男の子に必要な「心の強さ」とはいったい何でしょうか。これからの不安定な世の中を生きぬくたくましい子に育てるために、私は3つの要素が必要であると考えます。
まず、ひとつめは、競り合いに参加して勝とうとしたり、大きな目標を達成しようとして向かっていく強さです。
健全な競争に積極的に参加することは、子どもの成長欲を刺激します。勉強やスポーツなどで、実力をフルに発揮して競り合いに勝ち、さらに上を目指して努力できる強さをもてば、能力が向上するだけでなく、精神的に大きく成長することができます。こうした経験は、受験や就職においても生きることでしょう。
ふたつめは、自分への自信に裏打ちされた心の強さです。意志の強さ、考え方の強さもここに含まれます。いまの子どもたちは対立をおそれ、自分を出しません。小学生でも、仲間はずれにされないよう、まわりに合わせてうまくやっていこうと考える子どもがたくさんいます。しかし、クラスの大多数と同じやり方を選択しているだけでは、自分の納得いく結果は得られません。たとえクラスメートに反対されても、自分の意見をはっきり主張できる強さをもつことが大切です。
3つめは、イヤなことがあってもへこたれず、まわりと協力しながら物事をやりぬける心の強さです。たとえば、仲間はずれにされるなどして本当に自分が困ったとき、人に素直に頼れたり、泣き言を言えたりする子は強いものです。
人間は弱い存在ですから、精神力や根性だけで苦境や逆境を乗り切ることはできません。壁にぶつかったとき、焦らず柔軟に対応できる「知恵」をもてる子が、心の強い子です。
和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。
作品紹介
これからの世の中、男の子に求められるものは「優しさ」より「心の強さ」! どんな環境も生き抜く心の強い男の子を育てるコツ。
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