「仕事にやる気が出ない」
誰だってそんな心境に陥ることがある。
私など、20代のころはしょっちゅうだった。そして一度やる気がなくなると、どんどん楽なほうへといってしまう。それが人間の弱さである。
自尊心が弱まり、自分のこともどんどん嫌いになってしまったものだ。
「このままじゃいけない」
そう思いつつも、そう簡単には変われない。休日や年末に「人生を変えてやる!」と決心しても、職場での考え方を改善したり、転職を試みたりといった行動に出ることができなかった。そういうときは、とりあえず会社の目の前の仕事を一生懸命がんばるしかなかった。
そんなときに、自然にやる気が湧いてくる解決方法があった。
心のなかに「やる気」の炎を燃やす方法。
それはズバリ「自分の仕事に哲学を持って向き合う」という自己暗示だ。
そうするだけで憂鬱さが晴れ、たちまちやる気が漲ってくる。
いずれは転職したり、好きな仕事で大活躍したい。しかし、今すぐはできない。もしそうならば、腐って生きるより、たとえ「腰掛け仕事」でも“意欲”を持って向き合ったほうがいい。
さて、この「哲学を持って仕事をする」とは、具体的にどのようなことなのか?
シンプルな心のスイッチの切り替えで可能になる。
「自分は誰のために価値を提供しているのか?」
「社会に対してどんな貢献をしているのか?」
これをイメージしてみればいい。
電車に揺られながら、あるいは歩きながら、想像してみるだけでいい。
「おそらく世の中のあんな部分に貢献をしているんだろうな」からはじめてみる。
慣れてきたら次第に大げさに、大人物になりきって考えてみる。
「私は、この仕事によって世の中を変えている」と。
少々恥ずかしく、おこがましい考えかもしれない。
しかし安心してほしい。あなたのその作業は、決して誰にもバレることはない。
それを知る人は誰もいない。
遠慮する必要はない。自分の大好きな時間を楽しみきろう。
保険の営業マンであれば「人々の生活に安心を提供している!」と自負してみればいい。家電メーカーで働いている人であれば「生活を快適に便利にする魔法の器をつくっている」と考えてみてほしい。飲食店で働いているのであれば「みんなの美味しい笑顔のために働いている」と自負する。
それだけで心のなかに、ジワッと温かい感情がにじみ出る。
これが「やる気」の素になる。
一日の景色が違って見えてきて、仕事に向かう物腰だって変わってくる。
自分は“なぜ”、貴重な生命のエネルギーを使って、この仕事に従事しているのか? その意義を体全体で感じることができる。
今の自分は最悪だ。仕事場の境遇も最悪だ——。
そんなあなたにも、確実に効果は現れる。
潮凪 洋介 (しおなぎ ようすけ)
エッセイスト・講演家・イベントプロデューサー。株式会社ハートランド代表取締役。早稲田大学卒。「好きなことに挑戦して輝く学校」自由人生塾を主宰。自分らしい生き方の発見と自己実現をサポート。
個人個人に合った「人生づくり」の具体的なアドバイスを日々実施している。
シリーズ累計20万部突破のベストセラー『もう「いい人」になるのはやめなさい!』(KADOKAWA)、『「バカになれる男」の魅力』(三笠書房)、『仕事に殺されないアナザーパラダイスの見つけ方』(フォレスト出版)、『お金に殺されない人が大切にしている40のこと』(総合法令出版)ほか、著書多数。
作品紹介
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