを生み出す。「チョコレートからフルーツまで ラーメンにできない食材はない」と語り ラーメン店の無限の可能性に挑戦し続けている。
ラーメンの創作活動の傍ら 経営者として 業界の職種的地位向上に尽力。さらに職場環境 待遇の積極的改善 「料理ボランティアの会」を通じてのボランティア活動などを積極的に行っている。

◆主な経歴
・2001 年 株式会社麺屋武蔵 入社
・2003 年 「 麺屋武蔵 武骨」店主に就任
・2004 年 「 麺屋武蔵 新宿総本店」店長に就任
・2013 年 株式会社麺屋武蔵 代表取締役社長に就任

作品紹介

麺屋武蔵 ビジネス五輪書

20年間、業界のトップを走り続けるラーメンの名店・麺屋武蔵。創業以来脈々と伝わる「成功の極意」を2代目社長が語る。
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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