勉強をさせる上で、親の意識も大切です。小学校の低学年までに、「勉強できることはかっこいいんだ」、「努力を続けることは大事なことなんだ」、「勉強は将来役に立つものだよ」などと、子どもにきちんと伝えておきましょう。勉強することへのよいイメージを子どもの中にしっかりと根づかせて、勉強することや努力することを当たり前だと思うようにすると、頑張れる子になっていくのです。
いまだに、一生懸命勉強をしていると「ガリ勉」などといわれることがあるでしょう。「勉強ができても性格が悪い子では……」と気にする親御さんもまだまだ多数派です。学校でも、勉強ができる子より友だちがたくさんいる子がかっこいいなどという風潮があります。
そんな世の中の流れを受けて、「みんなと同じでいい」、「横並びでいい」という考え方をしている親御さんもいるのではないでしょうか。そして、子どもを穏やかで、人と競争することもあまりしない、いわゆる性格のいい子にしなければいけないと考えている親も多いように感じます。
しかし、そうした思いが子どもの負けん気や闘争心にブレーキをかけてしまい、頑張れない状況をつくり出し、才能の芽の成長を止めてしまうこともあるかもしれません。才能を開花させられなかった子は、自信までつみ取られてしまうこともあるのではないでしょうか。
子どもの上昇志向を刺激して、よりよい将来が手に入れられるような指針を示してあげること。それが、親がやるべき大切なことのひとつだと思います。
和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。
作品紹介
どんな環境でも心が折れずに立ち上がる、「頑張る子」の育て方を、教育評論家・心理学者の和田秀樹氏が本音でコーチ!
定価:本体1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 勉強が足りなかったことを伝える
- 「わからない」と「できない」が勉強嫌いをつくる
- 「勉強の適齢期」に意欲づけを
- 自己肯定感を育むには、「勉強」がいちばん!
- 「頑張れる子」が身につけている7つの習慣
- 自己肯定感が芽生えたら、ほめられる体験を
- まずは「自分が好き」という気持ちをもたせよう
- 「頑張れる子」と「頑張れない子」の差はどこから? いつから?