早寝、早起き、朝ご飯という生活習慣を小さなうちから身につけておくことは、脳の働きをよくするばかりでなく、健康管理の基本中の基本でもあります。
言うまでもありませんが、睡眠は、子どもの発育にとても大切です。どんなに短くても6〜7時間は寝させましょう。低学年なら8時間は必要です。睡眠時間が短いと記憶力が落ちてしまうということが、脳科学の分野でも明らかにされています。
昨今、「早寝の大敵はゲーム」とも言われています。ただ、そうした遊びをやみくもに禁止するのではなく、きちんと時間をとってやらせることも大切です。
〝週末の午前中〟や〝毎日1時間〟などと枠を決め、よほど道理に反することでなければ、ゲームなど子どものやりたいことをさせてあげるのです。そして、勉強もちゃんとするように言います。それが「遊びたいから勉強をする」という子どもの動機づけになるのも構わないと私は思います。
人間が心底リラックスして好きなことを楽しんでいる脳の状態は〝フロー状態〟と呼ばれ、この〝フロー状態〟でいると作業の質が高まるものと言われています。「勉強が終わったらゲームをやるぞ」とわくわくしながら学習することで、自然に脳が〝フロー状態〟になり、勉強がはかどる一因となることも考えられます。
また、朝ごはんを食べないで学校へ行くと、午前中の授業に集中することができません。脳へ運ばれる栄養素のブドウ糖が足りず、知力も伸びていかなくなります。
食事に手をかけてあげることは、子どもが成長するための栄養面で好ましいだけでなく、お母さんの愛情表現にもなると思います。東京のある一流進学校の校長先生は、毎年の入学式でお母さん方に「勉強は当校ですべてフォローします。お母さんたちは、とにかくおいしくて栄養のある食事をつくってください」とお願いするそうです。それくらいに食事を重要視しているのです。子どもは学校で友だちとトラブルがあっても、家に帰ってお母さんの料理を食べて安心を取り戻すものです。くれぐれもジャンクフードやインスタント食品で済ませないようにしてください。
和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。
作品紹介
「勉強が得意な子」をつくるお母さんの戦略
小1スタートダッシュ・9歳の壁・中学受験 失敗しない48の方法
はじめての子が小学校に上がるお母さんに向け、受験の神様・和田秀樹先生が「失敗しない受験戦略」をコーチ。中学受験ママ必読!
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バックナンバー
- たまには贅沢をさせる
- ごほうびのあげ方
- 重要なのはお母さんのサポート
- 子どもは、そもそも勉強がきらい!?
- 先取り学習で基礎学力の土台づくり
- 〝自分の土俵〟を探してあげる
- 多くのお母さんがもっている誤解