●子どもの個性は「家庭」で決まる
ひとりっ子のお母さんが抱く不安は、事実を見ないままに、想像ばかりを悪い方へふくらましてしまったものが少なくありません。
しかし、ここまで論じてきたように、事実にしっかり目を向ければ、こんな結論に至るはずです。
「ひとりっ子であってもきょうだいっ子であっても、良いところもあれば、悪いところもある」
良いところもあれば、悪いところもある
言い古された言葉ですが、真理です。
ひとりっ子であるからといって、きょうだいっ子に比べて不利なことはほとんどありません。むしろ、この後にご紹介するように、ひとりっ子には何かと有利な点が多いのが現実です。
もちろん、ひとりっ子が育つ環境は、きょうだいっ子とは違います。しかしそれは各家庭の個性であって、別に「特別なこと」ではありません。
にもかかわらず、お母さんが「ひとりっ子は特別な子」と考えていると、本当に子どもがそうなってしまいます。
「子育て環境はその家庭の個性。だから、いいところはうんと利用して、ダメなところは直していけばいい」
何につけても、そういう発想をしていきましょう。
ひとりっ子のお母さんときょうだいっ子のお母さんが、互いにないものねだりをしていても、何の解決にもなりません。
和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。
作品紹介
ひとりっ子の子育ては心配だらけに見えて、実はメリットが一杯です。「ひとりっ子でよかった!」と心の底から思える本。
定価:本体1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
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- 色眼鏡1 「ひとりっ子は友達作りが苦手」は本当?
- ひとりっ子への 「色眼鏡」に対抗する方法
- ひとりっ子を心配する前に、 まずやっておくべきこと
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