子どもが小学校に入る前に、お母さんにしておいていただきたい準備があります。それは入学後、「勉強って楽しい!」と子どもに思ってもらうために先取り学習をさせることです。
好調なスタートダッシュをきることで、子どもは自信をもって小学校生活を送ることができます。そして「楽しい!➡できた!➡もっとやりたい!」を繰り返すことにより、能力、意欲とも大きく向上していきます。まさに、これからの子どもの学習人生の土台づくりとも言えるのです。
「じゃあ、いま子どもに何をさせたらいいの?」と思ったお母さん、まずは字の読み書きや計算を覚えさせましょう。
字の読み書きは、ひらがなの読みから始めていきましょう。中でも子どもの名前をいちばんに教えてあげるといいでしょう。そして、お母さん、お父さん、お友だちの名前へと、どんどん覚える言葉を増やしていき、きちんとそれぞれの名前が読めたら、ほめて喜んであげてください。
そして同時に、全部ひらがなの絵本の読み聞かせを始めましょう。子どもは記憶力がいいので、何回か読み聞かせるとストーリーを覚えてしまいます。その後に、発音と字をリンクさせて、ひらがなを記憶していきます。
気に入った絵本は、「もう1回読んで!」と何度もねだってくるでしょう。お気に入りの絵本ができることは、字を覚えさせるためにもとてもよいことです。繰り返し読んであげてください。
そしてしばらくしたら、今度は子ども自身に声を出させて読ませましょう。仮に1文字でも読むことができたら、ほめてあげてくださいね。
数字は、とりあえず0から9までを覚えればよいので、一般の単語に比べれば簡単です。お母さんの中には、算数(数学)が苦手で数字に拒否反応を示す方もいるかと思いますが、子どもは感覚的に数字を覚えていくことができます。
計算もゲームのように楽しめますから、子どもは喜んでやるでしょう。「1+2は?」というような、指を使っても答えが出せるようなやさしい計算から行っていき、九九も入学前に教えておくとよいでしょう。
小学校1年生のお子さんは、まさに可愛い盛りです。スポーツなどの習いごと、キャンプなどの行楽をはじめ、ご家族でやりたいこともたくさんあるでしょう。けれども私はあえて、優先すべきは勉強だと申し上げたいのです。
この時期に、わが子の勉強を細かくフォローできるのは誰よりもお母さんです。子どもの自主性を大切にしながらも、つねに注意深く見守って、つまづいたり、やる気を失ったときには手をかしてあげる。この時期に手間ひまかけて行ったことは、お子さんのこれからの学習人生で必ず芽を出すはずです。
和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。
作品紹介
「勉強が得意な子」をつくるお母さんの戦略
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