ひとりっ子への 「色眼鏡」に対抗する方法

和田秀樹『7歳までに知っておきたい!「ひとりっ子」の育て方』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.07.17
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ひとりっ子への偏見、先入観、決めつけ
 世の中には「ひとりっ子はこんな性格だ」という「色眼鏡」があることは、すでにお話ししました。これは事実に即したものもありますが、そうでないものが少なくありません。
 事実でないといっても、「ひとりっ子はそんな性格ではない」という意味ではありません。ひとりっ子ときょうだいっ子には明確な差がないのに、「ひとりっ子がそうなりやすい」として、偏った見方がなされているということです。
 色眼鏡とは、ものを偏って見たり、状況とその原因を誤って結びつけてしまうことであり、偏見や先入観、決めつけなどがこれにあたります。
 ある問題に色眼鏡がかかっている場合、「色眼鏡がかかっている」と本人が自覚できないと、解決しにくくなります。
 たとえば、どうしても後片づけをきちんとできない子がいて、お母さんが「うちの子、B型だからなぁ」と考えたとしましょう。血液型は変えられませんから、お母さんは諦めて何の働きかけもしないかもしれません。
 しかし私ならば、違う角度から何通りも原因について考え、たとえばADHD(注意欠陥多動性障害)の可能性があると判断したら、その診断や対策を考えます。
 色眼鏡とは、ものごとを事実どおりにきちんと見ていないために、適した対策が立てられない、ということでもあるのです。
 次回からは、ひとりっ子に向けられた「色眼鏡」の正体についてお話ししていきたいと思います。そしてもし、それらが幻想や偏見から来るものであったとしても、子どもにとって良くないのであれば対策を講じる必要があります。

和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。

作品紹介

7歳までに知っておきたい!「ひとりっ子」の育て方

ひとりっ子の子育ては心配だらけに見えて、実はメリットが一杯です。「ひとりっ子でよかった!」と心の底から思える本。
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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