「頑張れる子」と「頑張れない子」の差は どこから? いつから?

和田秀樹『12歳までが成功のカギ!「頑張れる子」の育て方』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.05.01
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 友だちにオモチャを取られても泣いてばかり。はっきりと自分の意見を言えばいいのにもじもじして自己主張ができない。自分で行くと言った習い事なのに1回で投げ出す——。
 たくましい子、気持ちの強い子になってほしいと思っているのに、いざわが子を振り返れば、こんながっかりするような気持ちにさせられた経験を、多くの親御さんがもっていると思います。
 その一方で、ごくひと握りですが、ハキハキと自己主張をして、習い事なども意欲的に続け、利発なうえにスポーツもできるような理想的な子どももいます。何事にもいきいきと頑張って取り組む、こんな子どもになってくれたらいいのに、と誰もが思うような子どもたちです。
 この違いは、いったいどこから来るのでしょうか? どの時点で差がつくのでしょうか? 気になりますね。

 さて、私の本業は精神科医ですが、教育評論家・教育アドバイザーとして、小学校受験から大学受験までトータルにかかわり、東大や医学部の現役合格を目指す学生など、多くの親子にアドバイスをしています。
 その経験から、お母さんたちにぜひお話ししたいことがあります。
 それは、もともと「理想的な子ども」というのはいないということです。多少の違いはあれ、誰もがいきいきと頑張れる子になれますし、頑張れる子になる素地は十分にもっているということを忘れないでください。

 しかし、東大生のようなエリートといわれる若者は、ほかの子たちに比べて、はるかに頑張っているように見えませんか。事実、彼らは小さいころから勉強を頑張って、目標としていた東大に入り、入学後もさらに努力を重ねて、人生の勝ち組になっていくのでしょう。勉強など、自分の取り柄を見つけて、最大限の努力をし、成功体験を積み重ねてきた結果、彼らは人生の勝ち組へと続く道を進んでいるように見受けられます。
 そうした努力を重ねられる人たちが「頑張れる人」だと、私は考えています。東大生やエリートといわれる人たちは、勉強を懸命に頑張って努力をしてきた「頑張れる人」だといえないでしょうか。
 
 スタートラインがあまり変わらないのに、「頑張れる子」になるかどうかの違いは、どこで現れてくるのでしょうか?
 頑張れる・頑張れないの差を親が感じ始めるのは、幼稚園や保育所など、ほかの子どもとの集団生活に入ったころであることが多いようです。「◯◯くんはできるのに、うちの子はすぐにあきらめてしまう」というように、ほかの子との比較から、わが子をふがいなく感じることがなかったでしょうか。
 さらに小学校になると、親子ともども、その差が顕著になると感じる場面が多くなります。この、小学校入学前後から低学年の時期に、わが子がきちんと「自己肯定感」をもっていくよう、親がしっかりしたサポートをしていくことが重要です。ここで、お母さんが的確なサポートとフォローをすることにより、子どもがしっかりと「努力のスタート」を切ることができれば、その後も努力を積み重ねて「頑張れる子」になっていけるのです。

和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。

作品紹介

12歳までが成功のカギ!「頑張れる子」の育て方

どんな環境でも心が折れずに立ち上がる、「頑張る子」の育て方を、教育評論家・心理学者の和田秀樹氏が本音でコーチ!
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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