集団だけでなく、私たちの身の回りにあるものの多くは、劣等感の補償によるものです。
人間は速く走れないから自転車や自動車、鉄道を作りました。上手に泳げないからボートや船舶を作りました。また、空を自由に飛べないから飛行機やロケットを作りました。さらに、自然や宇宙に対して無力感を感じた人間は、宗教や哲学を生み出しました。
いずれも人間がもつ劣等感が原動力になっています。そして1人ひとりがもつ目的や目標も、その人の劣等感が大きく影響していると考えるのが自然です。
次回は、アドラーが重視した「ライフスタイル」についてお話しします。
中野 明 (なかの あきら)
ノンフィクション作家。1962年、滋賀県生まれ。立命館大学文学部哲学科卒。同志社大学非常勤講師。「情報通信」「経済経営」「歴史民俗」の3分野をテーマに執筆活動を展開。
著書は『超図解 勇気の心理学 アルフレッド・アドラーが1時間でわかる本』『超図解 7つの習慣 基本と活用法が1時間でわかる本』『一番やさしい ピケティ「超」入門』『超図解「デザイン思考」でゼロから1をつくり出す』『超図解 アドラー心理学の「幸せ」が1時間でわかる本』(学研プラス)ほか多数。
作品紹介
フロイト、ユングと並ぶ心理学の巨人、アルフレッド・アドラーが説く「幸せ」の要点を、短時間で一気に理解できる超図解本。
定価:本体1,200円+税/学研プラス
バックナンバー
- イノベーションを起こす人たちのライフスタイル
- 「ライフスタイル」とは何か
- 「劣等感」こそが成長の原動力
- 目的論と決定論の違いとは?
- すべての生き物は目標を追求している
- 心理学の巨人・アドラーが示した幸福の「正解」とは?